So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン
ジュリア・ジェイムズ ブログトップ

大富豪と灰かぶりの乙女 [ジュリア・ジェイムズ]

SHALOCKMEMO1457
大富豪と灰かぶりの乙女 A Ciderella for the Greek 2016」
ジュリア・ジェイムズ 麦田あかり





 原題は「ギリシア人のためのシンデレラ」
 ヒロイン:エレン・マウントフォード(20歳代)/私立学校地理教師,ラクロス部顧問,ホートン邸在住/大柄,身長175センチ,丸い眼鏡,まとまりのない髪/
 ヒーロー:マックス・ヴァシリコス(30歳代)/不動産王/身長190センチの長身,オリーブ色の肌,広い肩幅,チャコールグレーの目,黒髪,大理石から切り出したような頬骨と顎のライン/
 継母と継娘に虐められて生きてきたイギリス人女性エレン・マウントフォードがギリシア人不動産王マックス・ヴァシリコスによって女性としての美しさに目覚め,その愛を獲得していくまでの王道派シンデレラストーリーです。ギリシア人富豪とイギリス人女性のカップルを描くのは作者ジュリア・ジェイムズお得意の設定ですが,本作でもそれを踏襲しています。
 さて,ヒロイン,エレンは継母ポーリーンと連れ子のクロエと一緒にイギリスの片田舎ホートン邸に在住していますが,母が交通事故で亡くなり,その数年後継母と継娘が父エドワードと結婚します。ところがこのまま母親子が父の財産を湯水のように使ってしまい,最近病のうちに亡くなってしまいます。継母親子は最後に残されたこのホートン邸まで売り払ってしまおうとしていますが,エレンも館の権利の三分の一をもっており,なんとかして館を守りたいと思っています。ハンプシャー州の内陸部にある田園地帯にあるこのホートン邸は昔からの伝統的な部分と継母親子がやって来てから改修した一流のインテリアデザイナーによる部分とが混在していますが,館を心から愛しているエレンは,なんとかかつての家具などを屋根裏に保存するのが精一杯でした。ギリシア人不動産王マックス・ヴァシリコスは,投資物件を改修しては高額に売り,財を成してきたのですが今回は投資物件としてではなく自分の家としてホートン邸を買い取ろうと考えています。実際に物件を見に来て「屋敷を取り囲む森や庭にも,使われている柔らかな色合いの石や規模や建築様式に,我が家のような親しみを」感じたからです。マックスは非嫡出子として父から認められず,母とともに使用人として育てられた幼少期を過ごします。母亡き後アテネで建築業者となり,5年働いてためた金で最初の不動産を購入し,2年かけて改修して高額で売買し,売った金でさらに不動産を安く買い取ってを繰り返して成長し,数年で今は世界規模の不動産帝王となっていました。昨年まではイギリス人女優タイラー・ブレントリーと交際して浮名を流していましたが,タイラーが離れていったのを機に交際を止め,今は独身のまま誰とも真剣交際をしていませんでした。そんな時,購入しようとしてやって来たホートン邸でまさに真逆の二人の女性と出会います。アッシュブロンドの髪を流行のカットにし,磨き上げた爪にはマニキュア塗って非の打ち所のない化粧をしたハート形の顔とブルーの目と驚くほどほっそりした小柄なクロエ,そして血のつながりのない娘エレン。収まりの悪い髪をポニーテールにしただけで,化粧っ気もなく,大柄で「象のような」体型で野暮ったい服を着た十人並みの器量のエレン。ところが,庭を見回っているときに見かけたランニングウェアを着たエレンは,健康的な輝きと運動着を着て初めて分かる長く素晴らしい脚,特にふくらはぎの形,豊かな胸に女神のような素晴らしい引き締まった造形美の体型をもっているではありませんか。屋敷は絶対に売らないとけんか腰のエレンに興味と欲望を抱いたマックスは,エレンが屋敷にこだわり自分の本来の美しさを犠牲にしていることを指摘します。話しの中でエレンがロンドンの恵まれない子供のためのキャンプを開くことを聞いたマックスは慈善事業の残金を寄付することを持ちかけロンドンの舞踏会にエレンを誘います。断っても5000ポンド,承認されたら1万5000ポンドという破格の寄付金を提示し,ロンドンでエレンを変身させようと密かな謀をするのでした。プロの手によって仕立て上げられたエレンは「ウエストのきゅっと締まった濃いルビー色のシルクのドレスは,形のいい腰にピタリと張り付き,スカートが滝のように足先へと流れている。身頃の上からは首と肩があらわになっていて,両肩は羽根飾りで覆われ,持ち上げられた前髪の廻りも肩と同じ羽で飾られていた。アーチ型の眉の下の目は大きく,濃い黄褐色をしていて,まつげは濃く長い。頬は大理石のようにすべすべし,唇はスモモのような色に塗られてつやつやしている」自分が鏡の中にマックスとともに映っていることにすっかり固まって動けなくなってしまいます。これまで継母と継娘から象のように醜いと散々言われ続け,すっかり自分もそのように思い込まされていたことに改めて気づくのでした。しかも横からマックスから何度も美しい,女神アルテミスのようだと持ち上げられ,それでも継娘クロエと比べると・・・と卑下するエレンにマックスは「クロエと張り合う必要などないと分からないか?彼女には流行の痩せた体で満足させておけばいいんだ。紀美には彼女と全く別の美しさがあるんだから」と自信をもたせてくれます。初めはホートン邸を買い取るための策略だと思っていたエレンですが,それでもシンデレラのように舞踏会に誘い自分を変身させてくれたマックスに感謝の気持ちをもちます。そしていつしかマックスに恋してしまったことに,でも有名女優と浮名を流すような美形で富豪のマックスが自分などを相手にしてはくれないという諦めの気持ちも捨てきれません。ところが銀のスプーンをくわえて生まれてきたわけでなくマックスが自分の自分でたたき上げで富豪になったことを聞き,ますますマックスに惹かれていきます。二人の間になにか将来はあり得ないと思いながらも自分に欲望を抱いている様子を目の中に見たエレンはマックスと体を重ねるのでした。女性としての自信のなさから男性との親しい交わりを諦めていたエレンは初めて女性として目覚め,マックスから離れられなくなります。その後夏休み中の休暇を生かしてマックスに付き添いヘリコプターに搭乗したり,有名レストランで食事をしたり,カリブ海の島のリゾート地の下見,アメリカのローク国立公園でのキャンプ体験などで夢のような時間を一緒に過ごします。しかし帰国したときエレンははっと気づきます。マックスとの時間はあくまでもカボチャの馬車が有効な間だけだと。いずれ自分は捨てられ何もかも失ってしまうのだと。砂漠の国への出張にも誘われたエレンですが,その申し出を断り,エレンはホートン邸に帰っていきます。そしてラクロス部の引率でカナダに研修にやって来た先で,交換研修でカナダで働かないかと誘われたエレンは,マックスから離れ,ホートン邸も手放す決意をします。女性としての自信を与えてくれたマックスを諦めるためと新しい生活を始めるために。
 カナダから帰国してホートン邸に戻ったエレンはマックスが先に来て契約書へのサインを求めていることにこれでもう二度と会うこともないのだとすっかり気落ちしてしまいますが,そのときマックスは思いも書けない提案と申し込みをするのでした。「たった100ポンド」この意味は作品を読んだ人にしか分からないキーワードになります。まさに正統派シンデレラストーリー。さいごはちょっとエピローグがくどいような気もしますが,読んでいて温かい気持ちになれる良作です。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

逃げだした愛人 [ジュリア・ジェイムズ]

SHALOCKMEMO1422
逃げだした愛人 The Greek's Million-Dollar Baby Bargain 2009」
ジュリア・ジェイムズ 茅野久枝




K-454
17.02/¥670/156p

R-2433
09.11/¥690/156p


 原題は「ギリシア富豪の百万ドルの赤ん坊取引」
 舞台:ロンドン,ギリシアのソスピリス島,パリ,ノルマンディー ヒロイン:アン・ターナー(?歳)/慈善団体職員/金色に輝く髪,長いまつげ,灰色の目,ほっそりした体の曲線,長い脚,整った上品な顔/
 ヒーロー:ニコス・セアキス(30代)/実業家/身長180センチ,黒い髪,漆黒の猛禽類のような目,鋭くとがった鼻,高くせり上がった頬骨,がっしりとした顎,ギリシアの神像のような美しい体躯/
 原題では百万ドルとなっていますが,実際にニコスがアンに差し出した小切手は百万ポンド(80万ドルほど)。ヒロインのアンは慈善団体職員とありますが,ニコスがロンドンのアンのアパートに訪ねたときは自らが慈善の対象になるような貧相なアパート暮らしをしていたようです。冒頭を読む段階ではこれにかなり違和感を感じました。その答えは14章で登場します。
 11章でアン,ニコス,アリの三人はパリの遊園地に出かけますが,これって,パリのディズニーランドでしょうか。ちなみにパリのディズニーにはどんなアトラクションがあるのか調べてみると,TDLと同じようなスペース・マウンテンやビッグサンダー・マウンテン,イッツ・ア・スモール・ワールドのようなものの他に,さすがフランスらしく,ジュール・ベルヌの海底二万哩をテーマにした船やイギリスのアーサー王を題材にしたランスロットのカルーセルというメリーゴーランドなど,ヨーロッパの有名どころを元にしたものなどが特徴となっているようです。
 孤児としていくつかの里親の元をたらい回しにされ,しかも最後の家では里親である父親から暴行を受け続けた姉カーラ。妹を守るためには14歳だったカーラにはそれしか方法がなかったのです。そんな姉妹の秘密をパリで食事をしているときに聞き知ったニコスは,アンへの思いを吐露するのでした。初めからアンを憎むことで弟を失った原因になったカーラへの憎しみをアンにぶつけてきたニコスですが,それはアンへの欲望から愛へと変わる瞬間です。自分に身を投げ出そうとしたカーラがそれを断るとたちまち弟アンドレアスへと矛先を転じた経験から,身持ちの悪い欲に取り憑かれた女性と思ってきて,それは百万ポンドを受け取ったアンも同じだと思い込んでいたニコスは,二人の生い立ちを聞いて,自分が何不自由なく暮らしてきたことへの罪悪感へと変化していきます。そして,自分の引き留めを断ってロンドンに帰ってしまったアンに怒りをぶちまけようと訪ねたロンドンのアパートで,ニコスは驚くべきアンの「仕事」を聞くのでした。
 まさに天使のようなアンの生き方です。神像のようなヒーローと天使のようなヒロイン。ニコスの母ソフィアの落ち着いてやさしい生き方や姉夫婦の子アリの無邪気な言動も心地よく,読者の笑みを誘います。まさにロマンス小説の王道を行くイチオシ作品です。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

アテネから来た暴君 [ジュリア・ジェイムズ]

SHALOCKMEMO1403
アテネから来た暴君 A Tycoon to be Reckoned With 2016」
ジュリア・ジェイムズ 馬場あきこ





 原題は「無視できない富豪」
 ヒロイン:サラ・フェアハム(サビーヌ・サブロン)(25歳)/非常勤教師,ナイトクラブ歌手,ソプラノ歌手/光沢のある長い金髪,緑色と灰色とその他いくつかの色に変化する瞳/
 ヒーロー:バスティアン・カラヴァラス(30歳代)/実業家/180センチを超える身長,黒っぽい眉,整った鼻筋,官能的な唇,逞しい顎の線/
 「いいえ,これは恋ではない。欲望だ。私が感じているのはそれでしかない。」と自分に言い聞かせるサラ・フェアハム。ナイトクラブの歌手サビーヌ・サブロンと偽ってフィリップとともにやって来た別荘で,なにかと自分の感覚に火を付ける男性バスティアン・カラヴァラスに対して,何でもないと思い込もうとします。いとこのフィリップはもうすぐ21歳になり,カラヴァラス家の莫大な遺産を受け継ぐことができるのですが,それを管理するのはバスティアンの役割でした。自分が常に女性から言い寄られて,かつて大金を持ち逃げされた経験から,バスティアンはサラの噂を聞いて,フィリップを手玉に取る経験豊富な妖婦だと思い込みます。音大卒でソプラノ歌手の彼女が場末のナイトクラブの歌手としてアルバイトをしながら,芝居の主役として(ミュージカルでしょうか)公演の練習中。「戦争の花嫁」という作品では戦争を巡る悲劇のヒロインの役柄です。この役の評価次第では,あきらめて教師としての道を歩くしかなくなるとぎりぎりのところで生活と練習とを両立させているところですが,フィリップが年上の彼女に大金をつぎ込むようなことをさせるわけにはいかないと,バスティアンは自分がサビーヌを誘惑することを決意するのです。というより,もうサビーヌに自分がどうしようもないほど惹かれてしまっているのでした。ナイトクラブの奥の席から鋭い視線を浴びせてくる長身の男性にどきりとしてから,歌い終わって控え室にその男性がやってくるのを密かに心待ちにしてしまうサラは自分の気持ちになんとか打ち克とうとあがきますが,バスティアンがフィリップのいとこだと知ります。無邪気に誘ってくるフィリップの誘いを断ると傷つけてしまうと自分に言い訳をしてフランス南部のリゾート地帯,キャップ・ピエールの別荘で,サラとフィリップとバスティアンの奇妙な生活が始まります。「サビーヌでいることは私を守ってくれる。バスティアンが仕掛ける私の感覚への攻撃から守ってくれる。」とひたすらサラであることを隠し続け,バスティアンもすっかりサビーヌだと思い込み,やがて二人は深い関係を結んでいくのでした。なかなかOKの出ないサラの役柄を象徴するアリア。その練習も行き詰まっていき,監督のマックスはサラに1週間の休暇を与えるのでした。そしてついにバスティアンがサラの正体を知る時がやって来ます。恋に破れたサラ。しかしそれは見事に役柄の肥やしになるのでした。そしてついに声楽祭の公演の日がやってきます。フィリップの財政的援助もあり,余裕を持って公演を打ち上げた劇団は,大成功のうちに無事終了します。フィリップに誘われたバスティアンですが,断りの連絡を入れ,こっそりとホールの最上段でサラの歌を見ていたのでした。そして・・・。
 ちょっともの悲しい雰囲気の漂う大人の恋の物語です。舞台もモンテカルロ,リヴィエラなど南仏の明るい光に溢れた退廃的な風景とフィリップの無邪気なはしゃぎぶりが,サラとバスティアンの暗い愛を照射し,光と影がくっきりとした見事な舞台設定になっています。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ギリシア富豪と愛の結晶 [ジュリア・ジェイムズ]

SHALOCKMEMO1221
ギリシア富豪と愛の結晶 Captived by the Greek 2015」
ジュリア・ジェイムズ 萩原ちさと





 原題は「ギリシア人に魅せられて」
 舞台:ロンドン/バミューダ諸島
 ヒロイン:メル・クーパー/サンドイッチショップ店員/高い頬骨,なめらかな顎の輪郭,まっすぐな鼻,サファイヤ色の瞳,ブロンドの髪,長身/
 ヒーロー:ニコス・パラキス/投資銀行パラキス銀行の後継者/身長180センチ,黒い瞳,高い鼻,頑固そうな頬骨,つり上がった眉,長いまつげ,黒い瞳に金色の斑点/
 両親を幼くして亡くした後に引き取られた祖父,その祖父が認知症にかかり,看護に明け暮れた日々。そして三年後に祖父も亡くなり,やっと自分のことに集中できるようになったメル。そのメルの勤めるサンドイッチショップにある日傲慢で命令になれきった裕福そうなハンサムな男性が入ってきます。それがメルとニコスの出会いでした。ニコスはその時であったメルが自分に対して不服そうに応対したことを気付いていました。普段人からそんな扱いを受けることはほとんどなかったニコスでしたが,メルの対応をちょっと新鮮なものと受け取ったのです。しかも後で思い出しても,メルの美しさは忘れられないほどでした。会社に戻るやいなや秘書に命じたのはサンドイッチショップに花を贈ることでした。父と母がいつも言い争いをし,その間にたたなければならないことにうんざりしていたニコスは,結婚はしたくないと思っています。最近自分にかなり言い寄ってきている女性投資コンサルタントの出席する慈善パーティに参加しなければならない週末のことを考えると気が重くなるのですが,その時ニコスの頭に名案が浮かびます。あのサンドイッチショップの女性を同伴させれば,女性コンサルタントのフィオナ・ペリングハムをうまく避けられるのではないかと・・・。とにかく一晩パーティに一緒に参加してくれないかというニコスの申し出に,メルはその誘いを断るだけの勇気がないほど,ニコスに惹かれている自分に気付くのでした。パーティではメルは女性たちの会話にもメルの周囲の金融関係者たちとも良好な話し合いをうまくこなし,ニコスを驚かせます。あのフィオナでさえも,ハンサムなスウェーデン人の男性を紹介され,ニコスに言い寄ろうとしなくなったぐらいでした。
 次にニコスは次の出張予定のバミューダにメルを誘おうとします。パーティでのスピーチの前後2週間の休暇を取ろうとしたのです。祖父の介護から逃れ,世界中を旅して回る夢を叶えるためにサンドイッチショップと夜のレストランでのウエイトレスのアルバイトを掛け持ちしているメルに,バミューダ旅行をプレゼントしたいというのがその言い訳でした。あの一晩だけでさらにニコスの魅力を認識したメルにこの誘いを断るだけの考えももはやありませんでした。そして夢のようなバミューダでの日々。二人は翌日の夜からはもう片時も離れずに二人の深い関係にどっぷり浸る日々でした。やがて2週間の休暇も終わりに近づき,ニコスはさらにニューヨークに一緒に行こうと誘いますが,ギリシアで急ぎの仕事が入ってしまい,メルをギリシアに伴おうとします。しかし,休暇を過ごす予定で,しかもニューヨーク行きのチケットもすでに手に入れていた矢先のニコスの申し出に,メルは従おうとせず,予定どおりニューヨークに向けて旅立ってしまいます。互いに永続的な関係は望まないと言い合っていましたし,今ギリシアにニコスとともにいってしまっても,その後はどうなるのか,メルには不安がつきまとうようになっていたからです。ニコスも呆然とメルを見送ることしか出来ませんでした。その後メルはニューヨークからアメリカ各地を回り,ロンドンに戻りますが,あれだけ望んでいた一人での気ままな旅もニコスがいないとちっとも楽しめませんでした。どこに行ってもニコスのことが頭から離れなくなっていたのです。ニコスもまた,メルを見送ったとたんにそれを後悔し始めていました。そして仕事に集中することでメルを忘れようとしますが,重要な会議中でもメルへの思いが頭に浮かんできて集中できません。探偵事務所にメルの行方を追わせる一方,とにかく忙しくすることでなんとか日々を過ごそうとしていたのです。ロンドンに戻ってメルは体の異変に気付きます。そう,ニコスとの間の子供が授かっていたのでした。ニコスにこのことを告げなければとニコスの会社のロンドン支店に行こうと地下鉄に乗ったメルでしたが,ボンヤリしているうちに乗り過ごしてしまい,慌てて降りた駅のホームに張ってあったポスターに引かれて,無料の相談所に入ってみます。望まない妊娠をした女性の相談に乗っているところでした。そして話しをするうちに,メルはこの子を自分だけで育てようと決心します。やがてスペインに旅立ったメルのところに思いがけない人が現れます。ニコスが探偵事務所が探り当てたメルを追ってきたのでした。そして産婦人科の予約票を見たニコスはメルが自分との間の子供を産まない決意をしたと誤解します。メルの行った無料相談所ではその選択肢も相談内容に含めているところだったからです。すっかり誤解したニコスとメルとの間に緊張が走ります。メルを話しを聞こうとしないニコス。あの傲慢さが戻ってきたのはやっとメルに出逢えたという喜びを隠すことが出来なかったからです。愕然としたメルは思わず道に出てしまい,そこを通りかかった車にぶつかってしまいます。幸い大怪我ではなく,子供も無事でした。病院で二人は互いの気持ちを素直にぶつけ合うのでした。
 両親の不仲,そして祖父の介護からの解放とそれぞれの事情で結婚や子供に囚われない自由な生き方を求めていた二人が,互いに結びつくことで自由を得るのだという逆説的結びつきに気付いていくという作者独特の愛の姿を描いた傑作です。メルの,そしてニコスの描き方もとても明確で,二人の間のすれ違いを見事に描ききっています。また,バミューダの魅力もたっぷりと,そしてエピローグでの登場人物たちの結末もすっきりと書かれており,爽やかな読後感を得られる作品です。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

愛に目覚めた億万長者 [ジュリア・ジェイムズ]

SHALOCKMEMO863
愛に目覚めた億万長者 The Forbidden Touch of Sanguardo 2014」
ジュリア・ジェイムズ 小沢ゆり





モデルのセレステ,投資家で億万長者のラファエルのロマンス。ラファエルの元恋人で女性億万長者のマデリンとの三角関係の行方も気になるところではあるが,ラファエルがセレステに惹かれたのはその美しさばかりではなく,我先に自分を利益だけを考えて行動することではなく,危機に陥ろうとしている人を助けないと気が済まない優しさ,そしていったんこうと決めたら毅然として立ち向かう内面のすばらしさだった。しかし,セレステには過去になにか秘密があり,そのことがトラウマになっていて男性に心を開かないでいることがラファエルには感じられ,なんとかその秘密を探り出し,悩みを解決してやりたいという気持ちもセレステに伝わって欲しいと望んでいました。しかし,一気に事を進めるとますますセレステが自分から遠ざかり心を閉ざしてしまうことも心配の種。少しずつ,焦らないで対応していくことを第一に考えたのです。ロンドンからいなくなったり,ニューヨークからいなくなったり,予想のつかないセレステの行動。しかし,ハワイでセレステが仕事をしていることを突き止め,ラファエルは仕事の予定をキャンセルし,セレステの仕事の後の休暇に付き合うことにします。イルカ・ウォッチング,天体観測,サーフィンなどなど,これまでセレステが見せてきた天文学や地質学への深い造詣や環境保護への強い関心と知識を思い出しながら,セレステを楽しませることを主眼に数週間の休暇を二人で楽しみます。休暇から戻った二人の住まいを訪れたのはまたしてもマデリン。そしてマデリンがラファエルから性を売り物にする仕事を非難されたことに端を発し,セレステの秘密が明らかになります。驚きでセレステが去って行ったときすぐに追いかけたラファエルですが,セレステの行方はわからなくなります。しかし,これまでのセレステの行動を思い出したとき,彼女の説明と行動がどうも一致していないようだということに気づいたラファエルは,改めてセレステの過去を調べ,事の真相を知ることになるのでした。セレステが取った行動を彼女は自分に強く恥じ,他人に対して自分の心を閉ざしていることがわかったラファエル。やっと見つけたセレステに愛を告げるのでした。
中央アメリカの小国で貧しさの中で育ってきたラファエルが自身の苦労で富豪となり,国のため,才能ある人のため自分の財産を活用しながら人を助けようとする姿,そして,セレステもまたその内面のすばらしさを美しい姿の中に隠していることに互いに気づいたとき,二人が会いに包まれるというロマンチックな設定は,読んでいて心温まり,爽やかな読後感を得られること確実です。おすすめの一作。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ギリシア名家の遺産 [ジュリア・ジェイムズ]

SHALOCKMEMO781
ギリシア名家の遺産 Securing the Greek's Legacy 2014」
ジュリア・ジェイムズ 片桐ゆか





妹の子供ジョージーを引き取って暮らし始めたリネット(リン)・ブランドンは,会計学を学ぶ大学生。ぎりぎりの生活をする彼女の元を訪れたのは漆黒の髪を持つハンサムな男性アナトール・テロニディス。アナトールはジョージーの父親マルコス・ペトラナコスの従兄弟にあたる大富豪。ジョージーをギリシアにつれていかれるのではないかと恐れるリンに対して,養育権を確立するためにアナトールが提案したのはリンとの結婚だった。ジョージーのためとは言え,アナトールに惹かれるリンは提案を承諾する。ギリシアではプライベートビーチ付きの瀟洒な住まいでリンとジョージー,そしてアナトールによる生活が始まる。しかし,マルコスの父で一族の長ティモンの経営する会社が経営危機に陥り,ティモン自身も癌の治療で動きがとれないため,将来ジョージーが受け継ぐべき会社を守るためアナトールはアテネへ,そしてテッサロニケへと会社を救うべく大車輪の活躍をする。そして,アナトールが留守の間にティモンに呼び出されたリンは,自分が隠していた秘密が知られており,さらにティモンとアナトールが交わした契約書を見せられ,裏切られていたことにショックを受け,ティモンの差し出した小切手を受け取る。ジョージーを連れてギリシアを逃れたリン。しかし,イギリスにたどり着いたリンは,ジョージーを抱えて生活することができなくなってアナトールの弁護士に会いに行く。ジョージーと別れなければならない。そして,愛するアナトールに裏切られ,生きる希望をなくしたリン。アナトールはティモンがリンを追い出すためにした企てをリンに説明しようとしていた。そのためにはリンの秘密が本当なのかを知る必要があった。ぎりぎりまで隠されているリンの秘密とは?アナトールは本当にリンを裏切っていたのか?ジョージーはリンと別れ,ギリシアに連れ戻されてしまうのか?
ギリシアの経済危機が作品にはっきりと示されたのは初めて読みました。どうしてもギリシアの富豪が多く登場するロマンスでは経済危機がなかったかのように違和感を感じていたので,本作でそれが正面切って取り上げられていることに作者の真摯な執筆態度を感じました。それを差し置いても,リンの心情の変化を的確に描いていて,ストーリーにのめり込める本作はおすすめです。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
ジュリア・ジェイムズ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は180日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。