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メイドは一夜のシンデレラ [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO1409
メイドは一夜のシンデレラ A Heir to Make a Marriage
( One Night with Consequences 16 ) 2016」
アビー・グリーン 藤村華奈美





 原題は「後継者づくりの結婚」
 ヒロイン:ローズ・オマリー(22歳)/メイド/肩まで波打った赤みがかった金髪,金色の細かな斑点のある大きくて緑色の瞳,白い肌にそばかす,170センチのほっそりした体型,まっすぐな鼻,ふっくらした唇,高い頬骨/
 ヒーロー:ザック・ヴァレンティ(ザカリー・リンドン・ホルト)(?歳)/実業家,リンドン・ホルト家の後継者/碧眼,金茶色の髪,浅黒い肌,力強い顎,引き締まった口もと/
 父の入院費を保証する条件である契約にサインしたローズ。それはリンドン・ホルト家の後継者づくりのためにザックを誘惑することでした。父親はリンドン・ホルト家のお抱え運転手,そしてローズ自身は屋敷のメイドに過ぎません。ザックが独立するためにリンドン・ホルト家を出てから母親を引き継いでメイドの職に就いたローズですから,ザックと顔を合わせたことがなかったのですが,父がお抱え運転手だったことから,その気になればその娘であることに気づいた可能性もないわけではないでしょう。しかしパーティに現れたローズの美しさを見る限りとても運転手の娘にしてメイドとはザックには思いも寄らなかったことは確かです。母方のリンドン・ホルト家から独立したザックは,祖母に当たるジョスリン・リンドン・ホルトが自分の子供にリンドン・ホルト家の全財産を受け継がせようとしていることを知っています。しかし,自分の両親を父の身分が低いからと勘当してしまった祖父母を許せず,父方のヴァレンティを名告って自分で事業を興し,成功を収めていました。そして恋愛/結婚ということが自分の両親のように不幸を生むものだと強く思っています。ある結婚披露仮面パーティに偶然現れた美女が,まさか祖母ジョスリンの命を受けたリンドン・ホルト家のメイドだとは全く気づかず,それでも魔法の森で出会った妖精のようなローズに惹かれてしまいます。ザックの方はもちろんアメリカで最も金持ちの独身男性という評判であり,雑誌で見たよりも本物の方がずっとすばらしいとローズたちまち夢中になってしまいます。もし雇い主のジョスリンとの契約さえなければ一度で良いから・・・。ザックに声を掛けられ,自分がメイドであることは明かしますが,「リンドン・ホルト家の」とは明かしません。ザックとは住む世界が違うと,自分を卑下するローズにザックはますます惹かれてしまいます。これまで出会った女性の自分への反応とはまさに真逆な反応だったからです。ザックが自分に惹かれるとは思いもしなかったローズですが,声を掛けられると判断力をなくしてしまい誘われるままについて行ってしまいます。そして自分の初めてを捧げてしまうローズ。雇い主との契約に強く罪悪感を覚え,ザックが電話を受けているスキに部屋を後にして逃げていくのでした。雇い主との契約は心臓病を患った自分の父の手術費用を出してもらう代わりに,ザックを誘惑しその子供をリンドン・ホルト家の子供とするというものでした。しかし元々気の進まないこの契約がローズの心に重くのしかかっています。すっかりザックに惹かれてしまい純潔を捧げた相手を愛さずにはいられず,しかし嘘をついて相手を騙すことに強い罪悪感を持っていたからです。自分の元を逃げだしたローズに対して,ザックは他の女性ならいつまでもしがみつこうとするのにアッサリと自分を捨ててしまったローズのことがますます忘れられなくなり,必死に探し回り,ついにローズの住まいを探し出すのでした。ところが一夜の関係の後再びローズはザックの元から逃げだします。今度はなかなか見つからずにいるとき,「マンハッタンのメイド,妊娠してリンドン・ホルト家の賞金を手に」という記事がでるのでした。「彼女はザックの実家のメイドで,彼の祖母に雇われていたというどす黒い感情が彼の胸に渦巻いた。祖母の仕業だと気づくべきだった。喜んで祖母の共犯者になりたがる女はいくらでもいるだろう。」と,ローズを探し出して手厳しい言葉を投げつけようとしますが,会ってしまうとすぐにも欲望を感じ,ザックはローズを求めてしまう自分をもてあまし,すぐそのままローズをイタリアの別荘に連れて行ってしまいます。もともと父の故郷だったその地で,妊娠したローズを監視するという名目で生活することになりますが,ザックはなんども「そんなことではないのよ」というローズの言葉に聞く耳を持ちませんでした。祖母と契約して自分を騙した女,しかし自分の子供の母親でもあり,その妖精のような美しさと純真さに惹かれる自分を抑えきれず,やがてザックはローズをニューヨークに返します。そしてローズの言うように父親が重い病気であることを突き止めるのでした。祖母との契約の件を除けば初めからローズは本当のことを言っていた。と気づいたザックはローズへのいとおしさを止めることができず,祖母との契約を破棄したローズの面倒を徹底的に見るようになるのでした。
 MB版の表紙にはゆたかな蜂蜜色の髪を持った女性が描かれておりローズの美貌を彷彿とさせます。そして口もとの愛らしさがまさに妖精を思わせます。しがないメイドのシンデレラストーリーですが,過去と家族の呪縛から逃れ愛を獲得していくザックの成長譚でもあります。「一夜の成り行き」シリーズ中でもイチオシの作品。


タグ:ロマンス
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王と不器用な愛人 [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO1274
王と不器用な愛人 An Heir Fit for a King
( One Night with Consequences 11 ) 2015」
アビー・グリーン 結城玲子





 原題は「王にふさわしい跡取り」
 ヒロイン:レイラ・アマール・ラクシュミ・ヴェルギーズ(?歳)/調香師,「ハウス・オブ・レイラ」経営者/かすかにオリーブ色がかった肌,通った鼻筋,ふっくらした唇,華奢な顎,高い頬骨,黒髪,エメラルド色の瞳,170センチ以上の長身,ベジタリアンだが魚は食べる/
 ヒーロー:アリクサンダ(アリックス)・ソール・アルマリック・サン・クロワ(?歳)/サン・クロワ国国王,実業家/グレーの瞳,浅黒くオリーブ色がかった肌,高い頬骨,官能的な口元,彫りの深い目鼻立ち,太く黒々とした眉,180センチ以上の長身,短く刈り込んだ黒髪/
 本作のヒロインはロマンス作品には余り登場しないインド系の美女でパリのヴァンドーム広場のホテル・リッツの向かい側のビルにある香水店「ハウス・オブ・レイラ」の経営者です。母が若い頃未婚の母となり,自立して生きることを余儀なくされたレイラが母が残した建物で始めた店舗です。店舗の上階のフラットに住み,向かいのホテルの様子が店からもフラットからも見渡せる絶好の場所にあります。ある日ロールスロイスから降り立った男性,それがヒーローのアリックスでした。アリックスはレイラの店にやってきて愛人にふさわしい香水を注文します。母が愛人として実父から捨てられた過去を持つレイラは「愛人」という言葉に敏感に反応してしまい,さりげなくちょっと意地悪な商品を紹介するのですが・・・。そしてロールスロイスから送れて降り立った有名なモデルにも冷たい態度を取ってしまいます。その後店を閉めてフラットからホテルの上階を見ていると,先ほどのアリックスがあのモデルと部屋にいるのが見え,思わず双眼鏡で様子をうかがってしまうのですが,カーテンが閉められ,その後の様子は分からないでしまいます。翌日ホテルから香水を届けて欲しいと注文があり,高級スイートに行ってみると注文主は昨日のアリックスでした。自分にふさわしい香水を注文されたレイラ。この時すでにレイラはアリックスのこれまで出会ったことがないほどの男性的魅力を感じてしまいますが,かつて婚約者に捨てられ,男全般に対する信用を母子二代に渡って失ってきたレイラはその思いを必死で振り切ろうとしますが,しかし自分の体はその決意と反対の方向に反応してしまうのでした。昨晩レイラはアリックスの正体をインターネットで調べ上げ,短期間で次々に相手を取り替えてしまうプレイボーイだという知識を得ていたのですが・・・。アリックスもまた一度見た瞬間からレイラのエキゾチックで男性を虜にしてしまう美しさに惹かれてしまうのでした。アリックスは実はサン・クロワ国の国王,しかも亡命中の国王だったのです。現在は資産運用で資産家となり何不自由なく生活をしていましたが,祖国では今の軍事政権から王政に復活しようとする動きがあり,その国民投票が数週間後に行われようとしていたのでした。現政権にアリックスの復活の動きが読まれてしまうと邪魔をしようとする動きが活発化するため,アリックスは敢えて政権に興味が無く女性を筆禍得取っ替えしている遊び人だと思わせるためにプレイボーイの生活をしていたのでした。祖国には主席補佐官のアンドレス・バルサクを中心に王政復活のための準備が着々と進められていましたが,例のモデルをアリックスがすぐに追い出してしまい,レイラに興味を持ったことを知らされて,アリックスが本気で政権復帰後の王妃捜しをしていることを知るのでした。食事に誘ったり,自分に所有するカリブ海の島で休暇を過ごしたりとレイラを次々に籠絡する手段を繰り出すアリックス。しかしレイラはアリックスが誰にも伝えていない国王としての本当の望みや過去の忌まわしい事件について,なぜか話してしまう上手な聞き手であり,そして王妃にならないかという誘いにも全く興味を示さないのです。このレイラの態度に逆に魅力を感じ,また思いどおりにレイラの気持ちを自分に向けられないことにいらだつのです。アリックスと関係を持つまでまだ経験の無かったレイラですが,かつての婚約者にも深い関係を伸ばし伸ばしにしてきて,始めて自分から進んで身を任せたレイラは,その結果の妊娠にも自分一人で責任を取ろうとします。母と同じ愛人と呼ばれることにはなりたくないと思いつつも,自分の体の中で育つ命を実感したとき,母の気持ちを理解できるようになるのでした。アリックスが補佐官アンドレスと話していた,自分を利用しようとしていたことを立ち聞きしてしまったレイラ。アリックスに怒りの余りアリックスの元を去ろうとしていたのですが,逆に両親揃ったところで子供を育てようという言葉にまたもや負けてしまい。遂には結婚することを承諾してしまうのでした。愛のない便宜的結婚。しかしそれも運命だと諦めかけていたとき,新聞にアリックスとレイラの記事が載ってしまいます。その記事にはレイラの実父であるフランス大統領候補者の名前も,そしてアリックスの王権復帰も,妊娠のことも・・・。父のことを知らせなかったとアリックスは怒るのですが,レイラもまた王権復帰のことを自分に黙っていたことを責めるのでした。二人の別れが決定的になろうとしたとき,アリックスは自分が父と弟を殺された過去のことから人を愛する気持ちを失っていたことに気付くのでした。
 背筋を真っ直ぐに伸ばし堂々と王妃としてパーティに顔を出すレイラには,やはり政治家の娘として血が流れており,周囲の人々も魅了する美しさと暖かさを備えており,ベストヒロインだと思います。MB版の表紙モデルさんはちょっと大人っぽ過ぎて,レイラの雰囲気には合いません。HQ版=邦訳版のモデルさんの方がレイラの上品さや愛らしさを充分に表しているように思います。2014年からのアビー・グリーンの新作邦訳はすべて読んでいますが,本作は作品群の中で群を抜いて完成度が高くロマンス作品としての王道を行く秀作だと思います。


タグ:ロマンス
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ねじれた愛 [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO1167
ねじれた愛 The Bride Fonseca Needs
( Billionaire Brothers 2 ) 2015」
アビー・グリーン 松本果蓮





 「もつれた愛(SHALOCKMEMO1013)」の姉妹編です。Mills & Boon版の表紙のイメージがヒロインのダーシー・レノックスを見事に伝えています。ソフィア・ローレンを思わせる豊かな凹凸に富んだ体躯と豊かな髪,そして小柄でもスタイルの良さを強調するギリシア風ドレス。秘書から富豪の妻へのシンデレラストーリーですが,夫となるマクシミリアーノ・フォンセカ・ロセッリ,通称マックスとの便宜的結婚が本物の愛へと変わっていき,幸せな生活に至までを描いたロマンチックな物語です。二人が本物の愛に気付いていくまでの起伏に富んだあれこれも無理なく適度な割合で起こる互いの気持ちの変化に支えられ,終末に向かって徐々に高まっていく様子は,さすがと思わせる筆力です。これぞロマンス小説というのを読みたい人にとっても,始めてロマンス小説に接したいと思う人にとっても最適の作品と言えるのではないかと思います。姉妹編を読まなくても単独で楽しめるイチオシ作品です。


タグ:ロマンス
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イタリア富豪の不幸な妻 [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO1057
イタリア富豪の不幸な妻 Delucca's Marriage Contract
ホテル・チャッツフィールド 10) 2015」
アビー・グリーン 藤村華奈美





先月から始まったホテル・チャッツフィールド第2シーズンの第2弾です。先月の段階では果たしてこれがシリーズになるのかよく分かりませんでしたが,原作の方を見つけることができて,第2シーズンだということが分かりました。昨日,月の前半のハーレクインの配信があり,ロマンス4冊,ディザイア2冊を始め,今月は文庫を含めて11冊をまず購入しました。またKINDLEも2台目のFIREが到着し,さっそく軽量化されたKINDLE-Fire-HD-8をセットアップして使っています。しかも色もオレンジを購入しました。とにかく軽い。感覚的には500ページの文庫本一冊と同じ程度の重さです(勿論紙質で本の重さは変わりますが・・・)。これまでのKINDLE-Fireが画面が小さくちょっと重さを感じていたので思い切って購入しましたが,正解だったと思います。さて,今日は7netの方が作業中で画像が示せませんので,後日修正することにして,とりあえず10月にはいって初めて読了した本作の感想アップをしたいと思います。
本作では,前作「シークの美しき獲物(SHALOCKMEMO1029)」で登場したチャッツフィールドの商売敵,ハリントン・ホテルが,舞台として登場します。原題は「デルッカの契約結婚」ですが,父親の企業の倒産を防ぐため富豪ジャンカルロ(ジャンニ)との望まない結婚を承諾せざるを得なくなったキーリンがヒロインです。ハリントンとチャッツフィールドはホテルとしてはそれぞれの特徴を,伝統的で静謐な環境のハリントンと豪華で派手なチャッツフィールドということが本作では重要な点として使われています。何とか望まない結婚を相手側から断らせようと,キーリンはおつむの弱い,派手好きでゴシップにしか興味がない女性を演じていきます。初めはその様子にうんざりしたジャンニですが,本能はキーリンがそれとは正反対のものをもっているように思えたのでした。女の子として生まれたために父親の家業を手伝いたいと思い,必死に経営学の学位を取ったキーリンですが,祖父も父も全く彼女のその方面の実力は認めてくれません。傾いた経営を立て直すためには,彼女を結婚によって利用することで,富豪のジャンニの支援を当てにされていたのです。それが女性として会社に貢献する道だとする父。それに反抗したいものの会社のためといわれると断ることもできません。そこで一計を案じたのは相手側に嫌な女だという印象を持たせ,結婚を断らせようということでした。出会ってみると,「ジャンカルロ・デルッカのどんな写真も,実物にはかなわない」ほどの魅力にあふれた男性でした。ジャンニはキーリンの家を訪れた際,飾ってあった写真でキーリンを見ているのですが,その生き生きとして清純そうな雰囲気に好感を持っていました。ところが出会ってみると軽薄で「写真とは似ても似つかない,だまされたと腹が立つ」ような服装,そして強烈な香水のにおい,ひっきりなしにつまらない話題を話し,事前に渡したカードで持ちきれないほどの買い物をし,子供は寄宿学校にやってしまおう,という考えの持ち主です。それでも何とか婚約にこぎ着けるのですが,さらに結婚式に向かおうとしたジャンニを驚愕の知らせが襲います。なんとハリントン・ホテルでの結婚式の予定がいつの間にかチャッツフィールド・ホテル・ローマでの式にすり替わっていたのです。何とか式に間に合ったジャンニがさらに腹を立てたのは,父の友人だったマフィアのファミリーが式に参列しているではありませんか。キーリンがジャンニの母に父方の知り合いも呼ぶべきだといって呼び寄せたことが後から分かります。しかし,こんな企てをもろともせずにジャンニは結婚式を無事やり遂げ,「モンテファルコ」という町からそう遠くないところにある自宅にキーリンを連れて行きます。イタリア語に分からないキーリンと,英語の分からない家政婦のルチアと二人きりで残されてしまったキーリン。これまでの様々な企てに仕返しをされていると,孤独のうちに涙を流すキーリン。これでは祖父や父からうけた扱いと同じではないか・・・。しかし,ジャンニもキーリンも同じように親との関係がうまくいかなかった体験から自分を素直に出せない性格に成長してしまっていたのでした。戻ってきたジャンニとともに1週間のハネムーンを過ごすうちに互いの過去が少しずつ明らかになり,互いを恋しいと思えるところまで近づいて行くのです。いよいよローマに帰ろうとしていた朝,ジャンニの本に1本の電話での情報が入り,新聞が届いてみると,キーリンの父の会社がいよいよ危ない状況になっていることが報じられています。この結婚は初めから自分の経済的支援が目的だったのかとキーリン親子に裏切られた気持ちになるジャンニ。そしてキーリンが自分は関係していないという言葉を信じることができなくて一人ヘリでローマに戻ってしまうジャンニ。また,置き去りにされたキーリン。さて二人の関係はこの後・・・。身長170センチを超え,豊かな赤毛と女性らしい豊かな体型をしたキーリンの戦いがここから再開されます。アイルランドとイタリアという異なった文化を持つ二人の出会いから互いに惹かれ合うまで,そして幾度かのぶつかり合いを経て愛を深めていくまでの軌跡が丁寧に描かれたアビーらしい作品です。


タグ:ロマンス
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愛の逆転劇 [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO1019
愛の逆転劇 Forgiven but not forgotten?
 2013」
アビー・グリーン 山口西夏





前作「情事の身代金」とは一転してゴージャスながら傷つきやすい女性シエーナ・デ・ピエロがヒロインです。復讐譚の本シリーズ中でももっとも復讐色の強い作品ではないでしょうか。憎みつつも別れられなくなってしまうゴージャスな美女シエーナ。かつて父親もシエーナのミスを姉のセリーナを罰することで,言うことをきかせようとするほど,ある意味では大切に壊れ物を扱うように育てられたシエーナ。MB版の表紙のイメージを見ても,「そうそう,こんな感じ」と思わせる整った顔立ちと見事なブロンドの髪,そして抜群のスタイルというのが彼女のイメージです。おそらくモデルにでもなればそれこそ世界を制覇するような成功を収めたでしょう。しかし父の虐待は,肉体的な虐待をセリーナに,心理的な虐待をシエーナにと,複雑かつ巧妙に行われていたようです。そして,イギリスで療養するセリーナの医療費を調達するために2週間の愛人生活を承諾するシエーナ。この悲しい決断をさせたのは,5年前シエーナに裏切られ,職を失ったホテル王アンドレアス・クセナキスというギリシア人男性でした。フランスでホテルマンとして努めていたころ,あるパーティでドレスを汚してしまったシエーナをブティックに案内し,替わりのドレスを試着している試着室で思わずキスしているところをシエーナの父に見つかってしまい,「無理やり襲われた」と嘘をつかれたためにホテルを追い出されて職を失ってしまったアンドレアスは,復讐を誓いホテル王として成功するや,父が行方不明になって経済的に困窮し,ウエイトレスをしているシエーナを見つけ出し,愛人契約を提案するのでした。姉の入院費用を調達するという理由でこの提案を受け入れるシエーナ。はっきりと金額は示されませんがおそらく10万ユーロ(ざっと1400万円)以上は要求したのでしょう。姉の回復には向後1年間の入院が必要となっていたからです(最終的には退院したのはそれから2年半以上先になるのですが)。そして言われるがままにアンドレアスの要求に応えざるを得なくなるシエーナ。入院費用のことは話すことなく,お金で自分を買うようにワザと仕向けたのは,過去の秘密を知られたくないという思いと,アンドレアスを自分の嘘で傷つけてしまった借りを返すためという気持ちも強かったのでした。しかし計画とは異なって本気で互いを求め合ってしまうアンドレアスとシエーナ。この激しくも悲しいロマンスが,2週間を待たずに破綻してしまいます。そして,数ヶ月後,再びホテルでウエイトレスとして働くシエーナを見つけたアンドレアスは,自分の与えたお金で優雅に暮らしていると思っていたシエーナがまた働いていることに驚き,ついに本当のシエーナとセリーナの物語を知ることになるのです。しかもその場には異母兄のデ・マルコとグレイシーも行き会わせていたのでした。シエーナを伴ってギリシアの実家を訪れたアンドレアス。母や妹たち,そしてその子どもたちとの交流を経て,シエーナはアンドレアスに対する自分の愛を再確認するのでした。3部作の中でももっとも悲しく,激しい二人のロマンスですが,運命に翻弄された二人の愛憎が決していやらしくなく,逆に二人を応援したくなる読後感を誘うのは,筆者の筆力の証だと思います。オススメの一作。


タグ:ロマンス
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情事の身代金 [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO1018
情事の身代金 The Legend of De Marco
 2012」
アビー・グリーン 高浜えり





原題を「デ・マルコの神話」とちょっと古めかしい感じにしていますが,「情事の身代金」という邦題はやや大げさな感じがします。ロッコ・デ・マルコと異母姉妹のセリーナ・デ・ピエロ,シエーナ・デ・ピエロの3人を巡る3部作の幕開けです。このシリーズはロッコの父親がしでかした過去の忌まわしい虐待とその心の傷を背負いながら,すさまじく,悲しいながらも悔しさをバネに努力して愛を獲得していく若者達の物語です。
娼婦を母に持ち,父親からは婚外子として認められず,その過去をバネにして32歳という若さで富豪となったロッコ。イタリアのスラム街で生き延びなければならなかった少年時代に,一度父を訪ねますが,その父につばを吐きかけられ,腹違いの姉妹たちがそれを見ていながらも父とともに去って行ったあの日の出来事を忘れずに,15年前にロンドンに渡り,事業を成功させます。上流階級の優雅でブロンドの美女オノーラ・ウィンスロップとの婚約,そして便宜的な結婚が,上流階級で自分が生き抜いていくための一つの手段と考えています。ある慈善パーティでふと,目にとまった赤毛の女性,なにか気になりますが身体に合わないドレスを着た普通の女性が何故か気になるロッコ。その女性グレイシー・オブライエン(24歳)こそ,ロッコの運命の人となるのでした。ロッコの会社で100万ポンド(約2億円)もの大金を会社から横領した疑いのあるスティーヴン・マレーが行方をくらまし,数日後,会社に女性が訪ねてきて,スティーブンはどこかと尋ねます。すっかりスティーブンの恋人で,様子を探りに来たと思ったロッコは,この女性を軟禁同様に社ビルの最上階のペントハウスに連れて行き,スティーブンから連絡があるまで監視するように手配するのでした。そこまでしたのは,グレイシーと名告るこの女性が,あのパーティの時に気になり,理由も告げずに立ち去ってしまった女性だったからです。それがスティーブンの関係者であるとすると,あの日も自分をロッコと知りながら近づいたに違いないと思ったからです。双子の弟スティーブンの行方と無事が心配なグレイシーは,仕方なく情報を得るためにロッコの命令同然の仕打ちを受け入れることにするのでした。この時からロッコとグレイシーの奇妙な同居生活が始まります。グレイシーとスティーブンもまた両親の不仲のせいで幼少時代から互いに助け合って生きてきたのです。気持ちの優しく頭のいいスティーブンを,グレイシーはいつも友達のいじめから守り,また里子に出された家で男性から乱暴されようとしたグレイシーをスティーブンが助けたりと,二人っきりの家族である二卵性の双子。大会社であるデ・マルコ・インターナショナルに勤め先を見つけたスティーブンが,憧れのロッコ・デ・マルコを裏切るようなまねをするはずがないと思っていたグレイシーは,ロッコの非常識な提案も受け入れざるを得なかったのでした。慎重165センチで赤毛でボーイッシュな髪,そしてそばかすがちらつくアイルランド系の父に似たグレイシーは取り立てて美人なわけでもありません。しかし,成功してから自分に逆らう人など,ましてそんな女性など一人もいなかったロッコにとって,いつも率直に物を尋ね,様々なことに興味を示すグレイシーはロッコにとって新たな魅力にあふれた女性でした。そして彼女を手元に置くことでいつかはスティーブンと連絡を取るはずだと踏んでいたのです。タイへの出張に同行させたグレイシーが,熱帯雨林のまとわりつくような湿気にもかかわらず風景を愛で,様々な建築物に感激する姿を見るのはロッコにとっては新鮮な驚きでした。そしてニューヨーク5番街のペントハウスでの生活も,「愚かな上流気取りの女たち」とは正反対のグレイシーの魅力にますますはまっていくロッコでした。問われるままにロッコの過去の生い立ちと心の傷に触れてしまったグレイシーもまたロッコを愛するようになります。しかし,スティーブンにメールを送ったグレイシーの行動を報告されたロッコは,疑いの気持ちを再燃させ,痛烈な言葉をグレイシーに浴びせるのでした。
いきいきとしたグレイシーの愛情深い性格と行動がロッコの気持ちを少しずつ溶かしていき,過去に立ち向かわせる勇気を与えていく様子が克明に描かれ,復讐譚から成長譚へと発展していくロマンス小説の王道を行く作品です。エピローグでは4年後の二人の様子が微笑ましく描かれます。


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もつれた愛 [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO1013
もつれた愛 Fonseca's Fury
Billionaire Brothers 1) 2014」
アビー・グリーン 朝戸まり





「情事の身代金」「愛の逆転劇」の関連作で,シリーズ名はありませんが,その最終巻のような位置づけの本作です。前2作は未読なので,あわてて購入しました。アビー・グリーンの作品では,「ウルフたちの肖像」第3巻,「ファム・ファタールの息子たち」シリーズ全三作,「チャッツフィールド」シリーズ第6作,などを読んできましたが,他にも魅力的な作品がまだまだあるようです。さて,本作は慈善団体職員セリーナ・デ・ピエロの成長譚です。舞台はブラジル。情熱的な町で暮らす人々と貧困にあえぐアマゾン流域の人々との間の経済格差など,ブラジルの特徴がよく表されている作品だと思いました。「ヨーロッパ一の道楽娘」として知られるセリーナの本当の姿を,ヒーローのルカ・フォンセカがジャングルの道行きや奥地の集落での生活を経て次第に気づいていき,どうにも離れられない状況になっていく様子が細かに描かれています。「イギリスの薔薇」と謳われた母親の遺伝子を示すかのような美貌に恵まれながらも,薬物中毒者の烙印を押され,マスコミに悪名を振りまいていたセリーナが妹とともに父の虐待に耐え,自分の価値を正しく周囲の人たちに認めてもらいたいために治療院を転々として依存症から抜け出し,慈善団体での活動をとおして一人の人間として成長していこうとする姿が,痛々しくも読者に勇気と希望を与えてくれる作品です。暑い夏に読むにはぴったりのオススメ作品です。


タグ:ロマンス
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誘拐された億万長者 [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO956
誘拐された億万長者 Exquisite Revenge 2012」
アビー・グリーン 井上絵里





二重の復讐譚です。父によって虐待され母を失ったジェシー・モリアーティは,父の建設会社を破滅させるために株を買い占めてきました。もう少しというところで資金提供者が現れます。資金が提供されればこれまでの苦労は水の泡になってしまう。そこで,債券の取り引きをさせないために相手方の社長を絶海の孤島に誘拐し,閉じこもってしまうという過激な手段に出ます。ジェシーはいわゆるオタクとしてIT会社を立ち上げ,自立してきました。会社を成功させるため女性としての魅力よりも仕事に明け暮れた生活をするため髪を短く切り,いつも堅苦しいダークスーツに身を固めています。しかし,Ⅰ年前に出会ったリュック・サンチスにはちょっとすれ違っただけでも電気が走るのを禁じ得ないほど衝撃を受けます。素知らぬふりをしたジェシーですが・・・。そして資金提供の相手社長というのは,このまでそのことを秘密にしていたのでした。互いに理由を打ち明け合っていれば,こんな複雑な計画をすることもなかったのに・・・。でもそこは物語!これでながなが引っ張り,そしてヒロインとヒーローが互いに惹かれ合うという設定になっています。やがてジェシーだけが島を離れ,リュックは置いてきぼりを食うのです。さっさと島を飛び立ってしまうジェシーに,爽快感を覚えますが,二人の間には迷い込んできた猫,ティガーの存在がありました。後半はこのティガーが二人を結びつける役割を果たすのは意外です。
結局はあくどい商売をしてきた父が捕まり思い実刑判決が下るのですが,その娘であるジェシーにもマスコミから責められるというおまけがついてくるのはなかなか面白いところでした。邦訳の表紙のジェシーのモデルは髪もショートカットというよりもブロンドを頭でまとめてあり,手館もほっそりしていて,よく似たモデルを使っていますが,物語の中ではもっと小柄な感じなのではないかと思います。


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愛したのは略奪者 [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO932
愛したのは略奪者 Rival's Challenge
ホテル・チャッツフィールド 6) 2014」
アビー・グリーン 山科みずき





チャッツフィールド・シリーズの第6巻で,今回はチャッツフィールドホテルロンドンが舞台です。「愛したのは略奪者」はちょっと大げさなタイトルですが,原題は「ライバルの挑戦」となっています。長男アントニオは母を守れなかった自分に嫌気がさし,家を離れてフランス外人部隊に入隊していました。PTSDによる除隊後も家業には就いていなかったのですが,妹ルシーラの必死の懇願により,ホテルが買収使用としているケネディ・ホテルチェーンの経営者との交渉に当たることになります。交渉日前夜,ホテルのバーで飲んでいるとやってきたのは赤毛の美女でした。これまで付き合ってきた女性とは何か違うものを感じたアントニオはセカンドネームのマルコと名乗り,ケイトと名告る彼女とグラスを交わし,そしてスイートルームで一夜を過ごすことになってしまいます。翌日交渉会議にやってきたケイトとマルコが,実はオーラ・ケネディとアントニオ・チャッツフィールドであったことから二人の関係は次第に切っても切れないものになっていきます。
父との不仲と外人部隊で敵の捕虜となって過ごしたことが心の傷となって生きる目的を見失っていたアントニオが,オーラの地道ながらも少しずつ心を開いてくれることによって,セラピストよりも深いところで自分を取り戻していく過程を丹念に描いた良作です。オーラ自身も母の言うことになんでも応えようとして家業を傾かせた父を許せない自分から,アントニオが心に負った傷を理解していく過程で両親のことを理解しようとし,アントニオが与えてくれた共同経営者としての家業再興のチャンスに感謝しながら,二人で幸せをつかんでいく決意をすることで,前向きに生きる本来の自分を取り戻していくハッピーエンドに至る過程は読んでいてすがすがしく,暖かい結末に心が癒やされる作品です。
次作もロンドンが舞台のオルシーノ・チャッツフィールドとポピーのロマンスです。


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憂鬱な城主(ファム・ファタール名息子たち 3) [アビー・グリーン]

SHALOCKMEMO832
憂鬱な城主 When Da Silva Breaks the Rules
(ファム・ファタールな息子たち 3) 2014」
アビー・グリーン 水月 遙





完璧な美しさを持つ女優レキシー・アンダーソンは,撮影で訪れたダ・シルヴァ城の城主,セシル・ダ・シルヴァと撮影禁止区域で出会ったとき,二人の間には惹かれ合う気持ちが瞬時にわき上がるのでした。古風な城の中に作られた現代的で個性的なアパート,それがセシルの住んでいる家でした。逢瀬を重ねる二人。しかし,レキシーには過去に忌まわしい記憶があり,その記憶から立ち直るためにはセシルとの逢瀬が大きなきっかけになるのでした。そしてセシルにも,愛を信じられない母親への感情が奥底に残っているのでした。二人の関係が深い愛の関係に至るまでの情熱的な物語を描いた作品です。圧倒的な男らしさを持つセシルと女性らしさにあふれたレキシーの言葉での表現が本作の魅力です。


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