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きみはぼくの帰る場所 [テッサ・デア]

SHALOCKMEMO703
きみはぼくの帰る場所 (天使たちの入り江 1) A Night to Surrender 2011」
テッサ・デア 五十嵐とも子





医療現場では近年,病気を治すことはもちろんのこと,病気であることのストレスを和らげることを重視する方向が顕著になっているようです。特に終末医療と言われる「余命○○」という患者に対しては,病院のベッドに縛り付けるのではなく,できるだけ日常の生活を送りながら,精神的苦痛を軽減することを目的とした施設や在宅での訪問看護など,さまざまな方法が選択できるようになってきています。本作の時代は19世紀初頭,今から200年以上前のことなので,原因不明の病に対する医療方法として瀉血という外科的方法が多用され,医者の仕事は患者の悪い血を抜くことが多かったようです。そんな医療行為の犠牲になってきたヒロインのスザンナ・フィンチは,サセックスの海岸,スピンドル・コーヴで,女性たちのためのホスピス的な施設を運営し,癒しの場所を提供していました。その父親サー・ルイス・フィンチは兵器発明家として様々な小銃や大砲を作成する変わり者の老人。時はナポレオン戦争の真っただ中であり,サー・ルイスの発明品はナポレオン戦争でも役立ってきました。しかし,発明品の多くは試作品で,時に失敗を伴い,スザンナはできる限り父の実験をやめさせようと試みてきましたが,未だに成功したことはありませんでした。そんなスピンドル・コーヴには,古くから海岸線防御のための城跡ライクリフ城があり,そこにやってきたのはヴィクター・ブラムウェルと従兄弟のコリン,従者で伍長のソーンたちでした。ブラムウェル(通称ブラム)はサー・ルイスからライクリフ伯爵の爵位と引き換えに,村の男たちを訓練して閲兵式を行い,ライクリフ城の軍事的重要性と,自らの新型大砲のお披露目を大々的に行う計画を聞かされます。ポルトガルで膝に大けがを負い,予備役となっていたブラムは,この計画の成功が現役への復帰に大いに役立つだろうという気持ちで,この計画を請け負うことにします。それまで平和で癒しの場としてスピンドル・コーヴの村でリーダーとして仕事をしてきたスザンナにとっては,この計画を進めることは外部からきた男たちが村の男たちを巻き込んで平和を乱すことになり,なんとか父親とブラムを説得しようとしますが,徐々に計画が実行に移されていくことに強い危惧を覚えます。自分の作り上げた平和な毎日の生活リズムがブラムたちによって少しずつ崩されていき,お祭り騒ぎが起こっていきます。閲兵式の訓練にも思ったほど成果があがらない中,一方でスザンナとブラムの間にはいつしか互いを思いあう気持ちが芽生えていきます。そんな中,コリンが閲兵式のために取り寄せた花火で,双子の少年のうちの一人フィンが大けがをし,足を切り取らないと命が危なくなる事故が起こります。村に医者はおらず,自分も戦場で受けた傷を切らずに済ませてくれた外科医を呼んでくるとブラムは馬を走らせますが・・・。その時,実はスザンナも大きなけがを負っていたことにスザンナ自身も気づきませんでした。少年のけがは治るのか,スザンナのけがは命にかかわるのか。時間との戦いの中,スピンドル・コーヴには,協力して事にあたろうとする男女の集団ができつつあったのです。
女性らしさを備えつつも物事を冷静に見極め,人々のリーダーとして尊敬を集めるスザンナの才能の豊かさが光る作品です。ラベンダーブックスの表紙デザインの変化も本書を手に取りたくなる一因になっています。


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