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富豪が残したあの夜の証 [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1444
富豪が残したあの夜の証 His Pregnant Princess Bride
( Bayou Billionaires 1 ) 2016」
キャサリン・マン 野川あかね





 原題は「彼のおめでた王女の結婚」
 ヒロイン:エリカ・ミトラス(エリカ・ビルギッタ・インゲル・フライヤ・ミトラス・オブ・ホルスグロフ)(歳)/北欧の王家の五人姉妹の末娘/プラチナブロンドの長い髪,ブルーの目,曲線美,バイキングの女戦士のような堂々とした体躯,長い脚/
 ヒーロー:ジェルヴェ・レイノー( Gervais Reynaud )(歳)/フランス系アメリカ人,アメリカンフットボールチーム「ニューオーリンズ・ハリケーンズ」のオーナー/黒い髪,整った顔立ち/
 著者の17冊目の読了本です。そのストーリーテラーぶりや多彩なキャラクター造型にはいつも感心させられていますが,この「Bayou」シリーズ(原作は2作がキャサリン・マン,2作がジョアン・ロックの作品)は2016年に出版されたシリーズのようです。海運業をベースに成功を収めアメリカの名門一族となったレイノー家の4兄弟をヒーローにしたシリーズの第1作目で,本作は長男のジェルヴェがヒーローとなります。4兄弟,ジェルヴェ,アンリ,ジャン=ピエール,デンプシーという兄弟の名前が表すようにケイジャンと呼ばれるフランス系人たちの多いのニューオーリンズの街が舞台となっています。デンプシーだけがちょっと語幹の違いを感じさせますが,彼は異母弟なので,そうなっているようです。さて驚くべきは,ヒロインのエリカ・ミトラルが北欧の王家の本物のプリンセス。王家と言っても実質的な支配権はなく称号のみが残っているようですが,まぁ西欧の王家は今はどこもそうでしょう。エリカの母アノーラ・ミトラスは王妃としての気概と気の強さを全面に押し出すいわゆる貴族的女性。そして双子を含むエリカの姉たちはそれぞれ末娘の彼女をおもちゃのごとく扱ってきたのでした。そのため,エリカにとっては独立心旺盛で男性を初め誰にも頼りたくないという強い意志を持った女性に成長したのです。軍に所属し善戦の看護兵になりたかったのにもかかわらず,親の横やりで通訳として後方支援に廻らざるを得なかったミトラス大佐としての彼女は,兵役をまもなく終え,大学院で看護学を学ぼうとしていました。一方ジェルヴェは父親が不義を働き異母弟のデンプシーの存在を13歳の時に知り,その影響で母が家を出奔したまま亡くなっており,そのことをきっかけに父親とは不仲になってしまいますが,祖父のレオンに引き取られた4兄弟はそれぞれアメリカンフットボールのチームにかかわり,オーナー,監督,選手として破綻しかけたチームを再生しようと頑張っているところです。
 さて,ロンドンで行われたフットボールの試合で出会ったエリカとジェルヴェは,すんなりと一夜を共にしてしまいます。そして3カ月後ニューオーリンズにエリカが妊娠を告げにやって来たのでした。しかも後の検診で双子であることが判明します。エリカを忘れられずにいたジェルヴェはプロポーズしますが,エリカは自分の計画の中に大学院への進学を秋に控えていることから首を縦に振りません。たった一夜の出来事だけで,互いのことを知りもしない相手とは結婚できないというのです。それからは,ジェルヴェのプロポーズ大作戦がスタートします。なんとか互いを知ろうと2週間のニューオーリンズでの同居を提案したジェルヴェ。その家には認知症になりかかった祖父も同居しています。エリカを大切にしてくれる祖父と,ジェルヴェの兄弟たち,そして突然のエリカの一家の訪問などいくつかのエピソードを経て,エリカはいつジェルヴェにイエスの返事をするのだろうか。そしてそれはたった一言の言葉がすべてでした。キャサリン・マンらしいロマンスに溢れた作品です。すでに結婚しているアンリとソフィアなど4兄弟のロマンスの行方が気になるシリーズです。


タグ:ディザイア

明かせない秘密 [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1250
明かせない秘密 Baby, I'm Yours
( Beachcombers 1 ) 2006」
キャサリン・マン 北園えりか





 原題は「赤ちゃん,私はあなたのものよ」
 ヒロイン:クレア・マクダーモット(30歳代)/レストラン経営者/キャラメル色の髪,ライラックの香水/
 ヒーロー:ヴィック・ジャンセン(39歳)/獣医/コーネル大学卒/
 SHALOCKMEMO1250の節目の作品となりました。この節目にふさわしく大御所キャサリン・マンの2006年の作品です。
里親の元に残った3人の娘。クレア,スター,アシュリー。もちろん3人ともそれぞれ実父母がいますので苗字が違うのですが,実の姉妹以上の関係で,里親であるリビーおばの残してくれた屋敷をレストランに改装し,クレアが料理を,スターがバーとウエイトレスを,アシュリーが経理をとそれぞれ仕事を分担して経営しています。アシュリーは大学へも通っていて,関連作「身分違いのフィアンセ(SHALOCKMEMO755)」のヒロインでもあります。「身分違いの・・・」は,ヒーローのマシュー側から描かれていますが,作品の中でビーチコーマーズと呼ばれるこのレストランが古くなった配線のショートで失火するということが述べられていますが,その前にもいくつか不思議なトラブルが続いていました。本作ではアシュリーの義姉のクレアがヒロインとなります。クレアの義妹スターの物語はシリーズ2作目「Under the Millionaire's Influence 2007」で,本作にも登場するデイビッドがヒーローとなっているようです。また,大きく家族が広がっていくようですね。
 さて,物語ですが,クレアたちの経営するレストランは港の一等地にある結構広い屋敷のようですが,なにせ古い建物。屋敷以外財産のないクレアたちにとってはその建物の維持管理も結構手間と費用のかかるものです。この地を買収して大きな観光地として再編しようとする開発業者から譲って欲しいとオファーがあるのですが,クレアには自分を育ててくれたリビーおばの残してくれたものをそう易々とは売却することは出来ません。それが原因で時々建物に侵入したりトラブルを起こす輩が出てきたのではないかとヴィックが気付きます。ヴィックは自分の責任で娘を失い,それが原因で妻とも離婚しています。そしてノースダコタの動物診療所や自分の屋敷を売って,この地サウス/カロライナ州チャールストンに逃げるようにやって来たのでした。ヨット「ダコタ・ラット号」で生活しています。ヨットからはクレアのレストランの様子が遠目に分かる距離です。ヴィックの妹や義弟も近くにいるのがこの地を選んだ理由でした。そしてクレアと出会います。「友達になって六ヶ月,恋人になって三日目」二人は避妊を失敗したことを知り,それから三ヶ月後クレアの妊娠が明らかになります。クレア自身4年前に短期間婚約していた経緯がありますが,恋人に裏切られそれからは仕事一筋に生きてきました。子供のために結婚しようというヴィックの申し出にもう少し時間をかけて考えたいというクレアの言葉にショックを受けつつも,その判断を待つことにしたヴィック。姉妹の中でもスターが最も目立ち生き生きとしているのに対し,クレアはどちらかというと几帳面で計画どおりに物事を進めようとしますので衝動的な行動をあまり取る方ではありません。ここで邦訳版の表紙を目にしてみると,今月のベストイメージですが,茶色の瞳の顎のすっきりした,でも美しいだけではなく愛情豊かそうな落ち着いた女性がモデルになっています。まさにクレアのイメージぴったりのモデルさんです。MB版の方はちょっと奔放なイメージで,物語の内容とは違いがあるようです。あまりに忙しく働き過ぎるクレアは時々めまいを起こして倒れてしまいます。その都度ヴィックの助けで事なきを得るのですが,その都度ヴィックはクレアと赤ちゃんを守らなければという気持ちを強くするのです。そしてレストランでのいろいろなトラブルの犯人が,最も大きなイベント婚約パーティでの事件で発覚します。その時もすっかり自分たちを助けてくれたヴィックの行動に,クレアはやっと自分が信頼できる男性だと信じることが出来たのでした。
 悲しい過去を持ち,今でも必死に生きているクレアですが,物語は終始静かに進行し,成熟した男女の物語らしい落ち着いた雰囲気が醸し出された優しいロマンスです。次作では妹スターとデイビッドのロマンス。本作とはかなり雰囲気が異なるでしょうね。


タグ:ディザイア

ボスが授けた宝物 [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1168
ボスが授けた宝物 Pregnant by the Cowboy CEO
( Diamonds in the Rough 3 ) 2015」
キャサリン・マン 北岡みなみ





 「野の花を愛した大富豪(SHALOCKMEMO1012)」「七日間だけのシンデレラ(SHALOCKMEMO1090)」につづくシリーズ第3作です。マクネア家の双子の兄に続き,娘のアメジスト(エイミー)がヒロインです。人生の最後をかけた大仕事,この複合企業のそれぞれを担当するアレックス,ストーンそしてエイミーにふさわしい伴侶を見つけてからこの世を旅立ちたいと考えたマライア・マクネアの謀は一つ一つ成功していきます。そしてエイミーに課せられた課題はジュエルズのCEOとなったプレストンとCMのための出張に世界各地を回ることでした。すでにその前に出会ってすぐにパーティ会場を抜け出してロッカー室で衝動的に深い関係を持ってしまった二人。その結果のエイミーの妊娠。テンポの速い展開に驚くばかりですが,かつて仕事一筋で最愛の娘を亡くしてしまったプレストンは,エイミーに惹かれながらも,どうやってエイミーを愛したら良いか分かりません。また小さい頃からステージママである母親の人形として美人コンテストに出続けていたエイミーも,美しいばかりでなく自分に何ができるかで評価して欲しいという贅沢な悩みを抱えています。祖母マライアの課題はこの悩みに輪をかけて妊娠を言い出せない自分に課せられた課題だと考え,プレストンとの関係を考えていく旅行になります。回る途中でエイミーの双子の兄アレックス一家が訪ねてきたり,プレストンの別れた妻が夫婦同伴で訪れてきたりと,結構波風が立つのですが,子供のために結婚しようとプロポーズするプレストンにNoを言い続けるエイミーの気持ちは,子供のためだけでなく自分を愛するから結婚して欲しいと言って欲しいのでした。その気持ちに気付いたプレストンが思い切った方法でエイミーに愛していることを表現するのでした。このイベントが功を奏して,プレストンの本当の気持ちを理解したエイミー。エピローグでは第1弾第2弾で登場したオールメンバーが集まりますが,すでにマライアは鬼籍に入り,その代わりプレストンとエイミーの双子の子どもたちがマライアとマクネアの名前を受け継ぐ(苗字はプレストンの苗字になりますので),というしゃれた展開になっていきます。大団円にふさわしい結末に納得の1作です。


タグ:ディザイア

七日間だけのシンデレラ [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1090
七日間だけのシンデレラ Pursued by the Rich Rancher
( Diamonds in the Rough 2 ) 2015」
キャサリン・マン 北岡みなみ





ディザイアの価格はどうしてロマンスやイマージュより10円高いの?もっとも,電子書籍で購入すると同じなんですけどね。SHALOCKMEMOも1090番まで来ました。1100番まであと10作です。年内中には達成できるでしょう。7月末から始まった1000番代ですので,4カ月ほどで100冊というペースになっています。
さて,前作「野の花を愛した大富豪(SHALOCKMEMO1012)」に引き続き,双子の片割れアレキサンドライト(アレックス)に対して,祖母マライアの課題が出されます。前作でジョアンナの心を射止めたストーン。二人の結婚式が迫るヒドゥンジェム牧場で障害を持つ子供たちの1週間のキャンプが開催されます。広い牧場はいくつかの部分に分けられており,イベントが開催されると同時にキャンプも行えるということのようです。そこにやってきた自閉症のコーディとその母親のニーナ・ロウェリー。実はこのキャンプはかなり人気で予約を確保するのが難しいほどなのですが,急なキャンセルがあったということで運良く潜り込めた親子なのですが,それはマライアが仕組んだ計画の一部でした。最近牧場の株が買い占められつつあり,そのもくろみが成功すると別のリゾート会社に牧場が支配されてしまう怖れがあり,そうなると普通のリゾートと同じようなホテルやカジノが立ち並ぶ場所になってしまう怖れがあるのです。そしてその株取り引きの命運を握っているのはなんと,コーディに託されている株でした。ニーナの別れた夫で死別したロウェリー家がそのコーディの株の運用をしているのです。アレックスに課せられた課題はこのコーディの株をマクネア家のために買い取る説得をすることでした。出会った瞬間からアレックスはニーナに,ニーナもまたアレックスに惹かれるものを感じます。コーディのそばでその面倒を見ることができるように,ニーナはかつての国連職員の職を辞し,翻訳家として生計を立てていますが,このキャンプでコーディが次第にリラックスしその世界を確実に広げようとしている様子を見て,キャンプへの参加を喜び,その主宰者であるマクネア家に感謝し始めます。しかし,初めはただのカウボーイだと思っていたアレックスがマクネア家の一員であることを知り,警戒心を抱かざるを得ません。アレックスにとってはもうニーナやコーディから離れられないところまで来ており,株の件が知られてしまえばニーナの信頼を裏切ることになり,きっと二人はキャンプを去ってしまうだろうと状況に悩みます。しかしそれを黙っていては逆に二人を騙したことになると思い,ニーナに打ち明けることにします。ここが最大の山場になるところですが,その前にコーディが行方不明になったり,ストーンとジョアンナの結婚式とパーティにコーディとニーナを招待したりと,いろいろと状況が変化していき,ついに打ち明けるときがやってきます。さて二人の関係はどうなるのでしょうか。そして課題は見事にクリヤーできるのでしょうか。理屈抜きに楽しめる作品です。これは前作を読んでいなくても本作だけで十分楽しめます。
ディザイアの表紙はいつも素晴らしいのですが,本作のモデルの清楚で理知的な感じは今月のマンスリーベストです。


タグ:ディザイア

億万長者とバカンスを [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1021
億万長者とバカンスを His Heir, Her Honor
恋におちたプリンス 3) 2011」
キャサリン・マン 小林ルミ子





いよいよ3部作の最終巻です。長男カルロスは外科医としてライラの勤務する病院の小児外科医を務めています。王子だと身分が明かされた後,少し院内でカルロスに距離を置く人たちも出てきましたが,優秀な外科医としての腕の方が院内では重要であり,ライラもそのように接してきました。しかし,ここにきて,ライラはカルロスに告白しなければならない出来事が出来てしまいました。そう,カルロスの子供を授かってしまったのです。三ヶ月前の一夜。それ以降個人的な付き合いがなかったのですが,ライラもカルロスに責任を取って欲しいなどとは考えていませんでした。王族ほどではないにしてもライラはそれなりに社会的地位と経済的な余裕もあり,一人で子供を育てるのに困っていたわけではないからです。しかしカルロスに父親であることを告知しておく必要はあると考えたのでした。しかし,カルロスはそんなはずはないと言下に否定します。カルロスはかつて中で背中を打たれた後何度も手術をしている過程で子供が作れない身体になったと医師から宣告されていたからです。こんな形で二人の関係はぎくしゃくしながらも,互いに惹かれ合っていることは二人とも分かっていました。互いに30歳を越えた大人の男女のロマンスが繰り広げられます。親子鑑定を主張するカルロス,そんなことなら父親としての一切を放棄して欲しいと思うライラ。1週間の休暇を取って一緒に別荘で過ごし互いのことをもっと知り合おうと提案するカルロスの言葉に可能性を賭けてみようと思うライラでした。そしてカルロスにちょっかいを出そうとする女医の存在などがライラの気持ちを動揺させます。そんな時カルロスの弟から父王の容態が悪化していると連絡があります。医師として父親の元に駆けつけなければ。ライラをそのまま伴って父の病院に向かう二人でした。肝臓が悪化したエンリケ国王は,移植によってしか回復の見込みはありません。適合する三男アントニオの臓器の一部を移植することで回復の見込みがあるのですが,エンリケ国王は頑として治療を拒むのでした。それを説得するためにライラを伴って帰郷し,ライラが妊娠していることを理由に孫の顔を見たくないのかと父王に迫るカルロス。のちに国王と面談したときに次男のデュアルトが,何気なく言ってしまった言葉でそれを知ったライラは,自分が利用されたことを知り,怒り心頭に走るのでした。ライラのプライドの高さがうかがえる反応です。しかもそれを知ったのは急ぎ島の診療所で身内だけの結婚式を挙げた後でした。結婚二日目で離婚? さあ,カルロスはどんな言葉でライラの気持ちを取り戻すのでしょうか。エピローグは8ヶ月後,息子の誕生7週目の様子が描かれ,シリーズを締めくくります。結局3兄弟は父親の病気の悪化を知ったときからあれよあれよという間に生涯の伴侶を見つけたことになります。そして,兄弟の異母妹エロイーサのロマンスは別シリーズ「億万長者に愛されて」の中で描かれるのですが,王族に嫁いだ女性たち,そして王族だと知らなかったエロイーサなど,どんどん輪が広がっていく家族の広がりが興味をそそります。


せつない愛人 [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1020
せつない愛人 The Maverick Prince
恋におちたプリンス 1) 2010」
キャサリン・マン 氏家真智子





これから延々と家族の関係を広げていくシリーズの幕開けです。「恋におちたプリンス」のシリーズは,亡国の国王エンリケ・メディナの三人の息子たちのロマンスですが,三人の異母昧エロイーサが,ランディス家の末っ子と結婚しますので,ランディス・レンショー一族とも関係ができあがっていきます。「億万長者の愛されて」シリーズとこのシリーズはそんなわけで繋がっていくのです。
今回,3部作を一気に読みました。ブログにはそれぞれの作品をアップすることになりますので,始めにサン・リナルド・シリーズの歴史をちょっとまとめておきます。スペイン沖の島国サン・リナルド王国でクーデタが起こり,エンリケの弟が首謀者となったようです。シリーズにはこの反逆者側の人物はまだ登場していません。そのクーデタで国王の妻は殺害され,長男カルロスも背中を打たれ大怪我をします。ときにカルロス13歳のときでした。カルロス,次男デュアルト,三男アントニオ(トニー)は国王とともにフロリダ沖のサン・リナルドに似た島に本拠地を構えそこで育ちますが,長じてそれぞれ,島を離れて財を成し,自活していきます。国王がいなくなってからのサン・リナルドがどうなっているかについては,本シリーズでは書かれていません。常に反乱軍から身を守るため,このフロリダ沖の島に国王がいることは秘密にされています。そして三兄弟もサン・リナルドの王子であることを隠し,偽名を使って暮らしているのでした。第1作は末っ子のアントニオのロマンスです。
元ハイスクールの音楽教師シャノン・クロフォードがヒロインです。アントニオが王子であることが「グローバル・イントゥルーダーという三流紙に大々的に取り上げられてしまいます。このスクープ写真をとったケイト・ハーパーは第2弾の「契約されたスキャンダル」のヒロインとなって登場するのですが,トニーとシャノンはすでに物語冒頭で恋人同士として紹介されています。シャノンは教師を辞めて結婚しますが,ひとり息子と自分をおいて自殺してしまいます。夫の両親との関係もよくなかったシャノンは,テキサス州ガルヴェストン・ベイでウエイトレスとして働きだし,ひとり息子のコルビーを育てています。トニーが島を離れてトニー・カスティーリョと名告って漁師として働き始め,今や船舶会社を経営する富豪となっているのですが,そのきっかけとなり,育ての親でもあったヴァーノンの店「ガルヴェストン・ベイ・グリル」でウエイトレスとしてシャノンが働き始めたのでした。5ヶ月前に二人は出会い,その2ヶ月後につきあい始め,一月前から親密な関係になっていたのでした。しかし,マスコミにリークされたことによりトニーの身辺にマスコミが大挙して押し寄せてきたため,シャノンはトニーの豪邸に身を隠すことになります。そして一時離れていた二人の関係は再燃するのでした。やがてトニーは国王の病状が悪化したという知らせを受けて,シャノンを連れて島に向かうことになります。国王との面会という緊張する場面でもシャノンは臆することなく国王と対面し,その度胸の良さはトニーの伴侶としてもふさわしいと国王に認められます。そのとき国王のそばに二頭の犬がいました。これが,「野の花を愛した大富豪(SHALOCKMEMO1012)」でジョアンナたちが国王に犬を世話をすることになる前の愛犬だったようです。シャノンは息子コルビーをつれて島を訪れますが,トニーはコルビーとの関係を新たに築き,もはやシャノンから離れられなくなっていくのでした。サン・リナルドという島国で生まれたトニーの生活は海から離れられず,サーファーとしても一流の腕をもっています。トニーがシャノンにサーフィンを教える場面がありますが,このときにはコルビーとの関係も親子としか見え二ほど改善され,国王の2頭の犬,ベニートとディアブロもコルビーを守るように浜辺で戯れています。この平和な時間の描写が本作の中でもっとも感涙を誘う場面だと思います。また,後にメディナ家を裏切ることになる新しい秘書のアリス・レイェス・デ・ラ・コルテスが登場します。アリスは20代後半のシャネルのスーツをまとった黒髪の美女ですが,彼女はメディナ家の警備主任の妹に当たる存在です。さて,トニーはシャノンを愛していることに気づきプロポーズするのですが,シャノンはそれを断ります。一般人である自分が王族の妻としてふさわしくないと考えていたこと,コルビーのために愛しているという言葉を言ってくれないトニーとの結婚は考えられなかったのです。5歳の時,母を亡くし,家族とともに逃亡の生活をせざるを得なかったトニーにとって女性を愛することがどういうことか分からなかったのです。そして,シャノンは再び国王と二人だけで話す機会を得ました。トニーの過去のことを聞き,心を開いてみようと思えるようになるのでした。そんなとき,再び一家のことがマスコミにリークされる事件が起こります。トニーはシャノンがお金を得るために写真を流したのではないかと疑い・・・。シャノンは絶望します。もはやトニーを信じることは出来ないと・・・。しかし犯人は意外な人物でした。真犯人が分かり,トニーはシャノンを捜し当てて跪くのでした。シャノンは再びトニーを受け入れるのでしょうか。
サン・リナルド王国の大事件の説明が多く記載されていますが,決して観光案内的な書き方ではなく,国王やトニー,エロイーズの生い立ちやシャノンとの会話をとおして少しずつ明らかになっていく物語展開が面白く,これから始まるシリーズに期待感が持てる作品です。


キスの代償 [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1017
キスの代償 Honorable Intentions
Billionaires and Babies 27) 2012」
キャサリン・マン 大田朋子





原題は「正式な結婚の意志」。シリーズもののレンショー・ランディス一族の関連作です。元空軍大将の長男ハンク・レンショー・ジュニアはアフガニスタンの戦闘で親友のケヴィンが目の前で銃弾を受けて命を落とし,自らも傷を負うという経験をします。父から独立しようとしながらも自ら空軍が好きでアナリストとして空軍に所属していますが,亡き母の思い出を一番強くもっているのもハンクでした。しかし,父の後妻の元国務長官で現在大使を務めているジンジャーに幼少から育てられてきており,感謝の念をもちながらも常に夫妻や兄弟たちとは一線を引いて付き合ってきました。帰国後,ハンクが家族の下に向かうよりも先に訪れたのはケヴィンの元婚約者で古くからの知り合いでもあったガブリエルと遺児マックスの元でした。時期的に丁度マルディグラの真っ最中だったニューオーリンズ。周囲の喧噪の中ガブリエルは育児に疲れ,さらにウェブデザイナーとしての仕事とさらに学位を取るために大学院での勉強をするという極限状況の中にいました。なんとか彼女の疲労や苦労を癒やしたいという思いは,単に親友の恋人というだけではありませんでした。実は戦地に向かう前日,ハンクはガブリエルにキスしてしまっていたのです。口論になりケヴィンが家を出てしまった後に残されたガブリエルを慰めるつもりでしたが,親友の妻になる人と知りながらガブリエルに対する気持ちを抑えきれなかったということに,ずっと罪悪感を抱いていたハンクでした。ガブリエルはキスは自分の方からしたのだと言いますが,彼女の中にもケヴィンの対する裏切りを後悔する気持ちがあるのでは?と逆に心の傷を心配するハンクでした。なんとか彼女の負担を減らしたいと,ハンクは静かで広い一軒家を弟ジョナの手配で借り,ガブリエルとアレックスを引っ越させます。さらにかつてのガブリエルの隣人でアパートが漏水で住めなくなった夫人をナニーとして雇い入れ,ガブリエルが休む時間を確保したりしたのでした。二人はともに抱いている互いへの関心への罪悪感,そしてケヴィンを目前で死なせてしまったハンクの心の傷に向き合うきっかけを作るためにハンクが部隊に復帰するまでの期間を過ごすことにします。その期限があと数日に迫ったとき,二人の住む家をレンショー家,ランディス家の総勢が訪れます。ガブリエルはハンクが自分をどう紹介するのか。しかし母のジンジャーは二人のことには表だって触れずに,家族で取材を受ける場にガブリエルも同席する提案をするのでした。そして,翌日,ドイツにいるはずのガブリエルの両親もやってくるではありませんか。どちらの家族も一堂に会したものの,肝腎のガブリエルとハンクの関係はすっかり冷えてしまっていました。ハンクを愛していることを認めたガブリエルは,母に心の内を洗いざらい話した後,ハンクの元に勇気を持って向かいます。「待ってろよ,ハンク!」そんな気持ちのガブリエルでした。
戦闘がもたらす心の傷,しかしそれを乗り越えて生きていく力を,家族を,愛を取り戻したと思う全ての人たちへのメッセージ。そんな意味合いを含めたキャサリン・マンの傑作です。


タグ:ディザイア

野の花を愛した大富豪 [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1012
野の花を愛した大富豪 One Good Cowboy
( Diamonds in the Rough 1 ) 2014」
キャサリン・マン 野川あかね





「ファミリージュエルを守ることの大切さを忘れてはだめよ」という会話体で始まる珍しい作品ですが,これから始まる物語がまさしくこの一言に要約されています。一家の大黒柱のマライア・マクネアが不治の病に冒され,3人の孫にそれぞれ課題が出され,遺産の相続人を決めるという提案がなされます。双子のエイミーとアレックス,そしてその従兄弟のストーン。ストーンの母はジェイドですから,宝石に絡んだ名前だと言うことが分かります。一家は牧場とリゾートハウスを経営するアレックス,宝飾会社を経営するストーン,そして宝飾デザイナーのエミリーがそれぞれの事業を分担して協力してマクネア・ホールディングスをマライアが統括するという具合に事業を発展させてきました。ストーンの母は薬物中毒患者であちらこちらの療養所を転々としています。自らクラック・ベイビー,つまり薬物中毒を抱えたまま産まれてきた子供として母の元を離れ祖母であるマライアに育てられてきました。今でもその恩義を強く感じ実の母より祖母を慕い続けています。ジョアンナ・フレッチャーは動物看護師として牧場の動物の世話をしてきました。かつてすとーんとジョアンナは婚約していましたが,子供はほしがらないというストーンの言葉に傷つき婚約を解消したという経緯があります。今回ストーンに課せられた課題はマライアの可愛がっている四頭の犬の新たな飼い主先をジョアンナと一緒に回り犬たちが安心して預けられるかどうかを確認してくるというものでした。犬たちが如何に祖母に大切にされているかを知っているストーンはこの提案を受け入れます。ジョアンナはというと,婚約を解消したのが自分の方だということで気後れしていましたが,ストーンとの関係が改善されるかもしれないというかすかな期待があり,この提案を受け入れるのでした。自家用ジェットで一軒目の家を訪れる機中で,ストーンとジョアンナの関係はすでに以前の関係に戻ろうとしています。ジョアンナは訪問先がどこかは聞かされていません。これがなんと,ドノヴァン夫妻のところでした。キャサリン・マンの作品の読者であればよく知るアルファ・ブラザーズ・シリーズの「仮面の情事(SHALOCKMEMO748)」のヒーロー,ヒロインだったドノヴァン夫妻のところです。ここでの生活は快適で夫妻や子どもたちに犬がすっかり馴染んでいる様子にほっとします。そして1泊する間に二人の間は休息に接近するのでした。こんな形で二人の間の関係の修復があるいは祖母の課題の本当のテーマかもしれないとストーンもジョアンナも気づきます。そしてストーンが婚約解消に簡単に応じてしまった背景が少しずつ語られていきます。次に向かった先はランディス・レンショー夫妻のところ。これまた「億万長者に愛されて」のシリーズに登場する人物です。ここでストーンは秘密になっている自分の父親のことをジョアンナに打ち明けます。そして最後はヨーロッパの元国王のところですが,改まった場所に対して気後れを感じてしまうジョアンナのことを思いやってストーンは黙っていました。ところが最後の場所に向かおうとしたところでエミリーから緊急に電話が入り,マライアが発作で倒れ,病院に運ばれたところだというのです。二人は自家用機を家に向かわせ,病院に駆けつけます。自分を育ててくれたストーンはもとより,ジョアンナも両親を失った後マライアの援助で動物看護師の資格と牧場での職を得ることが出来,恩人以上の存在となっていました。大家族に憧れるジョアンナの原点がこのマクネア家の人たちだったのです。看病の傍らついにストーンはジョアンナに子供が出来ない理由を明かします。これまで嘘をつかれてきたこと,自分を信用してくれなかったことに傷ついたジョアンナはストーンを退けます。ストーンは予想していたとおりのジョアンナの反応にがっかりしますが,仕方ないとジョアンナを気遣います。幸いマライアの病状は好転し退院することが出来ました。そして,そこに驚愕の訪問者が登場します。ストーンの母が祖母を気遣い,療養所を退院して訪ねてきたのでした。母との和解は難しいものでしたが,ジョアンナを傷つけてしまったことを考えて,母に対してはやさしく接することが出来るようになっていました。そして犬の引取先の残りの一軒が,突然ロッジを訪問してきます。「恋に落ちたプリンス」シリーズのサン・リナルドのメディナ家の元国王です。二頭の犬を引き取りたいと申し出る元国王に,ストーンは一頭しか譲れないと反抗します。自分が祖母の元に置いておくために育てるといいだします。仕事しか関心のなかった冷徹なストーンと異名を取っていたストーンがジョアンナとの交流をとおして愛が最も大切なものだと気づいた瞬間でした。これまで自分が築いてきたものを全て捨てても自分の最も大切な人とともにいたいと,家族を守りたいとストーンが気づいた瞬間でした。
自ら著してきた作品シリーズの登場人物たちを配置してキャサリン・マンのファンにはたまらない作品となっています。


タグ:ディザイア

片思いは一夜に散って [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO805
片思いは一夜に散って For the Sake of Their Son
罪をあがなう億万長者 5) 2014」
キャサリン・マン 北園えりか





シリーズ「罪をあがなう億万長者」の最終話です。F1レーサー,エリオット・スターク,この魅力的なヒーローの登場です。幼少の頃から父親の虐待を受け,体に残る複数の傷。そんな彼を常に見守りかばってきた幼なじみルーシー・アン・ジョイナー。かつて,エリオットの秘書を務めていましたが,11ヶ月前にエリオットの元を去り,音信不通になっていました。そんなエリオットを,ミリタリースクール時代の友人たちが無理矢理ルーシー・アンのもとに連れて行きます。そしてエリオットが見たのは昔ルーシー・アンが住んでいた叔母のいえの庭のブランコで子供を抱いてあやしている彼女の姿でした。そう,その子供こそ,エリオットとルーシー・アンの間の息子だったのです。彼女が11ヶ月間音信不通になっていた理由はこれでした。そして,息子の存在を知らせなかった彼女に腹を立てるエリオット。しかし彼女から聞いた言葉は,エリオットが他の女性と婚約していたではないかということでした。実は婚約はマスコミ報道が先行し,すでに破棄されて何ヶ月も経っていたのですが,婚約の事実にルーシー・アンの気持ちはエリオットから離れなければという思いからだったのです。
エリオットはF1のシーズンが始まっており,ルーシー・アンと息子を連れてスペインからの毎週の連戦に出かけることになりました。そして,連戦2戦目にエリオットもルーシー・アンもエリオットのかつての婚約者の姿を目にするのです。と同時にレーススタート直後エリオットの車のクラッシュが・・・。
躍動的な場面と,二人が幼少の頃から受けた両親からの心の傷を乗り越えていく成長譚です。さらにエピローグではシリーズ最終話として,これまでのヒーロー,ヒロインのその後が語られます。


秘密の恋と小さな天使(罪をあがなう億万長者 4) [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO774
秘密の恋と小さな天使 Yuletide Baby Surprise (罪をあがなう億万長者 4) 2013」
キャサリン・マン 北園えりか





シリーズ第4作目は医師ローワン・ブースがヒーローとなります。本作ではサルヴァトール大佐が登場せず(電話の相手としては登場しますが),エリオット・スターク,ドノヴァン夫妻がローワンの仲間として登場します。
西アフリカの沖合の島カーボベルデのプリンセス,マリアマ・マンダラは医学研究者。この島で医学学会が開かれ,マリアマ王女も研究発表者として来ています。そして医療に関するコンピュータ・ソフトの開発者であり,臨床医師でもあるローワン・ブースもまた,学会での発表のため滞在しています。プリンセスが記者たちの追跡を逃れようとホテルの廊下でルームサービスのワゴンとユニフォームを拝借して,注文票にある部屋番号に届けようとします。その部屋は,まさしくローワンの部屋で,しかもワゴンの下部には赤ん坊が入っているではありませんか。生後三ヶ月ほどの女児はアイサという名前で,高名な医師ローワンに育てて欲しいというメモとともに母親に置き去りにされたのでした。以前から自分の開発したソフトを非難していたプリンセスに対してローワンは惹かれていたのですが,これを機会にと,二人で母親が見つかるまでアイサを育てないかと提案します。置き去りにされた女児の世話をするという美談が王女としての自分のメリットにもなるという説得理由をなるほどと思ったマリアマもまた,ローワンに密かに魅力を感じていたのでした。思いがけないことがきっかけで協力して赤ん坊の世話をすることになった二人。ローワンはさっそく赤ん坊を置き去りにした母親の調査をサルヴァトール大佐に依頼します。ローワンを助けるのはエリオットとドノヴァン夫妻。翌日ローワンの元を訪ねてきたドノヴァン夫人ヒラリーとローワンの親しげな様子に,マリアマは心穏やかでない気持ちに気づかされます。次第にローワンの存在を男性として意識していくマリアマ。そして自分がインターポールと関係があることを知られたくないローワン。二人の気持ちの駆け引きが,このシリーズの定番ですが,本作でもお約束のストーリー展開となります。そして母親の身元が分かったとき,マリアマはアイサと引き離されることに強い心の痛みを感じます。それを慰めるローワンもまた,マリアマとの関係を深めようとしていくのですが。
これまでの3作とはちょっと雰囲気の違う本作。特にヒロインが王位継承者のプリンセスとあって,シリーズの今後でどんなふうに彼女が登場してくるのかも楽しみになります。次作は「片思いは一夜に散って」ではエリオット・スタークがヒーローとなるようです。


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