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エリザベス・ロールズ ブログトップ

伯爵の無垢な乙女 [エリザベス・ロールズ]

SHALOCKMEMO1347
伯爵の無垢な乙女 In Debt to the Earl 2015」
エリザベス・ロールズ 小林ルミ子





 原題は「伯爵への借金」
 ヒロイン:ルーシー・アーミテージ(ヘンズリー)/7歳で母を亡くし,引き取ってくれた祖母も16歳で失い,祖母の面倒を見ていた伯父伯母からも追い出されギャンブルに狂う父には面倒を見てもらえず苦労している娘/緑色の目,赤毛の巻き毛/
 ヒーロー:ジェームズ・レミングトン/キャンボーン伯爵/長身,ハンサム/
 1802年3月に始まり,11月20日までの8カ月のヒストリカルロマンスです。舞台はロンドン。議員を務める伯父伯母のもとを追い出され,父親に連れられてロンドンに暮らすルーシー。しかしその父親は妻を亡くしてからギャンブルにその寂しさを紛らそうとし,ついに多額の借金を背負って行方をくらましてしまいます。教師を夢見ていたルーシーですが,その父親の借金を返すために働かざるを得ませんでした。男の子の格好をし,得意のバイオリンを路上で演奏しながら僅かな投げ銭を得,なんとか現在の下宿の家主に週ごとの家賃を渡す生活。ぎりぎりに切り詰め,真冬でも暖房のための石炭や薪を買えないため重ね着をしてなんとか寒さをしのぎ,食事も一日一回にするまでになっていました。さて,身元を知られないためキャプテン・ヘンズリーという通り名で知られる父に賭博で借金をつくってしまった従兄弟ニックがある晩襲われて怪我を負ってしまい,その後始末をするために頼られたのがキャンボーン伯爵ジェームズでした。ヘンズリーに掛け合うために訪れた部屋でジェームズはルーシーに出会います。みすぼらしく暮らすルーシーに父の居所を尋ねても要領を得ません。きっと父親とぐるになっていると勘ぐったジェームズは何度かルーシーの元を訪れますが,本当に切り詰めた生活をするルーシーに次第に同情の気持ちと男性としてルーシーを求める気持ち,そしてルーシーを守ってやりたいという気持ちが芽生えているのに気付きます。暖を取るための石炭を大家から買うと,金持ちを捕まえたと勘違いした大家から家賃を上げられてしまったり,ジェームズがルーシーのためを思って打つ手立てがことごとく裏目に回ってしまいます。しかし,無垢なルーシーもまた,親切にしてくれるジェームズ,自分を守ってくれそうになるジェームズに憧れの気持ちを抑えることができません。そしてついにジェームズから自分の元に来ないかと誘われ,愛人になるように要求されているのだと気付いたルーシーは,父の借財の身代わりとして自分を愛人に使用としているのではと思い,はじめはジェームズの誘いを断るのですが,次第にジェームズに惹かれている自分に気付き,例え愛人でもジェームズの元にいたいと思うようになって行くのです。ジェームズの名付け親のフォックス卿と愛人エリザベス。二人の元にルーシーを連れて行きます。フォックス卿とエリザベスの間の愛し合う二人の姿をうらやましく思うルーシーですが,愛人になれば自分がいつ捨てられるかもしれない,それでもジェームズを愛する気持ちは捨てられないと自らジェームズを求めてしまうルーシーでした。前後してルーシーの父が部屋に戻ってくるのですが,ジェームズとの会話で父の借金が100ポンドではなく1000ポンドであることを知ります。とても一生かかっても返せる金額ではありません。しかも父とジェームズの間にルーシーに隠している秘密があるようで,てっきり,父の借金の肩代わりに自分はジェームズに買われるのだと落胆してしまいます。ジェームズは自分を愛してはくれないのだと・・・。ジェームズは必死でルーシーの誤解を解こうとしますが,そんなとき,ヘンズリーの借財の証書を買い取った悪漢キルビーと売春宿の女将によるルーシーの誘拐とオークションが開かれていることを知ったジェームズは友人や使用人に武装させ,オークションが行われている場所に駆けつけます。そしてルーシーの身を守るためにジェームズは2000ポンドでルーシーを落札するのでした。同時にストリート・ボウに通報していたため,キルビーの手下たちは捕まえることができます。翌日小切手を現金化した女将も捕まえることができます。しかしキルビーは行方をくらましています。その夜キルビーはルーシーの住まいとルーシーの若い友人フィッチ少年にナイフを突きつけるキルビー。ルーシーの様子がおかしいことに気付いた使用人の機転でジェームズはキルビーに銃弾を撃ち込みルーシーとフィッチを守ることができるのでした。
 貴族と路上生活者の恋。身分を落としてしまったものの無垢な純情と知性そして音楽の才をもったルーシーが伯爵ジェームズの愛を勝ち取るまでの純愛物語です。1802年ということでまだナポレオンの影もなく,時代的特徴も強調されないため純愛が強調される作品となっています。


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憂鬱なシンデレラ [エリザベス・ロールズ]

SHALOCKMEMO685
憂鬱なシンデレラ Lord Braybrook's Penniless Bride 2009」
エリザベス・ロールズ 高山 恵





愛人の娘であることから,クリスティ・デイントリーは,弟のハリーがブレイブルック子爵の妹アリシアと交際していることをなんとか食い止めようとする。丁度家を追い出されようとしていたところにうわさを聞きつけた子爵がやってくるが,子爵はクリスティに自分の継母の話し相手兼弟妹の家庭教師をしないかと持ちかける。ヘレフォードシャーの地所には仲の良い弟妹たちと継母セリーナがおり,クリスティはハリーをけん制しつつ自分の存在を次第に主張していく。いつしか子爵とクリスティの間に互いを思う気持ちが深まり,子爵は愛人にならないかとクリスティに持ちかける。断固として断ったクリスティだが,子爵の優しさや気遣いに惹かれていく。

子爵の父の隠し子ナンを引き取ろうとしたり,穴熊の巣穴に落ちた子犬を助けようとして怪我を負ったりするクリスティの活躍もさることながら,継母セリーナとインド帰りのナイジェル・ハバガル氏の愛にあふれた姿など,自分の周囲で起こる愛にあふれた行為と,義務や責任という貴族としての矜持をなかなか崩せないでいる子爵ジュリアンの葛藤が見事に描かれた好著。


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仕組まれた縁組 [エリザベス・ロールズ]

SHALOCKMEMO632
仕組まれた縁組 The Unexpected Bride 2004」
エリザベス・ロールズ  Elizabeth Rolls  elizabethrolls.com 永幡みちこ





エリザベス・ロールズのヒストリカル・ロマンス.美人のフォリオット姉妹,ペネロペとフィービ,姉の方のペネロペは事故のため視力を失っている。しかし,今でいう盲導犬に当たるジェラートを頼りながらも,日常生活には支障がない。さらにピアノも巧みに演奏する才女.妹のフィービは夢見る乙女で婚約者のリチャードとの結婚を決意している。しっかり者の姉と思いやり深い妹は外見上は全く区別がつかず,しかし婚約者のリチャードは失明しているペネロペを気遣いながらもフィービに深い愛情を抱いており,二人の区別は躊躇せずにできる。こんな設定のフォリオット家ですが,父親が事故で亡くなってしまい,弟のジョンは賭け事に目がなく,財産以上の賭けに負けてしまい大きな負債を背負ってしまいます。賭けの相手のピーター・ダーレストン伯爵はその賭け金の支払いの方にフォリオット家の女性との結婚を承諾します。しかし,その相手はすでに婚約ていた妹の方であり,姉の方が社交界から遠ざかっていたため,その存在すら気付いたいなかったのです。そして,訪れたフォリオット家で待っていたのは,「ミス・フォリオット」と指定されたことを逆に利用して,姉のペネロペが伯爵の結婚相手になることでした。伯爵は依然公園でペネロペに出会っており,その才気煥発な会話を楽しんだ経験から,結婚相手が失明していることには全く気付きませんでした。契約上の結婚か,愛のある結婚か.二人の間の緊張感と洒落た会話,そして二人の間の駆け引きが続きます。やがて,伯爵夫人となったペネロペがオールマックス他の社交界に夫とともに登場するとペネロペの人気が高まり,そこに伯爵の元恋人のキャロラインや,破産寸前の伯爵のいとこ,フロビシャーなどの悪だくみが始まります。狙われているのは伯爵かペネロペか。伯爵の親友たちも絡んでの活劇が始まりますが,ヒストリカル・ロマンスの常として,あっさりと悪だくみがばれてしまうところもありますが,そこはペネロペの繊細で優秀な推理がものをいうところも,読んでいてうれしくなります。最後にもう一つうれしいドラマが用意されていて,サービス満点の読後感の素晴らしい作品に仕上がっています。


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乙女の告白 [エリザベス・ロールズ]

SHALOCKMEMO503
乙女の告白 The Dutiful Rake 2002」
エリザベス・ロールズ Elizabeth Rolls elizabethrolls.com 海老塚レイ子





 イギリスで生まれ,オーストラリアで暮らしているヒストリカル作家エリザベス・ロールズのシンデレラ・ストーリー。
 スキャンダルで社交界から見捨てられた両親亡き後,ひどい吝嗇家である大叔父のサミュエル・ラングリー伯爵に家政婦同然にこき使われていたマーガレット・フェロウズは,インフルエンザにかかり,床に伏せっていたため,サミュエルの伯爵位を継いだマーカスに数日会えなかったが,高熱の中で医者の診察と,親切に看病してくれたマークのことはうろ覚えに覚えていました。しかし,熱も下がり,新しい伯爵を出迎えたときに,マーガレット(メグ)に声をかけたのは,親切にしたマークではなく伯爵としてのマーカスでした。自分をこのまま家においてくれるはずがないと思い込み,メグは家庭教師に雇ってくれるはずだった家に訪ねますが,両親のスキャンダルが災いして子供に悪い影響を与えると,家庭教師を断られてしまいます。嵐の中を徒歩で歩き出してみたものの,行く当てもなく結局,伯爵家に戻ると,マーカスは,家にとどまるように,そしてさらに自分と結婚してほしいとメグに告げます。
 病気の自分に親切にしてくれたマーカスがきっと自分を守ってくれると信じて,イエスの返事をしたメグでしたがが,マーカスは結婚の条件として,契約結婚であると説明します。自分を愛してくれるために結婚を申し込むのではなく,子孫をもうけるため,そこそこ社交界でのつとめを果たしてくれれば,互いに自由に生きることを約束しようというマーカスの申し出に,メグには承諾するしか道は残されていなかったのです。
 病気が回復し,1ヶ月後に結婚すると,マーカスはメグの美点に次第に気づき始め,愛情をも感じるようになりますが,自ら宣言した結婚の条件からなかなか逃れられず,素直にメグに愛しているとは告げられないマーカス。そしてマーカスの姉,ダイアンの教えもあって次第に上流階級になじんでいくメグでしたが,いつになっても自分の無知によって夫に恥をかかせるのではないかという恐れから,自分の心を素直には夫に告げられないメグでした。そんな互いの気持ちのすれ違いから,メグはついに夫に対して,「好きですって? どうして好きにならなければいけないの? 結婚にそんなことを望む男性がどこにいるの? 愛は結婚以前のところで求めるものだとばかり思っていたわ。 財産や地位や安定した生活のために結婚するのが当たり前なんだと。」と怒りをぶつけてしまいます。これはまさに,当時の上流階級での結婚観をみごとに言い表している台詞ではないでしょうか。
 その後,ある出来事がきっかけで,マーカスは,メグに恋をしていることに気づきます。「今,マーカスは愛を知ってしまった。そんなつもりはまったくなかったのに,契約を交わした後,メグに恋をしてしまった。思えば浅ましい契約で,自分が恥ずかしい」と。この感情は,まさしく,「マイ・フェア・レディ」での,舞踏会の後の教授の気持ちではないでしょうか。作者がシンデレラストーリーをえがく上で,あの高名な映画を下敷きにしているのは間違いないと思います。
 不幸な生い立ちから,令嬢らしい教育を全く受けてこなかったメグの境遇にも感情移入してしまいますし,それにしても,自らの才能や,美貌に全く気づかずに,ひたすら仮面をかぶって,表面的な感情を押し隠し,それをうまい言い回しで言いつくろうメグ。そして,自ら宣言してしまった結婚の条件に縛られて,素直に自分の気持ちを妻に伝えられないマーカスの言動など,上流階級の虚飾が,メグとマーカスの感情の変化やことばを通して,とてもやんわりと指摘されている本書の背景には,イギリスで生まれ,オーストラリアで暮らしている作者の体験がかなり関わっていると思います。


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