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満ち潮の誘惑 [アマンダ・クイック]

SHALOCKMEMO444
満ち潮の誘惑 Ravished 1992」
アマンダ・クイック Amanda Quick amandaquick.com 高橋佳奈子





アマンダ・クイックはジェイン・アン・クレンツの別名義。これまでもかなり質の高いヒストリカル作品を上梓しています。
本作品もサスペンスとロマンスとミステリの融合したかなり楽しめるものに仕上がっています。
さて,リージェンシー時代と思われるイギリス。化石収集という当時はかなり上流階級で流行した趣味にどっぷりとのめりこんだ未婚の女性ハリエットは,自分の住居の近くの洞窟で巨大動物のものと思われる歯を発見します。この洞窟は満ち潮になると入口が潮で満たされ出入りできなくなってしまうところで,ある日,この洞窟周辺を怪しげな男たちが出入りするのに気付いたハリエットは,領主であるセント・ジャスティン子爵ギデオンに手紙を出し,盗賊たちを捕まえてもらおうと考えます。しかし,このセント・ジャスティン卿は自分の婚約者を殺してしまったととかくの噂のある怪しげで恐ろしげな領主。しかも,顎には決闘で負った傷があり,風貌も恐ろしげで,近寄りがたい存在でした。そんな,卿に,手紙を出してお願いごとをしようなどと考えるだけでも恐れ知らずで常識はずれなハリエットの性格が表れています。化石のことを考えると,他の事はすべてどうでもよくなってしまうハリエット。そんな彼女には,亡くなった牧師の父親と同じ趣味が残され,今まさに社交界にデビューしようとしている絶世の美女である妹フェリシティと叔母でお目付け役のエフィーとともに暮らしているのでした。フェリシティはこんな姉の性格を常に微笑ましく感じ,決して姉と自分を比較して優越感に浸るような心の狭い娘ではないのですが,姉のハリエットは美しさは妹にまかせ,自分は一生結婚などは考えずに化石収集に一生をささげているのでした。



のちにセント・ジャスティン卿ギデオンに何度美しいといわれても,妹のフェリシティと比較して自分などは美しさはないと思い込んでいるハリエットですが,物おじせず,頑固で,こうと信じたことは貫こうとする性格は,愛嬌があり,さまざまな周囲の憶測や噂にも負けずに,まっすぐに生きていこうとします。本作品の魅力はひとえにこのハリエットの性格とその行動によるものでしょう。最後にはこのハリエットの性格と行動が,すっかりねじれてしまったセント・ジャスティン子爵とその父親のハードキャスル伯爵の関係や周囲の社交界の常識までも変えてしまうのです。
そんなハリエットの魅力を見抜き,不幸な出会いからすっかりハリエットに嵌まってしまったギデオン卿は,ハリエットの突拍子もない行動に振り回されながらも深く愛し,保護しようとしていきます。まさに古き良き時代の夫婦観を体現した素晴らしいカップルになっていきます。
大団円では,盗賊の親玉であり,ギデオンのかつての婚約者とただ一人の兄を死に追いやった人物が明らかにされますが,現実を受け入れて未来に生きようとするハリエットとギデオンの明るく幸せな生き方に救われ,暗さのみじんもない作品に仕上がっています。
まさに,お薦めの一冊です。


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