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ボスとナニーの契約結婚 [テレサ・サウスウィック]

SHALOCKMEMO1358
ボスとナニーの契約結婚 MarryingTheVirginNanny
( Nanny Network 1 ) 2009」
テレサ・サウスウィック 中野 恵





 原題は「無垢なナニーの結婚」
 ヒロイン:マーガレット(マギー)・メアリー・シェパード(?歳)/「ナニーネットワーク」所属のナニー,養護施設「グッド・シェパード」出身者/ダークブルーの瞳,長いブラウンの髪,大きすぎる口,甘く愛らしい美しさ/
 ヒーロー:ジェイスン・ギャレット(?歳)/「ギャレット・インダストリーズ」経営者/黒い巻き毛,黒い瞳,すばらしい笑顔/
 実に5年ぶりとなる作者の訳本です。ハーレクイン・スペシャル・エディションでの発行の多い筆者ですから,受け側となる日本側のレーベルがなく,かつてのNシリーズがあれば毎年順調に訳本が出ていたのでしょうか。2014年以降「Bachelors of Blackwater Lake」シリーズを初め,精力的に作品を上梓している作者ですので,いずれまた翻訳もなされていくのでしょう。でもN版がなくなったので,シルエットを中心にしているD版が中心になるのでしょうね。
 さて,ナニーものの好きな斜麓駈としては,本作はとても楽しく読めました。舞台はラスベガス。ナニーであるヒロインの出自が児童養護施設で,両親が誰かは全く不明,でも大学卒でそれなりの格好をすれば地味だけれど美しいという設定です。上流階級では,自分の子供を預けるナニーに施設出身者を嫌がるという傾向があるように思うのですが,修道院でも修行したというヒロインの言葉で,決して身持ちが悪い人ではないという保証になったのでしょうね。望まない妊娠で出産した恋人との間の子供,初めは産まない選択をしようとした相手に十分なお金を払ってなんとか親権を確保し,相手には親権放棄をさせたヒーローのジェイスン。しかし生後1カ月ほどの息子に愛情を注いでくれるナニーはなかなかいませんでした。もうすでに数人がクビになってしまっています。そんなとき所属する派遣会社から直接面接にやって来たマギーが,富豪である自分よりも赤ちゃんを優先しようとしてはやばやと泣き叫ぶ赤ちゃんをすぐになだめてしまった様子を見て,ジェイスンはちょっと安心します。しかも自分は6週間しかここで働けないと,すでに期限を切ってしまうのです。雇う側が期限を切るならまだしも雇われる側から期限を切られてしまったことについて,ちょっとむっとしたジェイソン。しかし手際よく赤ん坊の世話をするマギーの様子を見てジェイスンは直感的にこの人は信頼できると思うのでした。これほどの大金持ちで家政婦や料理人を雇っているのにもかかわらず住み込みなのはナニーだけ,ってこれちょっと変ですよね。普通家政婦は少なくとも住み込みでしょ。かつて恋人に裏切られ,雇い主にも裏切られた経験をもつマギーは,乳幼児専門のナニーとして,情が移ることを嫌い6週間を期限とすることを自分に課していたのでした。物語中盤でこの当たりの事情が明らかにされますが,まぁ二人の出会いはまずまずだったようです。そしてその間にますますマギーへの信頼と魅力に取り憑かれたジェイスンはなんとかして6週間以降もマギーを引き留めようとします。最終的な方法は,契約結婚。結婚はするけれど,外部には知られないようにすること,そしてマギーの役割はあくまでもナニーとしての仕事,ただ長期にわたることから結婚という手法をとるということに過ぎない。見返りは? 毎週土日にボランティアしているかつて自分を育ててくれた養護施設のシスターたちが,建物の修理をしないと当局から廃止命令が下されるかも知れないと悩んでいることをなんとかしたいと思い,その資金をジェイソンが提供することを条件として結婚に承諾するのでした。勿論生前契約を交わし,すべては弁護士の作成した書面で明確に規定された結婚です。思いの外に立派に修理されようとしている施設の建物に安心するマギーですが,気になるのは,一緒に住んでいるジェイソンが自分に対する欲望を感じているようなのに自分をナニーとしてしか扱ってくれないこと。そしてなにより恋愛を恐れているように思えることでした。両親とも数回の結婚離婚を繰り返し身を落ち着けることがない様子の中で育ったジェイソンに取ってみれば,安定は愛の中ではなく書面の中にあると感じてきたことは悲しいながらも事実でした。一方両親の名前すら知らず,自分の名前も自分の世話をしてくれた二人のシスターの名前と施設名苗字にするというまさしく愛を知らずに育ったにもかかわらず,常に子供たちや他人の世話をしようと愛に溢れた性格に育った様子を見て,ジェイソンにはマギーは理解できない女性だったのでしょう。そして欲望を覚えつつも二人の結婚に愛を持ち込むことをひたすら耐える,というかどうやって愛すればいいかわからないというのが本音だったのだと言えます。そんなジェイソンの態度にマギーは悩み,シスターに相談したり,ナニー派遣会社経営者のジンジャーに打ち明けたりしてきたのですが,最後はなんといってもジェイソンとの二回の深い関係で妊娠が分かり,それを打ち明けたところが冷たい言葉を浴びせられたところですっかり落ち込み,施設に逃げ帰ってしまうのでした。息子のブレイディに対する愛情の深さを見ていて,きっと自分の妊娠を喜んでくれるだろうと期待していたマギーにとってジェイソンの冷たい態度は何にも勝り心を傷つける言葉だったのです。曰く「僕たちの関係は,合意と契約の上に成立しているはずだ。契約に基づいて君がすべきことは,ブレイディの面倒を見ることであって,あの子に弟妹を与えることじゃない」。ジェイスンは結婚が全くビジネスの一形態に過ぎないと言わんとしたのでした。
 ともに両親の行動に嫌気がさしていても,ジェイソンのように父親が生きており,例え関係が悪くても会うことができることは幸せなことなのですし,自分を捨てたと思っていた母親が実は自分を引き取るための弁護士費用を貯めるために,3つも仕事を掛け持ちしていたことを知ったあともなかなかマギーへの愛に気づけなかったのに対し,一度も親の顔も名前を知らずに,しかもぜんそくの持病を持っていたために養子にもいけなかったという社会的弱者であったマギーが愛情深く,思慮深い女性に育ったことを,ジェイソンがそれは愛の力の差だと気付くまでそれほど多くの時間はかかりませんでした。最後はとても温かい終わり方をする秀作です。


タグ:ディザイア
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