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燃える砂丘 [ヴァイオレット・ウィンズピア]

SHALOCKMEMO1149
燃える砂丘 The Burning Sands 1976」
ヴァイオレット・ウィンズピア 石川妙子





 「燃える砂丘」というタイトルは,直訳的なタイトルですが,本作の雰囲気を伝えているタイトルだと思います。イギリス人のモデル,セーラ・イノセンスは落馬によって左足に故障を負ってしまい,モデルウオーキングができなくなったため失職してしまいます。さらに馬に乗るように進めた婚約者も自分を捨ててしまい,自分のペントハウスも失いつつありました。そんな時ふと見つけた新聞の求人広告に応募してみると,面接通知があり,指定されたレストランに行ってみるとベルベル人の王の使いという人でした。モロッコのはずれの砂漠の国ということで二の足を踏むセーラでしたが,経済的事情が止むに止まれぬ状態だったことと,自分を捨てた婚約者から遠ざかりたいという気持ちから承諾してしまうのでした。この決断をセーラは後日かなり悔やむことになるのです。さて,ベルベル人とは,北アフリカの広い地域に住むコーカソイド系の独自の文化を持つ人々で,アフリカに住んでいても東洋人と本作の中でも何度も紹介されています。イギリス人セーラからしてみると野蛮な文化を未だに持つ人々ということになるのですが,厳しい砂漠で生きて行くためにはそのような考え方や生活習慣,そしてイスラムの教えが欠かせない文化ということになるのでしょう。アフリカ北西部が東洋という認識にはいささか首をかしげざるを笑ませんし,アラブとの違いというのもよく分かりませんが,ヨーロッパの人たちから見るとそうなのでしょう。とにかく男性は頑固で融通が利かず,プライドが高いというイメージが定着しているようです。そんなヨーロッパの人たちの認識に沿う形で本作は書かれていますし,かなりステレオタイプを全面に押し出した作品なので,まぁそこは物語としてアラブといえばアラビアンナイトというのと同じなのかもしれません。
 モロッコの空港に着いたセーラを迎えに来た謎の男性は,なかなかのハンサムで,自分をここに来るようにとりはからった砂漠の国ベニ・ザインの首長ザイン・ハサンの家臣だと思い込んだセーラは,かなり自分勝手な要求や非難をするのでした。しかしそんなセーラの言葉や態度にめげずに繰り返しベニ・ザインや砂漠の暮らしのことを教えようとする男性。実はその男性こそザイン・ハサン本人だったのです。首都の城に着いて始めてそのことを知ったセーラは,その後もなんとかイギリスに帰りたいと訴え続け,いろいろと頭の中で逃げ出す算段をするのですがどれも実現不可能。そしてザイン・ハサンから妻にしたいと申し渡されてしまうセーラでした。過去に,愛する妻を亡くしさらに跡取りの息子をも亡くしてしまったザイン・ハサンは,愛する心は亡き妻の眠る砂漠に葬ってきたとセーラに素直に告げるのでした。つまりセーラとの結婚は,亡き息子の代わりに跡取りを生んでもらうための結婚だというのです。そしてこの砂漠の国に来てしまった以上もはや,絶対的権力を持つザイン・ハサンの命令に逆らうことは死を意味することだということも周囲の人たちやザインの妹たちからも何度も聞かされていくのです。もはや逃れる手段はないのかと思いかけたある時,庭に咲く花を摘んで香りを嗅ごうとしたときに,花にいた蜂に唇を刺されてしまい,セーラは意識を失ってしまうのでした。この事故がザインに与えたショックの大きさに,逆にセーラも驚き,かつて妻と息子を失ったザインに熱い想いを抱いていることに気付くのでした。さて,二人の愛は成就するのでしょうか。
 非日常的な状況の中での愛の姿をセーラをとおして描いた野心作だと思います。


タグ:ロマンス
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