So-net無料ブログ作成

家なき子へのプロポーズ [メイシー・イエーツ]

SHALOCKMEMO891
家なき子へのプロポーズ Girl on a Diamond Pedestal 2012」
メイシー・イエーツ 飛川あゆみ





イギリス版Mills and Boonの表紙を見てください(image下)。真っ赤なドレスでピアノに向かうヒロインの姿は,ブロンドで背中も大胆に開いたデザイン。そしてS字型に捻った後ろ姿が,なんともセクシーでしかも真剣にピアノに向かう姿勢が感じ取れるイメージになっています。ロマンスのカバーデザインの中でも,MB版は素晴らしいものが多いのですが,これほど読む前から引き込まれるデザインはあまりないように思います。
天才少女ピアニストの名をほしいままにしてきたノエル・バーチですが,すでに20歳を越え,コンサートツアーの声もあまりかからなくなり,CDの売り上げも激減してきました。印税で買えるのはわずかな食料ぐらい。電気代などを節約するため,暖房も電気も広い家の一間だけに限定して暮らさなければならないほど,経済的に追い詰められてきていました。そしてついに,彼女名義の家も競売に掛けられることになってしまいます。幼少の頃から世話をしてきた母は,彼女が稼いだお金を全て持って家を出てしまい,一人寂しく暮らす日が続いていました。そんな時,かつてノエルの母と愛人関係にあった男性の息子,イーサン・グレイが訪ねてきます。そして,自分と結婚すれば家の借金を払い,しかも名義はそのままにしようと便宜的結婚を持ちかけてきたのでした。男性としてのイーサンに惹かれるものを感じながらも愛のない結婚に二の足を踏んだノエルですが,経済的にどうしようもなくなり,この話を受けることにするのです。イーサンもまた,自分の母親を傷つけた父とノエルの母に憎しみを持ち,ノエルを通して仕返しをすることと,祖父の持っている財産を結婚によって父ではなく自分が受け継ぐという約束を果たすため,この便宜的結婚を考えついたのでした。婚約者としてマスコミや社交界に互いに愛し合っているように見せる。そんな演技を,これまでステージで平気でこなしてきたノエルにしてみれば,難しいことではないのですが,やはり愛のない関係は,周囲にも,自分の家族にも嘘をつくことになり,気が進まない点もありました。しかし,最初の口づけから,ノエルは真剣にイーサンに惹かれてしまいます。なんとかイーサンの気持ちを自分を愛するように仕向けていきたい。そう思いながらも,これまでの人生をピアノの練習と作曲に明け暮れ,恋愛経験を一度もしたことのないノエルにとって,どう振る舞って良いのか全くわからないままでした。それでも自分の気持ちの赴くままにイーサンからの誘いに本気になってしまう自分に気づいていきます。やがてラスベガスで即席の結婚式を行い,正式に夫婦になった二人。財産を受け取ることが出来るようになったイーサンは父親にそのことを告げ,復讐は完成するのですが,しかし達成感は得られませんでした。復讐や財産よりももっと大切なもの,つまりノエルの存在こそが自分にとっては大切なものだと気づきます。愛になれていない二人が不器用で,互いの気持ちを傷つけながら次第に離れられなくなる,そんな姿が愛らしく,ほろりとさせられる秀作です。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。