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聖夜に愛して [アン・ヘリス]

SHALOCKMEMO453
聖夜に愛して Married by Christmas 2007」
アン・ヘリス Anne Herries lindasole.co.uk 高田ゆう





ここ何冊か,リージェンシー時代の階級差を乗り越えて貴族階級のヒーローと紳士階級,特に牧師の娘のヒストリカルロマンスを続けて読みました。子孫を残し,財産を維持しようとする財産目当ての愛のない結婚と,上品さは薄く,財産にも乏しいものの,たくましく生きる生き生きした紳士階級の令嬢との愛にあふれた結婚との間で悩み,苦しむ男女の姿は,時代の特徴でもあり,結婚という形式と,世間からは非難される愛人という存在との狭間で,揺れる二人の思いがストーリーを進行させる原動力となっています。
また,本編ではナポレオン戦争でヨーロッパを転戦し,特にスペインでの戦いののち,英国本国に戻ってきた貴族階級と,帰国後も戦争の荒れた人間性を残したまま悪に走ることになってしまう敵役の存在が,戦争というものの本質を見事にとらえた作品になっています。
表紙の瞳をきらめかせて幸福感に浸る乙女の姿は,貴族階級の令嬢とは異なり,いかにも生き生きと愛のある結婚をした乙女の姿を見事にとらえています。本編のヒロインであるジョセフィン(ジョー)もきっとこのような生き生きとした笑顔の荷がう乙女だったのでしょう。白い歯を見せて笑うというのは貴族の令嬢はあまり見せない姿なのではないかと思われます。とびきりの美女というわけではない,しかし,生き生きと愛らしく,生活をエンジョイしようとした知的で才能にあふれた紳士階級の娘の典型を示しているようの思います。
また,ヒーローのハルは,戦争中の兄の死によって,病気がちな父を気遣い,駆け落ちした義姉の行方を捜し,結婚によって家を守らなければならにという義務感と責任感を持ち,財産のない紳士階級の娘であるヒロインを娶ることになかなか踏み切れないでいます。当時の貴族階級では愛情による結婚よりも義務感での結婚が多く,愛人を持つことも社会的には認知されていたということですが,義務による結婚よりも愛による結婚を選択しようとする人々が次第に増えてきたということも,社会的な変化としてリージェンシー時代の大きな変化だったのかもしれません。
本編はそのような,社会的な変化をしっかりととらえたアン・ヘリスらしい佳作に仕上がっています。


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