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塔の中のペルセフォネ [パトリシア・F・ローエル]

SHALOCKMEMO1084
塔の中のペルセフォネ An Inpetuous Abduction 2008」
パトリシア・F・ローエル 高橋美友紀





原題は直訳で「ある衝動的な誘拐」とでもなるでしょうか。邦題の「塔の中のペルセフォナ」は蓋し名訳だと思います。ギリシア・ローマ神話を意識した題名になっているからです。さて,ロマンス小説を読み始めてもう15年ぐらいになるでしょうか,初めはリンダ・ハワードやノーラ・ロバーツ,サンドラ・ブラウンなどが多かったのですが,ウェブサイトを立ち上げた2003年頃から次第にヒストリカルに目が向くようになりました。数年間は読書の中心はヒストリカルものだったのです。もともと歴史好きでしたので,ロマンス小説の中に歴史物があることを知ったときはすんなり入り込めていったのです。そして中高校生ころ夢中だったSF小説のスペースオペラのロマンス版ともいうべき中世が舞台になるヒストリカルに浸っていたことを思い出します。マーガレット・ムーア,スーザン・スペンサー・ポール,トーリ・フィリップス,デボラ・シモンズといった作家たちの作品に興味深く手に取れました。今はほとんど,ロマンス,ディザイアが中心ですが,こうして久々に本格的ヒストリカルを手にしてみると,また昔のヒストリカル好きの虫がうずきだしてきたような気がします。そんな意味で本作はとても面白く読むことができました。
時は1811年,イングランドのダービシャーが舞台です。ヒロインはファーストネームとセカンドネームにペルセフォネ,プロセルピナという神話上の紙の名前を持つ通称フォナ。母親もデメテルという神話上の名前を持つ美女です。しかし毎日のように母から注意を受けていて,なんとか母の言うことをききながら気に入られよう,認めてもらおうと20年間思い続けているフォナですが,自分のまとまらない髪や十人並み以上には思えない自分の容貌に自信を持てないでいます。そんなフォナが勇気を出して屋敷を抜け出し愛馬ファイヤーフライと共に隣の領地との境の柵を越えたとき事件が起こります。そう,誘拐されたのです。誘拐犯はまさに海賊フック船長とそっくりに黒い眼帯と左手にするどいフックをつけた黒い服装の長身の男性と,骸骨か幽霊のように見える極端にやせた下僕でした。初めは何とか彼らの元から逃れようとするフォナですが,君は他のものから狙われていると警告され,結局どこかは分からないところに連れて行かれ,塔の中に閉じ込められてしまいます。そしてひどく体力を消耗したフォナは高熱を出してしまうのでした。その後の数週間,海賊と骸骨の二人の手厚く親切な介護を受け,次第に体力を回復したフォナは,すっかりこの塔の中での生活に馴染んでいきます。いよいよ身体の調子が回復し家に帰れると分かったフォナは逆にここでの生活やハデス卿と名のった男性や下僕のアルフレッドとの別れを惜しむ気持ちで一杯になります。しかしハデス卿はすぐにまた出会うことになると意味不明の言葉を残して去って行くのでした。
帰宅後,しばらくしてフォナの無事帰還を祝うパーティが開かれます。現れた隣人のポイントフォート侯爵レオポルド・デボルソヴァーがハデス卿であることにフォナはすぐ気付き驚きます。すっきりとひげを剃り,眼帯も付けず左手のフックもしていないレオポルドですが,ハデス卿であることはすぐに分かりました。そしてフォナを誘拐したのがポイントフォート侯爵レオであることが明かされ,レオはフォナの父親にフォナとの結婚を承諾してもらいます。しかしその後も公園を馬車で通っているときに銃で狙われたりと不穏な事件が起こり続け,やがてポイントフォート侯爵レオだけでなく,その狙われている対象が自分も含まれていることに気付く二人でした。塔の中では海賊風の装いとは逆にすっかり紳士的にフォナに接してきたレオですが,フォナに求められると,すっかり妻であるフォナから離れることのできない夫に変貌してしまい,二人は毎日のように互いを求め合う幸せな日々を過ごしています。その間にも着々とポイントフォート侯爵位を狙う悪漢たちの計画が進行していきます。初めは犯人ではないかと疑っていた従兄弟のロバート(ロブ)が襲われ,ロブに息子がいることが分かり,そのアーサーもまた狙われていることを知り,助けに駆けつけるレオ。そしてついに侯爵家に集まった親類たちの話しの中に先々代の弟一族がいることが分かり,苗字も変えていることから一族であることを知られていないことが分かります。一族を屋敷に招いての証拠探し。そして決定的な対決の時が迫ります。誘拐されたときからフォナの勇敢さと気持ちの強さを知っていたレオ,そしてフォナの家族やレオの家族の女性たちが対決に大きな役割を果たし,クライマックスを迎えます。
自分を魅力的だと言ってくれるレオをフォナは信頼し二人の強い絆で事件を解決していこうとするとても元気をもらえる作品です。二人の軽口もなかなか面白く,訳文のすばらしさが光るオススメの作品です。


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