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尖塔の花嫁 [ヴァイオレット・ウィンズピア]

SHALOCKMEMO1470
尖塔の花嫁 The Man She Married 1982」
ヴァイオレット・ウィンズピア 小林ルミ子




K-479
17.06/¥670/156p

I-2179
11.07/¥690/156p


 原題は「彼女が結婚した男」
 ヒロイン:グレンダ・ハートウェル(?歳)/エディス・ハートウェルの養女/琥珀色の瞳,ウエールズ系の透き通るような白い肌,赤褐色の髪,ハート形の顔/
 ヒーロー:マルロー・アルマン・デアス(30歳)/製鉄会社経営者,ノワール城主/長身,褐色の肌,鋼のような冷たい目,頬に残る火傷の跡,黒い髪と眉/
 許嫁になりすまして傲慢な富豪の元に嫁いでしまったグレンダ。いつ正体が知られるかビクビクしながらも,次第にデアス家の人々の中に溶け込んでいくのですが・・・。マルロー家の尖塔をもつノワール城に連れてこられたグレンダですが,かつての恋人との間に身体関係はなく純潔のままでした。しかし初夜を仄めかされたグレンダは,いかにも恋人との間に深い関係があったかのように話し,さらに夫の火傷の跡が恐ろしいと感じているかのようにも誤解させてしまいます。「十年前のきみは夢見がちの少女だった。でもいまのきみは大人の女性になり,ぼくを怖がっている」というマルロー(マル)の指摘に,「愛しても居ない女性と結婚したんだから」と言い返します。実は結婚式の時からグレンダはベールを挙げず,本来の花嫁になるはずだった亡くなったグレンダが緑色の瞳であり,自分の琥珀色の瞳に周囲の人もマルも気づかないでくれることをひたすら願っていたのです。この一点が本来の花嫁とグレンダを区別する相違点だったからです。亡くなったエディスが,終末の時にグレンダにひたすら言い残したことば,それは亡くした本来の娘の代わりにマルと結婚することでした。10歳で孤児院から引き取られ,金に糸目を付けずに自分を育ててくれたエディスの頼みを無駄にすることはグレンダにはできなかったのです。
 ノワール城にはマルの家族たちが同居しています。姉のジーンと息子のロバート,マルを狙っている従妹のレネと義妹レイチェル。そしてジーンは夫を失った悲しみから立ち直れずに精神を病んでいるのです。グレンダとロバートがお茶を飲んでいるだけでジーンは嫉妬のあまりパニックに陥り強い雨の中を飛びだしてしまいます。使用人たちも含めて大勢の人たちが探しに出てやっとジーンを発見しますが,母を心配したロバートも後を追って飛びだしてしまい,全員がずぶ濡れのまま悲惨な夜を過ごしたのでした。あまりのうろたえぶりにマルは遂に決心し入院先の病院からジーンをパリの療養所に,そしてロバートはイギリスの母方の祖父母の元に預けてしまうのでした。城に残された叔母エロイーズがエディスに似ていることから親しみを感じたグレンダはついに本当のことを告げてしまうのですが,エロイーズには事実を知ったマルの心を翻させるだけの力はないと言われてしまいます。そしてマルが育てられた家業のことや屋根裏部屋で発見した古いアルバムに映っていた少年時代のマルを見て,いつの間にかグレンダはマルを愛してしまっていることに気づきます。はたしてマルはグレンダをゆるし愛してくれるのでしょうか。最後のクライマックスまで盛り上げるウィンズピアの手法は本作でも健在です。オススメの作品。


タグ:イマージュ
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燃える砂丘 [ヴァイオレット・ウィンズピア]

SHALOCKMEMO1149
燃える砂丘 The Burning Sands 1976」
ヴァイオレット・ウィンズピア 石川妙子





 「燃える砂丘」というタイトルは,直訳的なタイトルですが,本作の雰囲気を伝えているタイトルだと思います。イギリス人のモデル,セーラ・イノセンスは落馬によって左足に故障を負ってしまい,モデルウオーキングができなくなったため失職してしまいます。さらに馬に乗るように進めた婚約者も自分を捨ててしまい,自分のペントハウスも失いつつありました。そんな時ふと見つけた新聞の求人広告に応募してみると,面接通知があり,指定されたレストランに行ってみるとベルベル人の王の使いという人でした。モロッコのはずれの砂漠の国ということで二の足を踏むセーラでしたが,経済的事情が止むに止まれぬ状態だったことと,自分を捨てた婚約者から遠ざかりたいという気持ちから承諾してしまうのでした。この決断をセーラは後日かなり悔やむことになるのです。さて,ベルベル人とは,北アフリカの広い地域に住むコーカソイド系の独自の文化を持つ人々で,アフリカに住んでいても東洋人と本作の中でも何度も紹介されています。イギリス人セーラからしてみると野蛮な文化を未だに持つ人々ということになるのですが,厳しい砂漠で生きて行くためにはそのような考え方や生活習慣,そしてイスラムの教えが欠かせない文化ということになるのでしょう。アフリカ北西部が東洋という認識にはいささか首をかしげざるを笑ませんし,アラブとの違いというのもよく分かりませんが,ヨーロッパの人たちから見るとそうなのでしょう。とにかく男性は頑固で融通が利かず,プライドが高いというイメージが定着しているようです。そんなヨーロッパの人たちの認識に沿う形で本作は書かれていますし,かなりステレオタイプを全面に押し出した作品なので,まぁそこは物語としてアラブといえばアラビアンナイトというのと同じなのかもしれません。
 モロッコの空港に着いたセーラを迎えに来た謎の男性は,なかなかのハンサムで,自分をここに来るようにとりはからった砂漠の国ベニ・ザインの首長ザイン・ハサンの家臣だと思い込んだセーラは,かなり自分勝手な要求や非難をするのでした。しかしそんなセーラの言葉や態度にめげずに繰り返しベニ・ザインや砂漠の暮らしのことを教えようとする男性。実はその男性こそザイン・ハサン本人だったのです。首都の城に着いて始めてそのことを知ったセーラは,その後もなんとかイギリスに帰りたいと訴え続け,いろいろと頭の中で逃げ出す算段をするのですがどれも実現不可能。そしてザイン・ハサンから妻にしたいと申し渡されてしまうセーラでした。過去に,愛する妻を亡くしさらに跡取りの息子をも亡くしてしまったザイン・ハサンは,愛する心は亡き妻の眠る砂漠に葬ってきたとセーラに素直に告げるのでした。つまりセーラとの結婚は,亡き息子の代わりに跡取りを生んでもらうための結婚だというのです。そしてこの砂漠の国に来てしまった以上もはや,絶対的権力を持つザイン・ハサンの命令に逆らうことは死を意味することだということも周囲の人たちやザインの妹たちからも何度も聞かされていくのです。もはや逃れる手段はないのかと思いかけたある時,庭に咲く花を摘んで香りを嗅ごうとしたときに,花にいた蜂に唇を刺されてしまい,セーラは意識を失ってしまうのでした。この事故がザインに与えたショックの大きさに,逆にセーラも驚き,かつて妻と息子を失ったザインに熱い想いを抱いていることに気付くのでした。さて,二人の愛は成就するのでしょうか。
 非日常的な状況の中での愛の姿をセーラをとおして描いた野心作だと思います。


タグ:ロマンス
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純愛アラベスク [ヴァイオレット・ウィンズピア]

SHALOCKMEMO1077
純愛アラベスク Tender is the Tyrant 1967」
ヴァイオレット・ウィンズピア 後藤美香





クラシックバレエの世界でのロマンスを描いた作品です。あまり詳しくは知らないので,出てくる用語やバレリーナ,スタッフの関係など,珍しい話題が多くて楽しめる作品でした。さらに,舞台となるベネチアの風物も詳細に描かれ,こちらは馴染みのある場所や風景,そしてゴンドラに代表される情緒などエキゾチックな雰囲気があふれる作品でもあります。「白鳥の湖」「火の鳥」「ジゼル」などのバレエの名曲が登場します。言葉でバレエのような無言の劇を表現することは大変難しいと思いますが,ウィズピアの名文を後藤美香さんが見事に日本語にしてくれました。「音楽が爪先に触れると彼女の手と足が,まるで誰かに糸で引かれたかのように動き出した。」などという表現は,まさに微妙なヒロインの心境を表しています。名文と情緒に浸れる文芸色豊かな作品,イチ押しです。


タグ:イマージュ
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見出されたとき [ヴァイオレット・ウィンズピア]

SHALOCKMEMO687
見出されたとき Court of the Veils 1968」
ヴァイオレット・ウィンズピア 平 敦子





キンドル版でウィンズピアの「見出されたとき」を読了しました。いわゆる記憶喪失ものです。飛行機事故で奇跡的に命を取り留めた客室乗務員ロスリン・ブラントは,事故以前の記憶をなくしてしまいましたが,事故当時,婚約指輪を握ったまま発見されたため,婚約者アルマン・ジェラールの祖母マダム・ジェラールに砂漠のオアシス,ダル・アル・アムラに引き取られます。そこには,マダムの2人の孫,デュエイン・ハンター,作曲家のトリスタン,そして美貌の歌い手イサベラがやってきていました。それまでアマゾンの農園で暮らしていたという荒くれ者のデュエイン,作曲家らしく繊細で優しさの漲るトリスタン。そしてロスリンを孫のアルマンの婚約者として本当の孫のように接してくれるマダム・ジェラール,さらには,美貌に自信があるゆえに自分以外の女性に意地悪をしてしまうイサベラとの奇妙な共同生活が始まります。一向に記憶が戻らず,自分が本当にロスリンなのかさえ自信が持てない中,トリスタンに励まされ,デュエインを意識してしまい,どうしても反抗的になってしまうロスリン。やがて,マダム・ジェラールが倒れた時,往診に駆け付けたドクターから,記憶を取り戻すには事故当時と同じショックを受けなければ回復には時間がかかると言われます。砂嵐がやってこようというときイサベラとドライブに出かけたロスリンは,砂漠の中に置き去りにされてしまいます。やがて襲い掛かる砂嵐。はたしてロスリンの運命やいかに。そしてロスリンは本当にロスリンなのか。終末のどんでん返しが鮮やかな読後感のさわやかな好作です。


タグ:イマージュ
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ハネムーン [ヴァイオレット・ウィンズピア]

SHALOCKMEMO654
ハネムーン The Honeymoon 1986」
ヴァイオレット・ウィンズピア 三好陽子





 ヴァイオレット・ウィンズピアの中編。ヒーローのイタリア貴族レンツォ・タルモンテは作曲家を職業としているというので期待して読み始めましたが,曲作りのことはほとんど語られずに,期待はずれでした。
 ヒロインのジョージア・ノーマンは牧師の家庭に育った次女で,長女が人を引き付ける魅力を振りまく美女であるのに対して,自分は父の面倒をみるために牧師館で一生を終えることを運命づけられたような存在であると考えている目立たない,純真な心をもち続けている女性です。ちょっと意地悪な見方をすれば,ぶりっこで,乙女チックな精神的に大人になりきれない女の子です。
 姉のアンジェリカに捨てられたレンツォに無理やり結婚を申し込まれ,断りきれないまま結婚にこぎつけてしまい,結婚してからも姉の存在に常におびえながら夫になったレンツォに不満をぶつけることしかできない女性ですが,映画界という派手な世界ではかえってそれが新鮮に思われてしまい,夫以外の男性からも何人か言い寄られてしまうという経験をします。それもこれも,無理やり自分と結婚してしまった夫の,冷たさと情熱の二面性のせいにしてくどくどと言い訳したりすねたりすることが物語の事件といえばいえる心理劇的要素の強い作品です。ヒロインの心の成長が語られると思いきや,それもあまり明確でもなく,読後感はちょっとすっきりしませんでした。


タグ:プレゼンツ
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