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100万ドルの魔法使い [テレサ・マデイラス]

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100万ドルの魔法使い Breath of Magic 1996」
テレサ・マデイラス 坂本あおい





魔女シリーズの第1弾。すでに第2弾「700年後の魔法使い」は読了しているので,前作がどうなっていたかを想像しながら読むことができました。
このシリーズは,SF,サスペンス,ファンタジー,シンデレラ物,ロマンス,ヒストリカル,魔女譚,タイムトラベルなどなど,とにかくありとあらゆるものが混然一体となった,まさにパンドラの箱を開けたような内容が盛り込まれている作品です。にもかかわらず,どんな時代,どんな状況,どんな生い立ちであろうとも,もっとも強いのは愛の力であるという,かなり強いメッセージが込められており,それが破たんなく語りつくされています。作者テレサ・マデイラスのストーリーテリングのすばらしさを生かしきった作品であるということ,それに尽きます。
しかも,20世紀末と17世紀末の300年という時を超え,エメラルドのペンダントというどこにでもありそうな小道具と,現代コンピュータ文化の粋を組み合わせるという奇抜なトリックにすっかり読者も騙されてしまい,騙された側がすっかりとりこまれてしまう気持ちのよさを味わえるなんて,とにかく素晴らしいの一言に尽きる作品です。
どこをとってもネタばれになりそうなので,ストーリーは読んでのお楽しみですが,ヒーローのトリスタンとヒロインのアリアンの周囲を固める,コパーフィールドやスヴェン,そして猫のルシファーがとてもいい味を出しており,本作に欠かせない魅力を加えていることも付け加えておきましょう。


700年後の魔法使い [テレサ・マデイラス]

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700年後の魔法使い Touch of Enchantment 1997」
テレサ・マデイラス 阿尾正子





新年1作目の読了本です。 
テレサ・マデイラスの時空を超えたロマンス。
父は天才科学者で億万長者のトリスタン・レノックス,母は1669年生まれの魔女アリアン。こんな風変わりな両親をもつ2020年に生きる風変わりな少女タバサ・レノックスがヒロイン。前作「100万ドルの魔法使い」は未読ですが,トリスタンとアリアンの娘タバサは,幼いころからセレブでありながら,魔法をうまく使えない孤独な少女で,いつも魔法ではとんでもないことが起こってしまいます。父親譲りの科学の能力を発揮して,父親の会社の事業部長を務めるほどの才媛ですが,そんなタバサに知らされたのは両親が旅行途中で安否も知れぬ行方不明になってしまったということでした。万が一の場合にタバサに渡されるように託されたのは茶封筒の中の手紙とエメラルドのペンダント。そのペンダントを握ったところタバサが飛ばされたのは,なんと1254年のスコットランド。という風に,タイムトラベルものと魔女もの,さらにはセレブなお嬢様と野蛮な騎士,そして中世の生活の中にバリバリの現代女性が放り込まれたらどうなるか,といろいろな要素をごった煮してかき混ぜた作品でありながら,きちんと筋立てしてあって破綻をきたしていない秀作です。
 さて13世紀のヒーローは敵役の男爵の城の地下牢にタバサと一緒に閉じ込められてしまうコリン。レイヴンショーの領地を受け継ぎながら,妻になる女性を死なせてしまった後悔から十字軍に従軍し,自分の命をかけて闘ってきた戦士です。敵役のブリスベーン男爵ロジャーは亡きコリンの妻の双子の兄で,レイヴンショーの領地を狙い,陰謀の数々を繰り返します。コリンを騎士として育ててくれた恩人マグダフをもその陰謀に巻き込まれ,さらにコリンのいいなづけだった可憐なリサンドラも狙われています。
 人には知られないように魔法を使って地下牢から逃れたタバサとコリンですが,二人がコリンの領地に戻ると,城はすでに焼き尽くされて廃墟となり,残った塔から夜な夜な赤ん坊の泣き声が聞こえるという不気味なところに変わっていました。それでもコリンが戻ると領民たちが復讐を誓い,日々の生活をとりもどそうと生き生きと活動し始めます。そんな日常の中にタバサはこれまでの人生で感じたことのない安らぎと生きがいを感じ始めます。そしてコリンへの思いも高まっていきます。コリンとタバサの会話は決して恋人同士のように甘い会話ではなく,しょっちゅう言い合いのようになってしまうのですが,女性が男性の所有物のように扱われていた13世紀で男性,しかも領主に向かって自分の主張をするような若い女性は珍しく,しかも魔女だと知られてしまってからもコリンはタバサにますます惹かれていくのでした。領地を取り戻すため師であったマグダフのもとを訪れた二人を出迎えたのは,美しく優しい女性に成長したいいなづけリサンドラの存在。ひそかに対抗意識を燃やすタバサでしたが,コリンと自分の関係をどのようにしていくことができるのかに悩みます。21世紀に戻り両親の安否を確認しなければならないという思いとコリンとも別れたくないという思いに挟まれて。
 後半では,陰謀の限りを尽くした男爵ロジャーがとんでもない姿に変身したり,正に魔法が信じられていた中世の時代の雰囲気がふんだんに伝わってきますが,現代に再び戻ったタバサとコリンはどうなるのだろうかという興味を,ずっと脇役でいた黒猫ルーシーが,そして男爵の子孫かと思われる会社のガードマンの存在がすんなりと大団円の伏線となってくるところがストーリー・テラーとしての作者の質の高さを感じ取らせる秀作です。


眠れる森の公爵 [テレサ・マデイラス]

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眠れる森の公爵 A Kiss to Remember 2001」
テレサ・マデイラス 松本 都





 テレサ・マデイラスの書を取り上げるのは,このブログでは初めてですが,本書の前にすでに2作品が翻訳されています。2009年10月にハヤカワ文庫から「月の光に魅せられて」,ラズベリーブックスから「100万ドルの魔法使い」。このように,複数の出版元から取り上げられる作家も珍しいのではないでしょうか。テレサ・マデイラスは1962年アメリカ生まれ。初めの作品が1989年の「Lady of Conquest」というヒストリカルのようです。また,いくつかのシリーズものがありますが,本書も「フェアリー」という連作ものの第1作にあたります。
 「眠れる森の美女」は,白馬に乗った王子様のキスで目覚めるのですが,もし王子様である公爵がシンデレラを夢見る乙女にキスされて目覚めたらどうなるのか,という換骨奪胎を見事に成し遂げたのが本書でしょう。
 登場人物がすべて良い人で,敵役は登場しません。強いて言えば,ちょこっと顔を出す探偵ぐらいのものです。しかし,ヒーローの父親,そして,ヒーローを親のもとから金で買い上げたと言われる先代公爵こそが,ヒーローにとっては敵役になっているようです。
 さて,ヒロインは教区牧師の娘で,両親を失った後,弟,妹と一緒にヒーローであるスターリング・ハーロウの実の母親レディ・エリナーの家に引き取られたローラ・フェアリーです。白馬に乗った王子様が自分にプロポーズしてくれるのを夢見て,村の男性たちのプロポーズを断り続けていましたが,レディ・エリナーが亡くなり,悪魔と呼ばれている公爵が自分たちを追い出すために館を訪れようとしているのを,なんとかしたいと物思いにふけって森の中を歩き回っているときに,ふと目にしたのは,ハンサムな男性が倒れているところ。自分の夢想に従って,いたづら心でキスをしますが,それが,とんでもないことに発展することになろうとは…。

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