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月夜に華麗なる賭けを [ジョー・ベヴァリー]

SHALOCKMEMO546
月夜に華麗なる賭けを Tempting Fortune 1995」
ジョー・ベヴァリー 町田淳子





ジョー・ベヴァリーのマローレン・シリーズの第2弾。
前作を読んだのは今年の1月でしたので,すっかりストーリーも登場人物も記憶から抜け出てしまっています。そのため,本作の複雑な人間関係がほとんど理解できず,ひたすら,イギリスにおける「賭け事」の普遍性と,ヒロイン,ポーシャの破天荒で憎めない性格のみがクローズアップされてしまっています。おそらく2作続けて読んだ方が,本書の楽しみは増すのではないでしょうか。前作「仮面に秘めた涙」の読後感を読み直してみると,この「マローレン」シリーズでは,第1作で登場した,時には男装に身をやつしたヒロイン,チェスティティや,時に屋敷の最上階からツタを伝って地上におりたり,ピストルをぶっ放したりする本書のヒロイン,ポーシャのように元気いっぱいで冒険心に富み,決して男性に阿ることを嫌い,自分が愛する男性からはストレートに愛されることを望み,また愛する家族のためには,すべてをなげうつ覚悟を持つ潔いヒロインたちによって支えられています。その太い筋が,登場人物の複雑な人間関係を許容し,豊かなストーリー性と,深い情愛を感じさせ,おいしいものを満腹になるまで食べたような豊饒な感覚を読後に与えてくれる個性的なシリーズとなっています。
本作のヒーローは,前作のヒーロー,シンリックの兄ブランド。ブランド・マローレンというと名優「マーロン・ブランド」のアナグラムになりそうな名前ですが,当時のイギリスの新興産業に次々に投資を成功させ,さらにはイギリスの運河建設によって北の石炭を大量にロンドンに運ぶ新しい事業にすべてを投資し,さらに増資するためにカードゲームで資金をかき集めるという,一歩道を誤れば賭博師とでもいわれそうな人物です。賭け事によって父を亡くし,さらに弟の賭け事で領地を人手に渡さざるを得なくなったヒロインが,賭博師を信じることがどうしてもできないため,弟を心配するあまり夫となるブランドのもとを逃げ出したりする場面が,本作のもっとも読みごたえのあるところだと思いますが,何もそこまでしなくても,と思える部分がほかにもたくさん出てきます。まさに自分の信念も曲げない強いヒロインの象徴とでもいえるポーシャは,最後はブランドのもとで幸せになれるのでしょうか。


仮面に秘めた涙 [ジョー・ベヴァリー]

SHALOCKMEMO530
仮面に秘めた涙 My Lady Notorious 1993」
ジョー・ベヴァリー 小林令子





 ジョー・ベヴァリーは,すでに5作品がリタ賞を受賞しているイギリスのベテラン(61歳)ヒストリカルロマン作家ですが,本作が初邦訳作品です。
 しかも,本作はリージェンシー作品ではなく,18世紀が舞台ですので,時代設定も特色があるのですが,時代性はあまり感じられず,作品の中に登場するジャコバイトや国王母を除くと,19世紀を舞台にした作品といってもいいほど,新しさを感じさせる作品です。
 ヒーローは陸軍大尉で伯爵の弟,シンリック・マローレン。マローレン一族は国王にさえ影響を及ぼすといわれている名家中の名家。その末の弟であるシンリック(通称シン)は,兄である伯爵の影響から逃れ,自立心を保とうと陸軍に入り,アメリカやフランスとの戦闘に参加しています。しかし,肺炎にかかり,死線をさまよいながら母国イギリスに帰還したばかり。出産した姉を訪れるために馬車に乗っているところを追いはぎに襲われます。襲った相手が,ひょっとしたら女性ではないかと感じ,興味を持ったシンは,追いはぎのいうとおり捕虜となり,敵地に乗り込みます。
 この追いはぎの正体こそ,本作のヒロイン,チャールズと名乗る男装の伯爵の末娘チェスティティ(チェス)・ウェアだったのです。チェスティティと姉のヴェリティはヴェリティの息子が亡くなった夫の弟ヘンリーが後見人になったため,その命を奪われるのではないかと恐れ,ヘンリー・ヴァーナムの元を逃れ,かつての恋人ナサニエルを頼って行こうとしていたのでした。しかし,旅費を稼ぐため,仕方なくシンリックの馬車を襲ったのでした。
 ここから,チェスティティ,ヴェリティ,シンのナサニエルを訪問するための冒険行が始まります。男装したチェスティティ,時に追っての目をくらますために女装するシン,チェスティティの父からの追手,ヘンリーからの追手,そしてシンの行方を捜索するマローレン家の追手の三方からの追手の目をくらまし,なんとかナサニエルを訪ねようとするこの奇妙な逃避行は,読者をハラハラドキドキさせ,また,笑わせ,そして物語の謎を一層複雑にさせていきます。
 ここからはネタばれありの感想です。

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