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ハイランドの騎士に魅せられて [スー・エレン・ウェルファンダー]

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ハイランドの騎士に魅せられて Bride for a Knight 2007 (MacKenzie 5)」
スー・エレン・ウェルファンダー 平井薫





アメリカのヒストリカル作家,スー・エレン・ウェルファンダーの本邦初訳。
ウェルファンダーはアリー・マクレー名義でも作品を発表しているようです。
この作品は,マッケンジー・シリーズの第5巻で,ハイランドを舞台にした作品群の,現在のところの最終巻ですので,おそらくこれまでに登場してきたマッケンジー家の人々と,本作品のヒーロー,ジェイミー・マクファーソンのマクファーソン家の人々,さらに,ヒロインアヴリーヌの父と姉など,登場人物が多く,最後は大団円的になっています。
マッケンジー・シリーズは「Devil in a Kilt 2001」「Bride of the Beast 2003」「Only for a Knight 2005」「Until the Knight Comes 2006」が発刊されています。その後,続編として「Seducing a Scottish Bride 2009」「A Highlander's Temptation 2009」の2巻が出版されています。2013年5月現在はここまでのようです。第5巻の本作品を見る限り,期待の持てるシリーズだと思われます。このマッケンジー・シリーズの外にマクリーン・シリーズ,ハイランダーの戦士シリーズもあり,いずれもハイランドもののヒストリカルロマンスのようです。というのも,作者のスー・エレンはスコットランド人の祖先をもち,スコットランドをこよなく愛しているそうです。



さて,物語は,14世紀半ばのスコットランド。十人兄弟の末っ子のジェイミー・マクファーソンは,父に疎まれ,他家で育っていましたが,父に呼び戻されます。その理由は,長男以下の九人の息子が,隣家との境界線にかかる橋が崩れ,川に投げ出されて全員おぼれ死んだということからでした。
そのため,長男に嫁ぐはずだった姉の代わりに,次女のアヴリーヌが十番目の息子ジェイミーに嫁ぐことになったのです。ジェイミーはおそらく190センチを超える大男,かたやアヴリーヌの方は,小柄で愛らしく妖精のような美しさをもった女性なのでしょう。ジェイミーは生まれ湖故郷の城に帰る途中,アヴリーヌを見かけ,妖精だと思ってしまいます。そして,アヴリーヌと会ったとき,一目で恋に落ちますが,あまりの可憐さに手を触れては壊れてしまうのではないかと考えてしまうのです。邦訳の表紙では,アヴリーヌのその可憐さが十分に表現されていますが,原作本ではちょっと妖艶な感じの女性が顔を見せ,ふさわしいとは思えません。もっとも彼の地と日本の感覚の違いはあるのですが・・・
時にジェイミーの実家では,亡くなった九人の息子の幽霊が夜な夜な出没することで,ジェイミーの父マンローがかなり弱っていたのでした。アヴリーヌも幽霊を見かけたということで,マンローに対して思いやりの気持ちをもって接しており,吝嗇家で知られるマンローもアヴリーヌをかわいがっていたのです。ジェイミーはそんなときに家に帰ってきたのですが,幽霊などは存在しない,その正体を暴こうと,危険だから近づかないように警告されていた兄たちが亡くなった橋に行き,背中を押されて激流に落ちてしまいます。友人の救いもあり命からがら一命を取り留めたジェイミーですが,そのころ,正気を失った幽霊騒ぎの張本人がマンローに魔の手を伸ばそうとしていたのでした。
ネタバレになるので,張本人については記せませんが,ねたみ心のあまり,人を殺めてしまうという,その瞬間には,人は正気を失っているものなのかもしれません。そして,愛する心を持ち続けた人は,人であろうが,動物であろうが,自らの命を賭けてでも愛を守ろうとするものなのですね。
ネッシーのふるさと,人と自然と,そして妖精やおとぎ話が調和して暮らしているスコットランドならではのお話です。


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