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罪深き修道女 [テリー・ブリズビン]

SHALOCKMEMO496
罪深き修道女 Surrender to the Highlander 2008」
テリー・ブリズビン Terri Brisbin terribrisbin.com 辻早苗





最近,ハーレクイン・ヒストリカルで,数多く訳書が出版されているテリー・ブリズビンの最新刊で,中世ハイランダーものです。
父親の命で一人の女性を警護しながら故郷に連れ帰ろうとしたハイランダー,ルーリクがその女性に心を奪われてしまいます。修道女の姿が旅で自分のみを守るための偽りの姿であることを知った瞬間,ヒロイン,マルグリート・グンナンスドッティルにはもう一つの秘密があったのでした。すでに,マルグリートの体内では他の男性との愛の結晶が育っていたのです。
ルーリクは庶子ながらも大貴族の次男であり,マルグリートよりも高位の身分。しかし,自分のつとめを責任を持って果たそうとするまじめな男です。すばらしい筋肉質の肉体と武術にも優れ,しかも優しさを併せ持つという理想的な男性。そんなルーリクも,庶子であるという自分の出自と,父からスコットランドに追いやられたという心の傷も併せ持っています。そんなことから,ルーリクははじめはマルグリートに本当の身分を隠しています。いろいろと紆余曲折のあった旅の果てに,父たちの待つノルウェーにたどり着いたとき,マルグリートは本当のルーリクの身分を知ることになり,裏切られた気持ちになります。しかし,マルグリートの方も修道女と偽ったり,妊娠していることを隠していたりと,多くの点でルーリクをだましていたのですから,人のことはいえませんよね。
ルーリクとマルグリートの関係は,「きみは・・・純然たる誘惑そのもので,運命の三女神がきみをおれのところに送り込んだのだと思っている。運命の女神たちはおれが宿命に背く最後の理由をあたえたんだ。(239p)」というルーリクのことばに象徴されています。まさに,運命の出会いだったのですね。
でも,それに対してマルグリートは次のように答えます。「わたしたちは同じなのだと思っていたわ。でも結局あなたとわたしがどれだけかけ離れているかがよくわかった。あなたの手の届くところに愛はあるのに,あなたは自分が望むすべてのもののために愛を犠牲にしようとしている。私はつかんだと思った愛のためにすべてを犠牲にした。わたしたちのどちらがより愚かなのかしらね。」と。愛のためにすべてを犠牲にできるヒロインと,領地や身分や豊かな生活や人々からの尊敬など,得られるもののために愛を犠牲にできるヒーローという構図がみごとに言い表されている場面です。この葛藤を味わうために,そして最後に愛が勝つというカタルシスで温かい気持ちをもつために,私たちはロマンス小説にのめり込むのですね。


公爵夫人の恋人 [テリー・ブリズビン]

SHALOCKMEMO469
公爵夫人の恋人 The Duchess's Next Husband 2005」
テリー・ブリズビン Terre Brisbin terribrisbin.com 石川園枝





喘息に苦しむ公爵,エイドリアン・ウォーフィールド。3人の高名な医師から診察を受けたのち,帰りしなに3人が屋敷の外の窓の下で,「かわいそうに,余命数カ月だろう」と話しているのを小耳にはさんでしまい,すっかり自分に残された時間があとわずかと思い込んでしまう。公爵でなくても,こんな話を聞いてしまえば,すっかり自分のことだと思い込んでしまうでしょう。その後,彼のとった行動は・・・。
身をもち崩した父によって,財産を手放さなければならない瀬戸際に,多額の持参金をもって自分のと結婚した公爵夫人ミランダのおかげで,兄の突然の死によってはからずも公爵の爵位を継ぐことになったウォーフィールド家の次男エイドリアンは,領地と財産を持ちこたえることができます。しかし,結婚7年を過ぎた今も二人は,子供に恵まれず,母である公爵未亡人によって,いつもそのことを持ち出され,週に一度の定期的な交わりを義務的にこなすだけの間柄になっていました。しかし,余命わずかと思った時からエイドリアンのミランダに対する見方が少しずつ変わっていきます。
帯に,「互いへのひたむきな思いに心を揺すぶられる感動作です。」とあるとおり,公爵夫人を結婚前からよく思っていなかったエイドリアンの母に対する扱いや,妻に対してひたすら病気のことを隠し続けようとする心持,それに,自分の死後妻が生活に困らないように奔走する姿など,愛こそがすべての障害を乗り越える強い力であることを,静かなストーリー展開の中でじわじわと語っていく作者の語り口は,ヒストリカルというようリはもっともロマンスの匂いの強い作品の雰囲気を醸し出していきます。
やはり,これは是非読んでいただいて味わっていただきたいお薦め作品です。


ひそやかな思慕 [テリー・ブリズビン]

SHALCKMEMO447
ひそやかな思慕 The Earl's Secret 2007」
テリー・ブリズビン Terri Brisbin terribrsbin.com 長沢由美





テリー・ブリズビンの読了本は6冊目ですが,昨年9月以来の読了となりますので,ほぼ1年ぶり(*^-^)。直前の読了本「囚われの花嫁」は14世紀初頭のスコットランドが舞台でしたが,本作はリージェンシー時代が舞台です。
原題は直訳すると「伯爵の秘密」ですが,邦訳の「ひそやかな思慕」は,なかなかの名訳かと思います。ヒーローのトレイボーン伯爵デイビッド・ランズデールは父であるダーズビー侯爵の圧力で,保守派であるトーリー党の立場を擁護する論文を雑誌に掲載しているのですが,論敵であるA・J・グッドフェローの正体をつきとめようと,旧友であるナサニエルを頼って,ミスター・アーチャーという偽名でスコットランドにやってきます。実はロンドンの出版社で出会ったアンナ・フェアチャイルドに会いたいという思いを強く持ってやってきたのでした。
表紙の絵はヒロインのアンナがちょっと意地悪そうな目つきで描かれていて,芯が強く,思いやりのある清純な美人という本文の内容とはちょっとギャップがありますが,大きな秘密を抱えるアンナの様子を表しているのでしょう。デイビッドの論敵であるグッドフェローとは,実はアンナの偽名であったのです。妹のジュリアの名前と自分の名前を冠したA(アンナ)・J(ジュリア)・グッドフェロー(よき仲間)というペンネームの正体にデイビッドが気づくのは,本当に終末に近いところです。
互いに偽名を使って近づきあった二人の様子を表現しているのでしょうが,男性の方が真剣な眼差しで女性を見つめているのに対して,女性の方が男性を騙そうという目つきで見つめている姿は,ちょっと意味深です。
さて,当時は女性の社会進出がすごい勢いで社会情勢を変えつつある時代でありながらも,まだまだ男性中心社会であることは間違いなく,社会的にも経済的にも弱い立場の子供や女性が大勢いて,それらの人々に対して,慈善という気持ちで援助しようとする上流階級の考え方が,ヨーロッパ社会では一般的だったのでしょう。今でも,この慈善という発想は,キリスト教社会では根強く残っているようですが,政治的な党派を超えた階級社会であるイギリスでは,特に根強いものがあったのだろうなぁという思いで,本書を読了しました。ただ,ロンドンとエディンバラ(スコットランド)の微妙な違いも本書ではほの見えており,作者ブリズビンの特徴が感じられます。


囚われの花嫁 [テリー・ブリズビン]

SHALOCKMEMO399
囚われの花嫁 The Maid of Lorne 2006」
テリー・ブリズビン 石川園枝




HS-301
07.09/¥910/284p

PHS-137
16.06/¥890/284p


 原題「ローンの乙女」の方が,ヒストリカル風で良かったのでは? でも,すでにそんな題名があったのかも。
 14世紀初頭のスコットランド。ローン氏族のマクドゥーガル族長の娘ララは多彩な才能に恵まれ,ローンの乙女として尊敬されていたが,スコットランド王ロバートにより絶対的に守りの堅い城ダンスタクニッジ城を奪われ,父はイングランドに逃れていき,ララと幼い弟妹は城に残されてしまう。城攻めをしたのは戦士セバスチャン。ララと結婚し,城と領地の管理をスコットランド王に任されるが,一介の騎士が領地を任されるということはそれだけ王の信任の厚いことを意味する。しかして,セバスチャンの正体は単なる騎士というだけではなく,王の密偵としてスコットランドのこの地方の征圧の情報収集をも受け持っていたのだ。一方,城を奪われた一族としての再興を画策していたのは,ララのいとこのユーチャン。秘密の通路をたどってユーチャンはララに王側の情報を漏らすようにララに脅しをかけてきている。ララは夫と氏族への中世の挾間で悩むことになる。この表紙の絵はどうだろう。ヒロインの顔が写されていないというのも,珍しくはないか。(いやいやハーレクインにはときどきあるんだなぁ)
 やがてロバート王が次々に奥地に攻め入り,勝利を収める一方で,大きな罠が張られていることに気づいたララだが,夫にそのことを告げられずにいる。この葛藤が本書の最もカタルシスとなっている。さらに,ユーチャンとともに父までも娘を利用しようとする。政争の道具としての結婚という中世によくあるパターンではあるが,夫を信じようとするララの愛に,読者はみんなのめり込んでいく。大団円はちょっと無理矢理ではあるが,夫セバスチャンの出自にも触れられ,なんとかつじつまはあった感じ。


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王の愛人 [テリー・ブリズビン]

SHALOCKMEMO375
王の愛人 The King's Mistress 2005」
テリー・ブリズビン Terri Brisbin 石川園枝





12世紀後半。ヘンリー2世の愛人アランソンのマルガリートは王の不興を買いイングランドの北の領主シロス城のオリック卿のもとに嫁がせられることになる。
生まれたときからひたすら王妃になるために教育され本人もそれを望んで王の愛人となっていたマルガリートにとって,王宮から離れたところで,王以外の人と暮らすことは考えたこともなかった。
一方オリックにとっても王の愛人という自分の妻の存在を受け入れるのは,大変なショックであることはいうまでもない。
そんな二人が,互いに心を開き愛し合うようになるまでのさまざまなこころの葛藤を描いた,そんなお話し。
さて,王が,マルガリートに王宮に来るように要求してきたとき,本当の二人の愛が試される。
プランタジネット家の王の本性が見事に描かれたおすすめの一作。


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