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デイジー・メイ [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1266
デイジー・メイ The Impossible Woman 1985」
エマ・ダーシー 小谷正子




HQSP-92
15.07/¥540/200p

I-0404
88.01/¥520/156p


 原題は「不可能な女」
 舞台:シドニー郊外
 ヒロイン:ジュディ・キャンベル(22歳)/造園師/可愛らしい,身長150センチ,大きな青い瞳,カールした長いまつげ,天井を向いた鼻,顎のとがったハート型の顔,淡い金髪/
 ヒーロー:マルコム(マル)・スチュアート(30歳代)/建築家/緑色の悪戯っぽい目,ハンサムというより人目を惹く非凡な顔立ち,広くて高い頬骨,筋の通った鼻,大きな口もと/
 「デイジー・メイ」は昔のコミック漫画に出てきた美女の名前,と説明されています。これって実在?よく分かりませんが,まぁ人形のように愛らしい女の子と言うことでしょう。22歳なのに,しかも造園師という男勝りの仕事をしているのに,この容貌で大分損をしているようです。芝植えに行った豪邸で出会った日雇い労働者のような風貌の男性に芝植えを手伝わせてしまいます。それこそ,この家の家主で建築家で有名なマルコム・スチュアート,通称マルでした。障害を持つ弟を抱えていますが両親と仲良く愛のある家族と過ごしているジュディは,22歳でまだ男性経験はありませんが,おとぎ話に出てくるような結婚相手を待っている女性です。そんなおとぎ話などあり得ない,というのが原題の「Impossible Woman」になっているのでしょうか。ところがこの日雇い労働者のような男性に一目ぼれしてしまうジュディ。30歳前後だと思われるのですが,初対面の男性にかつてもったことのない惹かれる思いをもってしまったのです。まさに運命の出会い,それはマルコムの方もそうでした。両親の不幸な結婚生活を見て育ったマルは,結婚という形式を嫌いこれまで独身をとおしてきたのですが,デイジー・メイのようなジュディにはすっかり惹かれてしまったのです。物怖じしない,しかも造園に関してはプロの知識を持つ不思議な魅力をジュディに感じたマル。マルはその日のうちにディナー・パーティにジュディを誘います。そしてマルの書斎に入り込んでしまったジュディは,マルが単なるマルコムではなく,あのマルコム・スチュアートだと気付き,騙されたと思います。一人の人間としてみて欲しかったので敢えて君の勘違いを質そうとはしなかったというマルの言い分にかすかな期待を抱きはするものの,マルの所属する社会的環境と自分の環境のあまりの差に怖れを成してしまうジュディ。しかしディナー・パーティに誘われ,一日だけでもそれに浸ってみたいという思いを振り切れず誘いに乗ってしまうジュディです。そしてそのパーティでマルコムに執拗に迫るパーティの主宰者の妻ヴィヴィアンやジュディの愛らしさにいやらしい目を向けてくる小父さんに嫌気がさしつつ,撞球で父から仕込まれた普通の人には出来ないワザを見せつけて溜飲を下げるジュディ。しかし作家夫妻の気取らない,しかも愛にあふれた姿に憧れを抱くという収穫はありました。その後,スチュアート家の庭の造園を担当し,見事な腕前を見せたジュディにマルコムはますます惚れ込んでいくのですが・・・。ついに深い関係を持ち「愛している」と互いに告白し合う二人ですが,マルコムは結婚だけは決してしないと釘を刺し,庭の完成と共に別れを告げ,帰宅して泣き崩れるジュディ。
 翌日,契約終了のため父を連れてスチュアート家を訪れ,事務的に処理しようとするジュディ。そこに小説家夫妻のハガン夫妻が訪れ完成を祝ってくれるのでした。ハガン夫人ルースはスチュアートが建築中の大規模建築の庭園部分の造園をジュディに担当させるために骨を折ったことを聞かされるのですが,ジュディは「あなたからの仕事は欲しくない」ときっぱり断ります。このジュディの潔さがとても見事です。そして数日後,食事中のキャンベル家をマルコムが訪ねてきます。娘の決断を尊重するとマルコムを追い返そうとする父に感謝しているところに,マルコムはさらに爆弾発言をするのですが・・・。
 普通は持てる才能を恵まれない容色が邪魔をするという設定が多い中,恵まれているがために才能を認められないという希有な悩みを抱え,しかし敢然と夢を追求するジュディの潔さに拍手を送りたくなる傑作です。HQSP版のモデルさんは自然の中で生き生きと見える美女ですがちょっと大柄な感じがします。それに対してHQB版の方が小柄で若々しいジュディの感じが良く出ているように思います。


タグ:イマージュ
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三人のメリークリスマス [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1253
三人のメリークリスマス Merry Christmas 1997」
エマ・ダーシー 吉田洋子




HQB-268
09.12/¥650/203p

I-1300
99.12/¥641/156p


 原題は「メリー・クリスマス」
 舞台:オーストラリア,シドニー周辺
 ヒロイン:メレディス(メリー)・パーマー(29歳)/フラワーアレンジメント会社「フラワーパワー」経営/長身,グリーンの瞳
 ヒーロー:ニック・ハミルトン(35歳)/銀行家/長身,浅黒い肌,黒い髪,濃い褐色の瞳/
 HQSP版がありますが,KINDLEのあるHQBで読みました。エマ・ダーシーつながりで,未読だった本作を愉しみました。記憶喪失ものです。ヒロインのメレディスが16歳で夢中になったニックとの間の赤ちゃんをニックの姉夫婦に養子に出し,娘のキンバリーが12歳になっています。養子に出して以来毎年ニックの姉がキンバリーの写真を送ってくれていたのに今年はなかなか写真が届かなかったことで心配しているところです。ニックの姉夫婦は昨年のクリスマスの後,事故で亡くなっていたのでした。その後キンバリーはニックが後見人となり,一緒に暮らしていたのですが,キンバリーは自分が養女であることを姉夫婦の会話を漏れ聞いたことから気付いてしまっていたのです。今になって自分を寄宿学校に入れる話が持ち上がり,ニックが自分の世話をするのをいやがっていると考えたキンバリーは,実の母に合わせて欲しいとニックに爆弾発言をします。ニックは弁護士に実の母の情報を聞き出し,メレディスを訪ねてきたのでした。ニックから姉夫婦の死を聞き,ショックで気を失ってしまいますが,キンバリーが会いたがっていることを聞き,喜びに震えます。しかもニック本人が自分を訪ねてきたことで記憶が戻ったのかと一瞬期待したのですが,他人行儀な話し方からして,まだ記憶が戻っていないことを知るのでした。自分たち3人のこれからの生活がどうなるのか?ニックにキンバリーの実の父だと知らせたほうがいいのか?クリスマス休暇を海岸の別荘で過ごすメレディスに悩みはつきません。何度も夢に登場していた女性がメレディスだと気付いたニックは,本人にどう確かめたら良いかわかりません。結局13年前に自分と一緒にサーフィンでオーストラリア中を回っていた友人たちに電話して当時のことを聞いてみることにしました。そして今はロンドンにいるデイヴ・ケターリッジと連絡が取れ,キンバリーが自分の実子であることに到達するのです。翌朝3人はクリスマスツリーを買いに出かけるのですが,幸福そうなメレディスとキンバリーに対してボンヤリしがちなニック。その夜メレディスがニックに問い詰めると,キンバリーが実子であることに気付き,なぜ自分に知らせてくれなかったと問い詰めるニックに,努力しても連絡が出来なかったこと,そしてニックの姉夫婦に娘を託せば自分が育てるより大切にしてくれるはずで,いずれニックも気付くかもしれないと考えたことを打ち明けます。そしてニックが記憶喪失になっていることを信じられないでいたことも話すのでした。二人の話を立ち聞きしてしまったキンバリーもショックを受けますが,ニックがメレディスと結婚するつもりだと話すと逆にキンバリーは,12年経ってやっと自分の居所が落ち着くことに喜び,実父母の愛を信じる様子です。自分から寄宿学校に行くというキンバリーにニックは驚きますが,それが長い間別れていた実父母が二人だけの生活を送れる陽にという配慮だと知り,メレディスは賢くキンバリーが成長したこと,自分たちを許してくれていることに感動するのでした。まさにクリスマスの奇跡を絵に描いたような作品です。


タグ:イマージュ
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君なくて(ネタバレ注意!) [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1252
君なくて The Colour of Desire 1990」
エマ・ダーシー 寺田ちせ




PB-167
16.05/¥700/156p

I-0668
91.09/¥590/156p


 原題は「欲望の色」
 ヒロイン:キャスリーン・マヴォーニー(21歳)/ソプラノ歌手/列車事故で両親を失い,自身も命をとりとめたものの両膝を潰されて何度も手術を繰り返しやっと2時間ほどなら経っていられる程度に回復している/豊かな赤毛,大きめの唇,赤みがかったブロンドの長いまつげ,青い目/
 ヒーロー:モーガン・ルエリン(32歳)/ミュージカル作曲家/長身,黒い髪,太い眉,高い頬骨,精巧なのみで彫ったような鼻,引き締まった唇,頑固そうな四角い顎/
 本作の本当の主人公はシスター・メアリ・シシリーという修道尼の音楽教師だと思います。ヒロインのキャスリーン・マヴォーニー,ヒーローのモーガン・ルエリンはこのシスター・シシリーに運命を握られ,踊らされて,結局その思惑どおりの行動を取ってしまうからです。そしてシスター・シシリーはそのことを見越したかのようにキャスリーンに言葉を残しているのです。最後にはモーガンがキャスリーンと作り上げたミュージカル作品を破棄するのに,その作品の譜面と録音媒体のコピーを遺言代わりに残すということをやってのけています。シスター・シシリーが教えた中でも最高の才能を持つ二人を出会わせ,影響を与えさせ,ついには二人の弟子がゴールインするように仕向けていく,そんな遠大な計画を確実に実施していくプロデューサーとしての才能を持った女性だったようです。修道尼としては院長のいうように従順な人ではなかったようですが,だからこそ音楽を愛し,自分が果たせなかった夢を二人の弟子たちをとおして実現させていく力はかなりのものです。しかもそれが自分のためではなく弟子たちのためになって行くことを見越していたのです。シスターの遺体を前にヒロインが泣き崩れる場面では読者も涙を禁じ得ない感動の場面となっています。ストーリーテラー,エマ・ダーシーの作品の中でもピカイチの作品だと思います。


タグ:イマージュ
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密会は午後の七時に [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1176
密会は午後の七時に TheCostarellaConquest 2011」
エマ・ダーシー 萩原ちさと





 ロミオとジュリエットとはちょっと状況が異なりますが,親の敵を父親に持つローラ・コスタレッラと,そのローラを愛してしまった会計事務所の所員で自分の事業でも成功したジェイク・フリードマンのロマンスを描いた作品,原題の[conquest]には征服するという意味となびいてきた女という意味があり,その両方に掛けていると思われます。ローラの父でかい兄事務所を経営しているアレックス・コスタレッラは,破産企業の清算人として,情け容赦ない仕事をして大もうけをしている冷酷な男性。そしてジェイクの父の会社もアレックスによって簒奪され,死に追いやられました。絶望した母も後を追うようになくなり,苦労して資格を得て復讐する機会をうかがいながら努力し,アレックスの会計事務所で仕事ができる男として認められるようになってきたのです。金曜の晩に母の日のパーティーを開くから参加しないかとアレックスに持ちかけられ,しかもうちの娘のローラは美人だぞとまるで娘との関係を持つように仄めかされたのです。復讐の対象であるアレックスの娘を利用できるかもしれないと密かに期待したジェイク。しかし,出会ってみるとローラはアレックスとは全く異なり,ただ美しいだけではなく知的で料理がうまく,しかも景観設計士としての勉強をしている大学生だということが分かります。作者の描いたローラの風貌はただの美人というだけでなく,いわゆる絶世の美女。ミルズ・アンド・ブーン版の表紙イメージは大概ハーレクインものより美しいのですが,そのMB版の本作のイメージモデルはどうもその美しさを伝え切れていないように思います。もっと若々しく,かといって幼いイメージではなく大人びた華やかさももつイメージです。「世界で最も美しい顔ベスト100(2015)」で言えば,第7位のクロエ・グレース・モレッツ(アメリカの女優)のような感じがふさわしいと思うのですが・・・。さて,アレックスは仕事上だけではなく,家庭内でも妻や息子,娘に対しても冷酷で常に家族を支配下に置きたがり,ちょっと逆らうと嫌みと皮肉で心を傷つけるような人でした。卑劣な男を100人集めてそのエキスを合わせたような人ということでしょうか。その父が招待したジェイクですから,きっと父と同じタイプの人だろうと予想していたローラの思惑とは違い,ジェイクは紳士的で母にも優しい言葉をかけ,しかもハンサム。とにかく礼儀上誘いを一度は受けてみようということで翌日かかってきた食事の誘いに乗ることにするのでした。料理好きのローラはジェイクの選んだ一流シェフの料理を堪能し,その後見事な夜景が見られるホテルで夢のような一夜を過ごすのでした。もうジェイクに惹かれていることを隠しきれないローラは,兄のエディのアパートに泊まるからと嘘をついてその後,数回ジェイクとの食事と,一夜の関係を続けていきます。二人がレストランで出会う時間がいつも午後七時でした。兄からの忠告でジェイクはお前を利用しているだけだと言われ,時折父からもジェイクと会っているのかと問われるのですが,二人の関係は父の仕事とは関係ないと割り切り,ひたすらジェイクのことが頭から離れない状況を愉しんでもいるのでした。3回目の食事が終わった後,ジェイクはさりげなくタクシーにローラを乗せ,「これまで楽しかったよ」と別れの言葉を口にするのでした。そしてその意味が分かったのは,数日後アレックスがジェイクに裏切られ訴えられたと家に帰ってきたからでした。自分を利用していたのかと一瞬疑いをもちながらも,再び自分を誘ってくれるのではないかという期待も捨てきれず,ジェイクの家を訪ねて行ってみると,もうすでに別の人が住んでおり,さらに,ジェイクと美しい女性が写っている写真を父から見せられ,完全にジェイクへの思いが冷めてしまったローラ。しかし心の中ではジェイク以外の男性との関係など想像もできないほどジェイクを愛してしまっていたのです。その後は大学での勉強に集中し,全科目で優秀な成績を収めて,景観設計士として就職を果たした6カ月後。いよいよ父の裁判が始まりました。その時にはすでにローラと母は父の家を出て,その影響下から完全に脱出しており,ジェイクと女性が写った写真も父のねつ造であることが分かっていたローラは,この裁判の時こそジェイクとのつながりを再確認する機会だと思い,裁判所へ傍聴に出かけるのでした。さて,二人の関係はどんなふうに修復されるのでしょうか・・・。
 美しいだけでなく屈託なく,料理や風景に対する興味を素直に抱き,それを正直に表現するローラはとにかくNiceHeroineです。


タグ:ロマンス
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ジャスミンの罠 [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1175
ジャスミンの罠 Climax of Passion
Page and Privileges 9 ) 1995」
エマ・ダーシー 久坂 翠





 すごい女性がヒロインです。アマンダ・ブキャナンはホテルの受付担当でありながら,人類学者である父をもち,その父が発見したアトラス山脈近くのザビア国の水晶に満ちた洞窟をザビアの首長ザシラクに否定されたため,単身ザビアに乗り込み自分の力で推奨度靴を見つけようと計画しているのですから・・・。ホテルでは副支配人のチャールズ・アーノルドにひどいセクハラとパワハラを受けながらもそれに耐え,支配人すらそれに味方するという状況でありながらじっと機会をうかがっています。ホテルのオーナーであるザビアの首長ザシラクに遭うチャンスを伺っています。丁度その頃,団体客と前後して謎の男性からのスイートの予約状況を尋ねる電話があり,さらにいかにも砂漠の民のような精悍で視線の厳しい男らしい人物が団体客の受付が終わるのじっと待っています。そして混乱が静まったころ,ザビア国のマークのついたいわゆる水戸黄門の印籠のような文書を差し出しながらスイートルームを取ろうとするのでした。名前を聞いても架空の名前を名告るばかりで正体を明かしません。副支配人も支配人もこの文書の正当性を信じず,ゴミ箱に捨ててしまうのですが,その時ザシラクの側近の男性が,支配人と副支配人をクビにしてしまいます。そしてアマンダを支配人にするというのです。スイートを確保しアマンダが男性を案内すると午後9時に部屋に来て欲しいという伝言が伝わってきます。女性としての自分に言い寄ろうとしているかもしれないと不安と期待を持ちながらアマンダは極限の緊張感の中でその男性の部屋を訪れるのでした。互いの本音をうかがいながらの神経戦が展開されます。そしてアマンダは翌朝,ゴミ箱に捨てられていた文書を拾い,ザビア国に単身乗り込むのでした。空港で出会ったモッカという案内人の若者が何から何まで道具をそろえてくれました。支払いは?と訪ねると,この文書がある限り請求は王宮にするというのです。とにかく自分の入国と不法な請求が行く前に急いで水晶洞窟を探しに出かけたアマンダ一行。ところが砂漠に入ったところで首長の親衛隊が警護という名目で待ち構えていました。ここまでかと思いきや一人の男性だけが残り,アマンダたちのトラックに乗り込んで案内をするというのです。有無を言わせない圧倒的なオーラを放つ男性。実はその男性こそ首長ザシラク本人だったのです。オアシスで一夜を明かしたアマンダ一行は翌日アトラス山中の水晶洞窟を目指そうとするのですが,謎の男性は馬を用意し,アマンダと二人だけで別行動を取ると言い出します。アマンダをからかうような言い方ではあれ,断ることもできない言外の力強さに負け,アマンダは二人での行動を選択するのでした。父が残した地図には書かれていない双子山の一方に男はアマンダを連れて行きます。そしてそこには水晶洞窟があったのでした。父の名誉を晴らしたいという気持ちは洞窟に案内されたことによりすっかりアマンダの心から消え去り,この場所を公開しないでおきたいという男性の言葉を信用することにするのでした。山を下りようとしたとき,アマンダの後ろで岩が洞窟の出入り口をふさいでしまいます。男性が押しつぶされ,出られなくなったのではと恐れたアマンダはとにかく村に帰って助けを呼ぶしかないと考え,一人,馬を駆っていくのでした。途中ヘリコプターの音が聞こえ,アマンダの近くに着陸し王宮に向かうようにアマンダを乗せてしまいます。男性を早く助けて欲しいという願いを強調しますが,首長からの命は絶対でそれ以外は誰も耳を貸そうとしません。男性の運命は・・・。王宮について身支度を調えさせられ,休憩を取らされ,救助の願いが聞き届けられた様子はありません。そして翌日首長の謁見に行ってみると,なんとあの男性がザシラクだと分かったのでした。何故自分より早く王宮に着くことができたのか。そうか,あのヘリコプターが・・・。やっと腑に落ちるアマンダ。そしてザシラクはアマンダが自分を見捨てて一人で逃げたのだと誤解しているのでした。なんとか誤解を解く方法を考えたアマンダ。二人の瞳の中には互いの欲望が渦巻いているのが見てとれるのでした。
 復讐譚かと思いきや,ジェットコースターのようにスピーディーな冒険譚であり,さらにはエキゾチックな雰囲気がふんだんに取り入れられたロマンス作品でもあります。自分の信念を曲げずに誰もが恐れるザシラクの愛を獲得していくアマンダのりりしくも愛らしい姿に脱帽です。邦題はザシラクが好む花ジャスミンの香りがアマンダの心に入り込んでいく様子を表していて,蓋し名訳だと思います。


タグ:イマージュ
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虹色のシンデレラ [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1174
虹色のシンデレラ The Billionaire's Captive Bride
Ruthless 15 ) 2007」
エマ・ダーシー 片山真紀





 エマ・ダーシーのシンデレラストーリーですが,本作はシンデレラを夢見る女性ではなく,シンデレラ物語を作る側の女性を描いた作品です。そんなちょっと変わった視点から,こんなにも面白いストーリーが描ける作者の才能にまずは感謝です。
 童話作家としてすでに世界的に名を知られていたエリン・ラヴェルは,いわゆる覆面作家。プライベートな部分をほとんど明かさず,マスコミからの取材もほとんど断っています。ペンネームではなく本名で創作していますが,ストーリーを思いつくと現実からちょっと離れたその世界に行ってしまうという癖があります。最初の作品が発表されたときのマスコミからの取材に嫌気がさし,その後はインタビューもほとんど断ってきたのでした。その日は伯母の経営する幼稚園の子どもたちと一緒に園の近くの公園に行って子どもたちに語り聞かせをすることになっていました。横断歩道で子どもたちを横断させようと待っていたとき,スポーツタイプの高級車に乗った男性が目につきます。にっこり笑いかけて子どもたちを横断させただけの出会いでしたが,これが後にエリンの人生に大きな転機をもたらすとはこの時予想もしていなかったことでした。この男性こそ,親の代からの企業帝国のリーダー,ピーター・ラムゼーだったのです。ピーターは車の中から横断中の子どもたちを何気なく眺めていたとき,にっこりと笑いかけた女性,この時は幼稚園の先生だと思い込んだのですが,が,とても印象に残ります。公園の近くに車を止め,目立たないようにそっとこどもたちの様子を見ると,先ほどの女性が語る語り聞かせがとても面白く,子どもたちもその話しにうっとりと聞き惚れている様子に思わず笑みが浮かびます。その時疲れ切った様子の男性が子どもたちの中に割り込み,男の子を一人さらおうとしたのでした。何人かの先生がその男性に警察を呼びますよと興奮している中,エリンが男性に落ち着くように声を掛けている様子を見て,ピーターは思わずそこに近づいて行きました。そして男性が子どもの父親であり,母親から子どもの養育権を奪われてしまって会うことが出来ずにいることを知り,就職先と弁護士を紹介すると約束するのでした。エリンはそんなピーターの様子を見て,他の子どもたちを落ち着かせるために再び話し聞かせを始めたのでした。男性が子どもを傷つける様子がないことを信じたエリンとピーターの息の合ったこの対応で,子どもたちはすっかり落ち着きを取り戻し,事件のことをでショックを受ける様子もなく幼稚園に戻っていくのでした。あとで母親の様子を聞かせて欲しいと名刺をエリンに渡すピーター。その時エリンも自分の名前を名告ったのですが,名刺を受け取り名前を聞いてもエリンはピーターの正体に気付いた様子はありません。またピーターもエリンの名前を聞いても有名な童話作家であることは気付きませんでした。そして夕方エリンから電話をもらったピーターは,母親の様子を聞くことを口実にエリンを夕食に誘います。レストランに現れたエリンは,気合いの入った服装で現れました。きっと自分の正体を知ったからだと思ったピーターですが,これまで女性たちが自分の財産狙いでさんざん自分を売り込もうとしてきたことに嫌気がさしており,エリンの魂胆もそんなところにあるのかどうかを確かめたかったのです。エリンもまた有名な作家であることが自分をありのまま見てもらえないことに嫌気がさしており,ピーターが自分に気付かない方が都合がいいという思いでいました。そしてその夜,誘われるままにピーターの家で愛を交わし合うのでした。一夜限りの関係だろうと思っていたエリンは,ピーターがその後自分との関係をどうしたいのかを推し量っています。ピーターはこれまで付き合ってきた女性とエリンは全く違っており,自分の差し出そうとするものを頑なに固持するところから,二人の関係を深めたくないのだろうと思ってしまいます。翌日の午後ピーターの所有する馬がレースに出ることになっており,競馬場にエリンを誘いますが,エリンもまた競馬を見たことがなく,喜んでこの誘いに乗るのでした。うっとりするほど素晴らしいスタイルで現れたエリンにピーターはすっかり心を奪われてしまいます。エリンもまたピーターが自分の白馬に乗った王子様であるかもしれないと夢見ごちですが,富豪のピーターが自分と住む世界が違うはずだとこれからの関係が深まるはずはないと思い込んでいます。この二人の気持ちのすれ違いが,翌日決定的になります。競馬場で二人が一緒にいる様子がマスコミに取り上げられ,新聞に出た二人の写真を見たピーターの母親から,エリンが有名な童話作家であることを明かされたのです。どうして正体を隠していたのかとエリンを詰問するピーター。ああ,またしても自分の正体が相手を傷つけてしまったと,エリンはピーターの部屋を去って行くのでした。その後数週間して,競馬場で見た馬たちを物語にしていたエリンは体調の変化に気付き,やがて妊娠に気付きます。ピーターに知らせなければと思いつつも,気まずい関係で終わったあの時を思い出すとなかなか言い出せないでいます。数ヶ月して,エリンの書いた物語「ミリマの不思議な馬たち」が映画化されることになり,お腹の大きくなっていたエリンは自宅でプロデューサーや映画監督との打ち合わせをすることになります。ところが一緒に現れたのは,ピーター。そしてピーターこそがこの映画のオーナーだというのです。そのことにショックを受けたエリンは妊娠を何故黙っていたと難詰するピーターの声を聞きながら陣痛が起こってしまうのでした。その後はピーターの手際よい段取りであっという間に出産までこぎ着けます。子どもを得たピーターに大切にされながらもエリンは子どもをピーターに奪われてしまうのではないかと不安に襲われます。そしてピーターと出会ったときにきっかけになった事件,あの男の子と父親との件を思い出し,ピーターが子どもに対して父親として常にかかわっていきたいと考えていることを信じることにしたのです。そして結婚の申し出。子どもだけでなく自分も愛して欲しいと結婚式当日まで悩むエリン。その想いをいつピーターに伝えようか,ピーターもまたエリンが自分を愛してくれているといってくれるだろうかという想い。このすれ違いが読者にカタルシスを与えますが,そこはやはりロマンス小説。そして数ヶ月後にアカデミー賞の授賞式にエピローグが飛ぶのです。
 夢見がちでロマンチストのエリンがとても愛らしく感じられ,ミルズ・アンド・ブーンの表紙の女性はエキゾチックすぎてちょっとイメージが違うのですが・・・。また,ピーターの妹シャーロットとダミアンの物語である本作の姉妹編「奪われた祝福の夜」もこれから楽しみたいと思います。


タグ:ロマンス
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心の扉 [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1173
心の扉 Don't Play Games 1985」
エマ・ダーシー 高田真紗子




HQB-711
16.02/¥670/224p

I-339
87.02/¥546/156p


 1987年のエマ・ダーシー作品です。オーストラリア上流階級の男女,親子の心理戦ゲームの虚々実々の戦いを見事に描き出した傑作です。さすがエマ・ダーシーと思わせる夫婦の心理の機微がゲームのようにとぎれることなく続き,最後に二人の愛が勝利を挙げるというストーリー展開になっています。
 夫スコットに良いように操られてさらに虐待寸前のことまでされていた妻メアリー・キャスリーン・アンドリューズ,通称ケイトは,歴史学者の秘書として働いていますが,夫の仲間たちのもてなしパーティで,この日は夫の取引相手アレックス・ダルトンに妻としての立場を超えてまで取り入るように要求されます。そんな夫の仕打ちに耐えられず離婚を決意するケイト。しかし離婚の条件として夫が持ち出したのは週末に開かれるアレックスのヨットでの船上パーティに参加し,アレックスに気に入られるようにという要求でした。この一日さえしのげば離婚に応じてくれるという期待でなんとか承諾したものの,自分をアレックスから守ることで精一杯のケイトです。しかしアレックスはそんなケイトの思惑を尊重してくれ,スコットの仲間たちの思惑どおり思わせるようしむけるのでした。スコットは愚かにも見てくればかり気にするフィオナという人妻の甘言に乗せられ遊泳禁止区域まで泳いでいってしまいます。その時,高速ジェットフォイルがスコットの頭上を通り過ぎ・・・。離婚寸前であっという間に命を落としてしまった夫。陸に上がったケイトたちは警察の事情聴取に応えたりしなければならなかったのですが,アレックスはケイトを気遣い全ての段取りをつけ,ケイトが尋問を受けずに済むように取りはからってくれるのでした。翌日以降,ケイトの元をスコットの仲間たちが互い違いに訪れ,後始末やケイトのその後の生活について,できれば触れたくないという本音を告げるのみで誰も力を発揮しようとは申し出てくれません。もともと仲間と言っても仕事上の付き合いで集まった人たちで,ケイトはスコットに付属するだけの存在だったため,スコット亡き後は付き合いも終わりということのようです。そんな時,ケイトの今後の生活を気遣い計理士や弁護士を紹介してくれたのはアレックスでした。スコットの葬儀も終わり,もう嫌な夫のことを気にせずに暮らしていけると思っていたケイトをアレックスが訪れ,プロポーズするのでした。しかも愛を伴わない,子供を作ることだけを条件とした便宜的な結婚を申し出たのです。これ以上夫の思い通りにされる生活はゴメンだと思っていたケイトですが,これからの住む家も含めた経済的な後押しと,子供という自分が愛を注げる存在があれば,意味のある人生を歩めるのではと思ったケイトは,結局アレックスの申し出を受け入れ,簡素な式を挙げてミセス・ダルトンとなるのでした。しかし,ケイトの本当の心理的試練はここから始まります。アレックスと長年にわたって心理戦を戦ってきた義母,そして周囲がアレックスと結婚するだろうと噂を立てていた元恋人のニコルとの対決。義母との対決はケイトが少し有利なうちに1回戦を終えるのですが,義母の主宰する結婚披露パーティーで,ついにニコルとの対決が待っていました。本作の圧倒的ハイライトとなるこの部分は読み応えがあります。そして,黙りこくったまま家にたどり着いたアレックスとケイトの言い争い・・・。この心理戦を最後に解決するきっかけとなるのが,なんとあの人だとは・・・。
 原題「ゲームをしないで」を「心の扉」と訳した邦題の見事さもあって,今年読んだ中で今のところ最大のイチオシ作品となります。


タグ:イマージュ
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憧れのウエディング [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1123
憧れのウエディング A Wedding to Remember 1994」
エマ・ダーシー 岡 聖子





 再婚を予定している教師のジョアンナは前夫のロリーの元を訪れ,再婚する予定だと告げます。ロリーにまだ自分の気持ちが残っているのかを確かめたいという思いで・・・。それをロリーはすぐに見抜き,ジョアンナを抱き上げて自分の屋敷に連れて行くのでした。そこは離婚前にジョアンナが思い描いて計画したとおりに作り上げられた新居でした。なぜ・・・ロリーはこんな家を作ったの? 実は二人の結婚はジョアンナの母親の反対を押し切って行われたものでした。蜜月は長くは続きませんでした。しかも仕事一筋のロリーが,別の女性を妊娠させたということを聞き,離婚を決意したジョアンナ。自分の勤める私立高校の若き校長との婚約が間近に迫っています。それも母親が諸手を挙げて賛成する相手でした。しかしジョアンナは母の認める相手との結婚は結局母の影響下から逃れられないと思い,逡巡していたのです。前夫への気持ちを断ち切るために出かけたジョアンナでしたが,いわば返り討ちに遭ったようにロリーと関係を復活させてしまいます。そこに婚約相手が乗り込んできて,そしてロリーの元にも美しい秘書が訪ねてきて4者鉢合わせという状況になります。ロリーのとっさの機転で婚約相手の疑いは晴らされたのですが,しかしジョアンナはもうこの婚約は無効にすることに心を決めたのです。前夫の浮気は果たして本当だったのだろうか。そんな疑問がふと湧いてきます。ロリーは今でもジョアンナに強い気持ちを持っていることが分かったからです。しかし,あの美しい秘書の存在。そこに引っかかりがあり,まだ全面的に前夫を信じることができません。ここから二人の葛藤がいよいよ本格化していきます。ジョアンナの親友の独身教師を結婚に向かわせるためにアドバイスをした数日後にお見合いから帰ってきた親友が連れてきたのはなんと変装した前夫。またもや裏切られた気持ちのジョアンナ。そんなこんなが続いていき,無理のないストーリー展開と二人の気持ちの変化が丁寧に描かれ,感情移入しやすい作品に仕上がっていきます。さすがエマ・ダーシー,その中でもこれは傑作?と思わせる作品です。そして後半は,ジョアンナの待ち望んだ本格的な結婚式の場面が描かれます。そして,最後の一行が独立して,後日談を一気に盛り上げます。とてもしゃれた終わり方,ドラマを見るような見事な作品です。


タグ:イマージュ
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野性の女 [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1105
野性の女 To Tame a Wild Heart 1992」
エマ・ダーシー 霜月 桂





 半年ぶりのエマ・ダーシーの作品読了です。本作はとにかくスケールが大きく,ワイルドなヒロインを主人公にした作品で,エマ・ダーシー作品の中でもベスト10の上位に入る作品だと思います。
 隣接する牧場の牛が増えすぎて,近隣の牧場も含めて水場の確保が難しくなり,数年にもわたる干ばつが危惧されるオーストラリアのアウトバックが舞台です。大きな飛行場はブリスベン。1つの牧場が1つの町がすっぽり入るぐらいの規模ですから,近隣と言ってもかなりの距離があるのですが,水の確保は川が流れていなければ難しくなり,数年の干ばつですっかり川の水も減ってしまっています。管理すべき会社はブリスベンに支社を持つアメリカの大企業コーデル・エンタープライズ。ニューヨーク本社で会議中のスレイド・コーデル社長の下に赤い服を着たヒロインのレベッカ・ワイルダーが押しかけてきます。そして,何度も訴えをしたにもかかわらずまったく取り合ってもらえなかったと,牧場の窮状を訴えるのでした。「彼女の周りには何者にも屈しない大胆で気性の激しさがオーラとなって燃えている」,会議に退屈していたスレイドは,そんな彼女の闖入を返って喜び,同時に興味を持つのでした。オーストラリア担当重役の弁解は要を得ず,これまで訴えがあったことを社長に報告していなかったのです。詳細を聞いたスレイドはそのままレベッカと共にオーストラリアに渡ります。アメリカを発つ直前に祖母の死を知らされたレベッカ。スレイドはレベッカを手伝って祖母を埋葬し,さらに,もともとアリゾナの牧場で育った経験を元に地元の問題を次々に自ら解決していくのでした。そして1週間の休暇を海岸で過ごす間に二人には深い関係ができあがります。いったんニューヨークに戻らなければならないスレイドとの別れは,おそらく永遠の別れになるだろうと考えたレベッカは敢えて避妊をせずにスレイドと関係を持つのでした。1カ月後,妊娠を知ったレベッカはこの地で四代目になるだろう跡継ぎを得たことを知り喜びます。そしてスレイドのもとにレベッカの隣人からその事実を知らされたスレイドは,予定より一月早くアウトバックに舞い戻るのでした。
 オーストラリアとニューヨーク,二人の生活根拠地は離れており,このまま結婚してもその生活を長続きさせることはできないとレベッカはスレイドのプロポーズを断るのですが,レベッカにはかつて愛したポールという男性がおり,スレイドは彼の存在がレベッカの中ではまだ大きいのだと誤解します。しかしレベッカの中ではすでにスレイド以外の男性は意味を成さなくなっていたのです。数ヶ月はオーストラリアで牧場の面倒を見ながらブリスベン支社から会社の経営をしていたスレイドですが,いつの間にかあまりブリスベンに行かなくなります。そして,ついに雨雲がやってきて,十日間に渡って雨が降り続き,干ばつは一応解消されます。事前に作っておいたダム工事のおかげで水場の心配はかなり解消されました。そして二人で計画し作り上げてきた障害のある子どもたちを自然の中で過ごさせる施設作りの計画も着々と進んでいき,7カ月後,レベッカは陣痛を迎えます。しかし予定していたブリスベンの病院には間に合わない状況でした。ところがスレイドは自分の事務室に出産用の用具を全てそろえており,講習も受けていたのです。スレイドと家政婦のミリーの助けでレベッカは無事女の子を出産します。都会の生活からかけ離れた自然の中での生活は,かくも不便さを覚悟しなければなりませんが,自立心を養い,人生を自らの意志で切り開いて行かざるを得ないという人間らしい生き方をできるのだというメッセージがひしひしと伝わってくる作品です。


タグ:イマージュ
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過去への扉 [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO971
過去への扉 Dark Heritage 1992」
エマ・ダーシー やまのまや





母のルーツを一目見てみたくてイギリスに来たついでにデイヴンポート・ホールを訪れたレブル(Rebel)・グリフィス・ジェームズ。原題は「黒い遺産」。てっきり中年か白髪頭の男性を思い描いていた伯爵は,なんと若い男性だった。兄の死により爵位を継いだばかりで,しかも兄夫婦の娘,姪に当たるセレストは天使のような愛らしさなのに,始終反抗して何をしでかすか分からない5歳児の面倒を見なければならなくなっていました。歓迎されていたと思っていたレブルが実は自分がナニーと勘違いされていたことが分かります。そして伯爵であるヒューが姪に対して冷たく当たる様子やセレストの反抗的な態度がかつて自分が里親の元を転々としていたときと同じであることを感じ,何とかしてセレストの気持ちを変えさせるために1週間ホールに留まることを提案するのでした。初めは姪に対して心を開かなかった伯爵が,自分に対しては好意を見せているのを感じ戸惑うレブル。そして義兄の故クリスティーンが自分に対して取った不実な行動がその原因であることを知り,ヒューに対してもセレストと同じ愛情を感じてしまっていることに気づきます。しかしオーストラリアからやってきた孤児の自分が貴族社会になじめるはずもなく,期限が来たら去らなければならないことに涙を流すのでした。初めてデイヴンポートにやってきたとき,門から伸びる木に囲まれた道が,レブルに母がこの館にいたとき幸せだったことを思わせる風景であることに運命的な不思議な気持ちを抱き,自分もこの場所で暮らしたいという気持ちをもっていたため,余計去らなければならない現実との間に苦しむのでした。やがてセレストとの関係がよくなり,それまで凝り固まっていたヒューの気持ちもセレストに向くようになり二人の関係が好転したことに安心したレブルはいよいよ自分がここを去ることを考えます。そんなとき,母のことを知りたいという老年夫婦が自分を訪ねてくることを知ります。母の様子が聞けるかもしれないと期待しながらも緊張して老夫婦に会うと,実の祖父母であることがわかり混乱します。なぜ母を捨てたのか?思わず席を立ってしまうレブルにヒューはとにかく話を聞くだけでも聞いたほうがいいと優しく諭すのでした。若くして親の反対を押し切って結婚しようとした二人が子供を勝手に里子に出されてしまい,さらに夫は戦争で徴兵され子供を見失ってしまったという状況を聞いて,レブルは二人が愛し合っていることそしてずっと母を捜していたことを知ります。このデイヴンポートで祖父母に出逢えたこともなにか運命を感じるレブルでした。そして翌日,ヒューはついにレブルに対する気持ちを明かします。互いの愛を告白し合った二人。心温まるエンディングです。
14人もの養子を育てたジェームズ夫妻の元で育った子供たちの物語「ジェームズ・ファミリー」シリーズは,4冊描かれているようです。本作はその第2巻ですが,どれが訳本なのかまだよく分かりません。ちょっと調べてみたいと思います。そして文庫版の本作の表紙がとても斬新です。顔のない女性の正面の姿。これはきっとルーツを求めているレブルを象徴しているのでしょう。心温まるオススメの一作です。


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