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イタリア富豪の孤独な妻 [ダニー・コリンズ]

SHALOCKMEMO1420
イタリア富豪の孤独な妻 The Marriage He Must Keep 2015」
ダニー・コリンズ 竹内さくら





 原題は「彼が守らなければならない結婚」
 ヒロイン:オクタヴィア・フェランテ(23歳)/主婦/従順で誠実,読書好き,控えめながら磨けば輝くような美しさ/
 ヒーロー:アレッサンドロ(サンドロ)・フェランテ(30歳)/複合企業のCEO/広い肩,キリッとした口もと,知的な眉,端整な顔立ち,深いグリーンの瞳/
 今月の赤ん坊取り違えものの二つ目です。こちらは取り違えが病院のミスではなく,悪意のある犯罪でスタートします。どうも自分の赤ん坊とは違うようだと母親同士が気がつきます。ヒロイン,オクタヴィアの夫アレッサンドロが病院内の監視カメラで確認したところ,アレッサンドロのいとこでオクタヴィアにつきまとっていたプリモが意図的に取り替えた様子が映っていたのです。プリモは産気づいたオクタヴィアが救急車と病院への連絡を頼んだのにもかかわらず,わざと連絡を遅らせ,いよいよ大変な事態になってから救急車を呼び,あやうく母子の命を奪おうとしたにもかかわらず,さらに出張中のアレッサンドロにはオクタヴィアが自分を避けているために気づくのが遅れたと夫婦間の不信感をつのらせるような言い方をしたのでした。信頼していたいとこがなぜこのような犯罪行為を犯したのか理由がわからずに初めは信じがたいと思っていたアレッサンドロでしたが,画面の映像という証拠と妻のそれまでプリモから受けた嫌がらせから,断固たる措置を執ることにしたのです。結局どちらが自分たちの子供か検査結果がはっきりするまで通常の入院よりさらに1週間がかかってしまいます。その後イタリアの祖父の家にやって来た三人ですが,アレッサンドロの叔父であるプリモの父や従姉妹たちの冷たい視線といやみという対応に会います。そして祖父までもがオクタヴィアに対して冷たい態度を取るのです。妻と息子を守らなければ・・・。アレッサンドロの心に強い決心が浮かびます。ここにおいて,初めて本当の意味で結婚の重みと妻に対する愛に目覚めたアレッサンドロでした。しかし夫婦愛が強い絆となっていきます。オクタヴィアもまた,ただおとなしいだけの妻というこれまでの自分から,かつて父親の死に責任を感じ続けてきたアレッサンドロの心の闇を知り,深い愛情を感じ,夫を守りたいという思いを抱くのでした。これまで父親の言うとおり自分の気持ちを殺して言うとおりにしてきたオクタヴィアですが,両親に孫のロレンツォを見せに行ったとき,ついに感情が爆発し,二度と会わないと宣言します。その後はオクタヴィアもフェランテ家の城ともいうべき我が家の女主人として自分の感情を押し殺すことなく,いうべきことを堂々と述べるようになるのでした。そして赤ん坊取り違えの時以来連絡を取ってきたスペイン人のソーチャとセサルの夫妻を別荘に招いてチャリティー・オークション・パーティを開いたのでした。夫妻とは幸せな週末を過ごし,その後アレッサンドロの祖父との関係も改善し,アレッサンドロの母もしきりと孫に会うために城に来るようになり,幸せな状況の中で唯一オクタヴィアの心を塞いでいるのは,二人の結婚がいわば便宜結婚であり夫の愛を信じられずにいることでした。これほど信号を出しているのに互いに愛を確信できないでいる二人に読者はいら立ちを覚えてしまうのですが,出会いのきっかけがきっかけだっただけに言葉にすることが必要なのでしょうか。そして,ついに言い争いに発展してしまいます。さて二人は本当に愛を信じ合えるのでしょうか。第11章とエピローグまで解決を待たなければなりません。
 犯罪的な赤ん坊取り違え事件をきっかけに夫婦が本当の愛に至るまでの過程を丹念に描いた本作。前読作とは違った意味で夫婦の精神的成長が描かれた良作です。


タグ:ロマンス
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ぼうやはキューピッド [レベッカ・ウィンターズ]

SHALOCKMEMO1419
ぼうやはキューピッド Both of Them 1992」
レベッカ・ウィンターズ 寺田ちせ




HQB-793
17.03/¥670/200p

I-0798
93.06/¥622/156p


 原題は「二人とも」
 アメリカ南西部フェニックス ヒロイン:カサンドラ(キャシ-)・アーノルド(20代後半)/手芸家,「ミックス・アンド・マッチ・サウスウエスト」共同経営者/すらりとしているが女性らしい体型,身長160センチ,ブロンド,緑色の瞳/
 ヒーロー:トレイス・エリングズワース・ランゼイ三世(?歳)/銀行家,「グレーター・フェニックス銀行」頭取/黒いまつげ,深く青い瞳,右足の第三指と第四指の間に水かき,真っ直ぐな力強い鼻筋,豊かな唇,日に焼けたブロンズ色の頬,身長182センチ/
 今月は赤ん坊取り違え事件ものが二つ翻訳が出ました。本書と「イタリア富豪の孤独な妻(R-3230)/ダニー・コリンズ」です。まず,本作ですが,出産時に病院に化学工場の爆発事故による負傷者がたくさん運び込まれたどさくさで看護師が名札を取り違えるということがおこり,キャシーの甥で姉スーザンの子供のジャスティンと,トレイスの子供ジェイスンが入れ替わってしまったのでした。名前もJで始まる名前だったことも原因したのでしょうか?(でも生後すぐに名前がつくわけではないでしょうが・・・)。そしてスーザンと夫が亡くなり叔母のキャシーがジェイスンの実の親を求めて,数軒の家を訪ね廻り,最後にたどり着いたのがトレイスの勤め先の銀行だったということです。トレイスは妻とはすでに離婚しており,家政婦夫妻とナニーがジャスティンの面倒を見ていたのです。そしてジェイスンとうり二つのトレイスをみて,キャシーはこの人こそ実の父親だと確信したのです。トレイスもまた,ジェイスンの青い瞳と足の指にある水かきを確認し,自分の子供だと確信したのでした。そしてすでに愛情の湧いていたジャスティンと実子ジェイスンの「二人とも」を育てるためにトレイスはキャシーとの便宜結婚を提案するのです。キャシーには幼い頃から一緒に育ったロルフという恋人がいましたが,姉夫婦が亡くなるとロルフはキャシーを捨てて別の女性と婚約してしまったのです。キャシーが恋人でありながら,なかなか一線を超えようとしないこともその理由の一つだったようです。キャシーは本当に愛する人にしか体を許してはいけないと母親からしつけられて育ちました。そして姉夫婦の愛情溢れる様子を身近で見てその考えを自分の信条としていたのですが,ロルフが本当に自分の一生涯愛する人としてふさわしいとは自信をもって言えなかったのです。ところがトレイスを見た瞬間,これまで男性に感じたことのないような欲望を感じてしまうのです。この瞬間,キャシーはトレイスに恋をしたと言えるのですが,それが出会ったばかりのトレイスに対する愛だとは考えも及ばなかったのです。第4章で二人は簡略した結婚式を挙げ,子供たちを育てるための生活を始めますが,寝室は別にしていたのです。ときにトレイスはとてもやさしくなり,ときに自分に対して冷たい言葉を投げつけるなど,トレイスの本心をなかなかキャシーは理解できませんでした。ハネムーンを兼ねてスキー場へ出かける二人ですが,そこにはトレイスの二人の兄や姉のリーナも一緒に来ていたのです。二人きりの甘いハネムーンを思い描いていたキャシーにとっては,それはこの結婚が子供たちのためだということを改めて実感させることになってしまいます。トレイスの姉リーナの描いた絵が,銀行の頭取室やトレイスの家に飾ってあり,その絵を見てキャシーはリーナの才能が凡庸なものでないことに気づきます。そして手芸家としての題材のヒントにもなったのでした。リーナは自分の描いた絵に自身をなくし,学生時代に描いた作品をトレイスに譲って,その後は絵を描かなくなっていました。トレイスとしてはリーナに自身を持たせたいという思いがありそれをキャシーに知らせます。そしてキャシーが自らの手芸店を開きたいと考えていることを利用して,リーナとキャシーの作品を展示・販売する店舗を契約し,財政的な支援をすることにしたのでした。もし,この結婚が失敗に終わってしまえば,店舗を財政的に維持していくだけの自信をもてなかったキャシーは二の足を踏むのですが,リーナのためという理由での援助にはノーと言えずに計画に乗ることになります。店の開店は大成功でした。リーナも再び絵を描き出し,共同経営者になりたいと申し出ます。そしてキャシーが夫との間にわだかまりがあることを見抜いたリーナはなにくれとなくキャシーの相談に乗るのでした。遂に心を決めたキャシーは,トレイスに愛していると告げる決意をし,トレイスをモデルにした大きなワニのぬいぐるみをもって銀行に乗り込むのですが・・・。
 アメリカ南西部の大家族のもとで育ち,結婚に失敗した良家の実力者トレイスがついに真実の愛に目覚めることができるのでしょうか。太陽の降り注ぐフェニックスの雰囲気と,前向きに生きるキャシーのキャラクターが,赤ん坊取り違え事件という暗くなりがちなテーマを爽やかで純粋な愛のストーリーに昇華させていく秀作です。


タグ:イマージュ
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天使に託した二度目の恋 [アリスン・ロバーツ]

SHALOCKMEMO1418
天使に託した二度目の恋 The Doctor's Secret Family 2004」
アリスン・ロバーツ 藤倉詩音





 原題は「医師の秘密の家族」
 ヒロイン:ハナ・キャンベル(歳)/クリストチャーチ中央病院小児科病棟小児科医/金褐色の髪,すらりとした体型/
 ヒーロー:ジャック・ダグラス(歳)/小児外科医/ダークブラウンの瞳,ダークブラウンの巻毛/
 冒頭は病院の小児科医としてのヒロインの仕事ぶりが縷々描かれています。そして転勤してきた小児外科医長こそ,ヒロイン,ハナ・キャンベルの一人娘オリビアの父親ジャック・ダグラスだったのです。オリビアの存在はジャックには伝えていませんでした。5年前,自分の元を去ってイギリスで結婚したはずのジャックがなぜ再びこの国に・・・。「二度と会うことはないと思っていた人・・・自分の人生に紛れもなく強いつながりを持ちながら,それを知らない人との再会とは断じて違う。彼がもし今その繋がりを知れば計り知れない被害もたらす可能性がある。これは衝撃だ。」とジャックの登場を恐れたハナですが,紹介の場面でも何気ないふうをなんとか装うのでした。オークランドで出会って一夜限りの関係。その後妊娠を知らせる手紙が宛先人不明で戻ってきて以来,ハナはオリビアを懸命に育て,やっと病院での小児科医としての地位も安定してきたところでした。昇進のチャンスが間近に来ており,もし昇進できれば子育てにももっと時間をかけることができ,オリビアが小学校に上がるときにも一緒にいてやれる。ところが,ジャックが過去のことを持ち出してこの昇進のチャンスをフイにすることになれば・・・。そしてイギリスに行ってからのジャックの様子が次第に分かってきました。妊娠により結婚せざるを得なくなり一人息子ベンを出産したものの,二人の結婚生活はすでに破綻しており,別の男性と再婚した後自動車事故で亡くなったためジャックが育てることになったこと。ベンには血液の病があり療養が必要であること。オリビアの2歳年上で・・・。そしてベンの世話をするために家に連れ帰ったときオリビアと意気投合してしまったため,その後もベンとジャックは何度もハナの家に来るようになってしまいます。オリビアがジャックの娘だといつ知られるだろうか。何日も家族のように生活している間に,なんとなくジャックはオリビアの様子から自分の子供だと分かっているのではないかと思えるようになります。それでもジャックの方から聞いてこないうちは今更打ち明けるきっかけを失ってしまうのでした。そして週末を登山ですごそうと張り切って準備していた朝,ついにジャックが真実を知ることになります。気まずい思いのまま子供たちの大喜びしている様子を裏切ることができず車で出かけた四人ですが,山小屋で二人の気持ちのすれ違いから子供たちがいつのまにか出かけてしまったことに気づかないでいることが分かり,パニックになります。二人で一緒に探すことで絆を深めようというジャックの言葉どおり心当たりを探している間に事故が起こります。足を滑らせたジャックが岩の間に落ちてしまうのです。そして近くでベンもまた怪我をしていることが分かります。山小屋に救急箱を取りにいったり救助を求めるために携帯電話の電波の届くところまで降りていったりと行ったり来たりを繰り返してなんとか救助が間に合うのですが・・・。果たしてこの出来事で二人の関係はどう変化するのでしょうか。
 シングルファーザーとシングルマザーの二人の接近。周囲はあたたかく二人とその子供たちを見守ってくれています。ハナの住む家の土地が広々としておりたくさんの動物たちを飼っています。自然に溢れた生活,オリビアやベンにとって素晴らしい環境のようです。医師同士のカップルとなればどうしても平均的に年齢が高くなる訳ですが,本作でも性格に何歳とは分かりませんがおそらく二人とも三十代半ばから後半といったところでしょうか。落ち着いた雰囲気が漂う作品です。


タグ:イマージュ
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いたずらな愛の使者 [ルーシー・ゴードン]

SHALOCKMEMO1417
いたずらな愛の使者 Expecting the Fellani Heir 2016」
ルーシー・ゴードン 大田朋子





 原題は「予期せぬフェラーニの跡継ぎ」
 ヒロイン:エリー(38歳)/弁護士/豊かな長い髪,スレンダーな体/
 ヒーロー:レオニツィオ・フェラーニ(34歳)/高級靴会社経営,離婚訴訟中/黒髪,黒い瞳,長身,アスリートのような体つき,男らしく優雅な身のこなし,ハンサムな顔/
 イタリアの高級靴製造業者で富豪のレオニツィオはハリエットに裏切られ,他人の子供を押しつけられそうになります。そのことが判明して離婚訴訟係争中。担当の弁護士エリーは一夜の交わりをレオニツィオと交わしてしまい,身ごもりますが,それを告げないままでいます。離婚が成立してからも,エリーはしょせんレオニツィオには相手にされないことが分かっていて,妊娠が分かられてしまってからもプロポーズを断り続けるのでした。すべてを取り仕切ろうとするレオニツィオと結婚すれば,自分のこれまで築いてきたキャリアも失い,自立できなくなってしまう。そして子供のための,愛のない結婚にはとても耐えられないだろうと思っていたからです。偶然レストランでレオニツィオといたときに,ハリエットとその恋人に遭遇してしまいます。翌日弁護士事務所をハリエットが訪ねてきてエリーに対してけんか腰の言葉を投げつけます。「彼が何を大切にするか知っているでしょう。ビジネス,野望,権力,自分自身。そして自分の意のままになる連中よ。あなたもじきにわかるわ。彼はあなたの心を打ち砕く。私の心を打ち砕いたようにね。彼が傷ついたのは子供のことで,私が原因じゃないわ。本当にお気の毒。外見はテキパキとして有能そうなのに。あなたが感情に流されるなんて,誰が思うかしら。でも本当のことよ。認めたくないでしょうけれど,あなたは今にきっと公開するわ。」と。この短い,切れ切れの文をつないでいくのがこの作家の文体の特徴なのだろうと思います。それが自然にリズムを作り出し,読みやすくする効果をもたらしているのかもしれません。そして,エリーはお腹に異常を感じ9カ月で愛らしい一粒種の娘を無事生み出します。レオニツィオはずっとエリーに付添い,無事の出産に多大な貢献をします。そしてコジマというイタリア語で秩序と美を意味する名前をつけてくれるのでした。「私たちは運命共同体よ。三人一緒なの」とエリーはレオニツィオと娘の誕生を喜ぶのでした。院内で二人は結婚するのでした。レオニツィオの愛を信じられるようになるまでに,また愛の言葉を聞くまで,頑固にプロポーズにイエスを言わないで自分の心を信じ続けるエリーは本当に大した女性です。4歳年上の姉さん女房(古っ!),そしてエリーという名前しか示されていないヒロインですが,存在感は見事なまでです。傍若無人と思われているレオニツィオがメロメロになってしまうのも,この知的で頑固で美しいエリーだからこそだと,美しいだけのハリエットと比べている作者の思惑がまさにツボにはまっている作品です。


タグ:イマージュ
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過去を捨てた億万長者 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1416
過去を捨てた億万長者 Billionaire Without a Past
( Irresistible Russian Tycoons 3 ) 2016」
キャロル・マリネッリ 山本翔子





 原題はそのまま
 ヒロイン:レイチェル・ケアリー(32歳)/元バレエダンサー/赤みがかった金色のまつげ,緑色の目,前歯に隙間,燃えるような赤毛,身長170センチで長く白い脚/
 ヒーロー:ニコライ・エリストフ(31歳)/海運業者/黒い髪,白っぽい肌,焦茶色の目,身長185センチ/
 「大富豪の約束なき情熱(SHALOCKMEMO1321)」「悲しみの白い薔薇(SHALOCKMEMO1340)」の翻訳出版からちょっと間が開いて第3作目の「氷の掟」シリーズの第3巻が出ました。おそらく4部作になるであろうシリーズですが,キーパーソンになるアーニャとローマンはいよいよ最終巻の登場となるのでしょうか。(「Return of the Untamed Billionaire」はすでに原作が出ています。)
 ロシアの養護施設で育った4人の若者をヒーローとした本シリーズですが,本作のヒロイン,レイチェルは第1作のヒロイン,リビーの親友で,やはりバレエダンサーです。そして大プリマドンナ,アーニャ・イリューシンに憧れていますが,年齢的にももうプリマになる夢はたたれているようです。親友リビーも出産間近,第2作のヒーロー,ヒロインのセブとナオミの結婚式の時には臨月を迎えているリビーに付き添っています。そこに長らく連絡の取れていなかったニコライがやって来ます。ニコライをなんとか仲間たちとうまくいくように,さらにはリビーの出産もうまくいくようにと何かと気を遣うレイチェルは,もうその時点でやさしく愛情深い人柄であることがわかります。そしてニコライを見た途端,そのすばらしい容姿にぐっと惹かれてしまうのでした。しかしそんなレイチェルの悩みは仕事上のことより,恋人だったアンドレが,自分の従姉妹(母の妹の娘)ショナと結婚しようとしていることでした。常に男性に頼って生きてきた母の様になるまいとバレエに明け暮れてきたレイチェルですが,そのレッスン代を負担してくれたのは母の何度目かの恋人でした。しかもレイチェルには誰にも言えない秘密を抱えていたのです。その何度目かの恋人が自分にDV行為をし続けていたのでした。そしてそれを母にも言えず,じっと耐えることしかできなかった悔しさを今でも引きずっています。明かりを付けたままでなければ眠れない。男性との行為にも必ず恐怖が先に立ってしまう。勿論恋人のアンドレにもそのことを告げることはできませんでした。いつになっても親密な行為を許してくれない自分に嫌気がさしてアンドレは従姉妹のショナに走ってしまったのです。しかも結婚式が数週間に迫っているのに,アンドレは相変わらず自分とコンタクトを取ろうとするのです。
 一方ニコライは,シリーズの前の巻でも明らかになっているように学校の教師から性的暴行を受け,川に身を投げて自殺したと思われていました。しかし死んだのは別の人で,ニコライはその後できるだけ学校から遠く離れようとウラジオストックまで逃げ続け,そこで密航した船の船長ユーリに実の息子以上に可愛がられ,航海術から船に関することすべてを学び,次々に資格を手にして船長にまで上り詰め,現在の富を蓄えることができたのでした。その恩人ユーリも亡くなり,豪華なクルーズ船を家として世界中を飛び回っていたのでした。ニコライもまた結婚式で自分に気安く話しかけて,自分の過去のことも仲間から聞いていて全く気にしていないレイチェルの美しさと冗談を言い合える気安さにすっかり惹かれてしまいます。
 互いに幼少の頃性的暴行を強要され,そのことで正常な男女関係を結べないでいる二人が,その経験から相手のことを本当に思いやることができる素晴らしい関係になっていくまでの見事な成長譚が繰り広げられます。過去を乗り越え,将来を思うことができるまでの二人の心の交流と成長がしっかりと描かれた傑作です。


タグ:ロマンス
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王家の花嫁の条件 [キャット・シールド]

SHALOCKMEMO1415
王家の花嫁の条件 A Royal Baby Surprise
( Sherdana Royals 2 ) 2015」
キャット・シールド 杉本ユミ





 原題は「驚きの王室の赤ちゃん」
 ヒロイン:ブルック・ディヴィス(30歳?)/大学講師,博士号2つ/細い眉,灰緑色の瞳,金色の混じる赤い髪,卵形の顔,透き通るような白い肌,えくぼ,なだらかな頬骨,長く形の良い脚,きめ細やかでなめらかな肌,しなやかな筋肉/
 ヒーロー:ニコラス(ニック)・アレッサンドロ(32歳)/科学者,シェルダーナの王子(三つ子の次男)/長身,広くたくましい肩,引き締まった腰,彫りの深い顔と金色がかった茶色の瞳/
 ヒロインの姓がDavisをなぜディヴィスと訳したのでしょうか。通常ならデイヴィス?訳者が杉本ユミさんですから訳者が間違えたとは思えませんし,あくまで編集部の意図があったとしか思えませんからね。
 「僕が設計したシステムのせいで人が死んだ」ロケット発射を成功させることがニックの目標だったのですが,ブルックの兄グレンがゴーサインを出した試験発射の結果は失敗し,一人の犠牲者を出してしまったのです。丁度,ニックの兄ガブリエルが妊娠出来ない妻オリヴィアと結婚し(「プリンスの望まれぬ花嫁(SHALOCKMEMO1332)」),国のために結婚して子供をもうけることが強く求められてしまったこともあり,帰国せざるを得なくなったニックでした。「兄に次ぐ王位継承者として,ニックには国家法に則り,未来の大公の母親となる王妃を娶る責務が生じる」。一カ月後,親友グレンの妹ブルックは,突然アメリカを去ってしまったニックを追って滞在しているギリシアの島にやって来ます。ニックをアメリカに連れ戻すことがねらいでしたが,ブルックにはもう一つニックに会う必要があったのです。それは,ニックの子供がブルックのお腹に育っていたからでした。単なる研究者としかニックを思っていないブルックの誘いを断るため,ニックは自らの身分を明かします。そしてブルックは国法によって未来の王妃にはなれないと説得しようとしますが,ブルックは妊娠のことをニックにすぐに告げることはできないと考えるようになります。つまり二人の関係に未来がないのであれば,ニックに余計な負担をかけないほうがいいだろう,なぜなら自分はニックを深く愛しているから・・・。兄の親友として5年間も慕い続けてきたニックとブルックが関係を持ったのはそんなに多くの機会はなかったものの憧れから愛へと発展してきたブルックの気持ちは今や彼なしでは生きていけないほど,しかもお腹には彼の子供がいる。とにかくニックに会っただけでメロメロになってしまうブルックですが,単なるミーハーな女の子とは違い,ブルックは博士号を二つも持つ才媛です。「彼女がこれほど知的でなければ,どんな美女でも彼は夢中にならなかっただろう。彼女のセクシーさと頭脳にワンツーパンチでノックアウトされたも同然だった。」
 結局ずるずるとニックはブルックを帰国の時にシェルダーナに連れて行くことにします。そして大公や大公妃,皇太子夫妻,そして妹のアリアナ王女にブルックはすっかり気に入られてしまいますが,大公妃はニックが国法による結婚と世継ぎづくりを放棄しないよう釘を刺すことも忘れてはいませんでした。愛すればこそ,このニックの苦しい立場を守られければ,とブルックはアメリカへと旅立つのでした。ところが・・・。ニックが国法による結婚をせずに皇太子と同じようにブルックとの将来を考えるとしたらその条件とは,もう一人の王子で三男のクリスティアンに希望を託すしか方法はないのですが,本作にはクリスティアンはほとんど会話の中に登場するのみで,顔を出さず,次作への期待を込めて終盤を迎えます。
 邦訳版の表紙にはよりくっきりとドレスを押し上げる立派な胸でクリームのようなつややかで見事な赤毛の美女が描かれており,その美しさが見事に描かれています。もう一つ,イタカの島にいたときに,1953年の大地震のことが登場しています。調べてみるとギリシアのこの地震はかなりの規模で多くの犠牲者を出した大地震だったようです。もちろんこの年が自分が生まれた年であり,それを知らなかったのは当然ですが,あまりヨーロッパで地震のことが話題にならないことも大きいでしょう。イタリアのベスビオ火山噴火のように,火山とか地震による被害というのはヨーロッパにもあるんだなということが,改めてわかったことも収穫でした。そして,アメリカでブルックが乗っているのは,なんと「プリウス」だそうです。


タグ:ディザイア
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億万長者と秘密の愛し子 [アンドレア・ローレンス]

SHALOCKMEMO1414
億万長者と秘密の愛し子 The CEO's Unexpected Child
( Billionaires and Babies 68 ) 2016」
アンドレア・ローレンス 湯川杏奈





 原題は「CEOの予想外の赤ちゃん」
 ヒロイン:クレア・マリアンヌ・ローソン・ダグラス(?歳)/美術館のキュレーター,高校の成績はクラストップ/ダークブロンドの長い髪,豊かな胸,紫がかったグレーの瞳,柔らかそうな唇,さりげない美しさ,バニラとシナモンを合わせたような香り,聡明で見る人を惹きつける愛くるしい性格,一人っ子で両親にも兄弟がなく親戚づきあいもない,父は他界は母再婚/
 ヒーロー:ルカ・モレッティ(20代後半?)/イタリア料理レストラン・チェーン「モレッティ・エンタープライズ」CEO,六人兄弟妹の長男/黒髪,はしばみ色の瞳/
 10代で精巣腫瘍を発症し,抗がん剤治療のため子供ができにくい体になったヒーローはかつて恋人に騙されて妊娠騒ぎを起こされ,それ以来結婚への意思を失っています。一方,受胎しにくい妻だったヒロインのクレアは人工授精の結果妊娠しますが,病院側のミスで夫の精子ではなく別人の子を受胎してしまいます。しかも妊娠五カ月目に夫は不倫のあげくに自動車事故死。一粒種エバを唯一の家族として,親友に子育てを助けてもらいながら暮らしていましたが,半年後に病院側のミスが発覚し,エバの遺伝子上の父親ルカ・モレッティと弁護士を介して今後の育児に関して協議をすることになります。これだけ複雑な設定で始まった本作ですが,さらに終盤にはルカとクレアの間に予想外の妊娠騒ぎが起こり,そのことが二人の一時的な別れの原因になるなど予想外としてはサービス満点のストーリー展開で読者を呻らせます。イタリア人らしくルカの家族たちの大家族主義の騒ぎの中にクレアとエバがすっかり馴染んでしまい,生まれて初めての家族の中で過ごす心地よさを感じるところや,エバとルカの1カ月の育児お試し期間が,前作のヒーローギャビン・ブルックスとサビーヌ夫妻のもつ別荘地マーサズ・ビンヤート島で過ごす夢のような時間の様子など,セレブな描写が読者を心地よくさせていくというような効果をもたらすなど,取り上げどころ満載のゴージャスな作品に仕上がっています。さすが読者を飽きさせないアンドレア・ローレンスの手腕にすっかり嵌まってしまいます。
 英語版ではこのシリーズは男性と赤ちゃんだけが評しイメージを飾ることが多いのでヒロインの美しさは邦訳版の方がはっきりするのですが,クレアのイメージの,この上品でふっくらした美しさがまさに作品中のヒロインのイメージにぴったり当てはまり,ヒーローが一目で惹かれてしまったのがよくわかります。
 今日は2月14日。SHALOCKMEMO1414と偶然14づくしなのも興味深いですね。


タグ:ディザイア
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放蕩王子が見初めた娘 [スーザン・メイアー]

SHALOCKMEMO1413
放蕩王子が見初めた娘 Wedded for His Royal Duty
(ザヴィエラの花嫁 2) 」
スーザン・メイアー 八坂よしみ





 原題は「王家の義務のための結婚」
 ヒロイン:エヴァ・ラトヴァイア(25歳)/慈善活動家,グレナディの王女/黒髪,青灰色の瞳(和らいだときの青い目,起こったときの員色の目)/
 ヒーロー:アレクサンドロス(アレックス)・サンチョ(30歳)/ザヴィエラの第二王子/焦げ茶色の目,黒い髪,荒削りで不良っぽい魅力/
 「奇跡を授かったシンデレラ(SHALOCKMEMO1368)」の続編です。ザヴィエラ王家の第一王子ドミニク(ドム)との結婚は,ドムがジニーと結婚してしまったために振られてしまった悲劇の王女となったエヴァ。前作では陰に隠れてその存在だけが示されていたエヴァが本作ではどうどうとヒロインとして登場します。かつて二人の女性に裏切られたため結婚を忌避しているアレックス。自分の父である国王が不倫で行方不明となりなんとしても残る第二王子のアレックスをものにしなければ王家を継ぐことのできないエヴァ。互いの利益が衝突し合う二人ですが,単なるロイヤルロマンスではなく,そこに祖国グレナディでのクーデターの疑いが登場してきて,冒頭から全く新たな展開を見せていきます。偽装政略結婚をしたエヴァとアレックス。しかし二人の間には愛が芽ばえていきます。「美しく,やさしく,聡明で,優雅でおまけに心身ともに健やかだ。そして法律上は僕のものだ。」とアレックスは思わざるを得ません。それほどまでに深まっていく愛に,この結婚を本当の結婚にしたいと,エヴァも考えています。しかし,宿命は二人をなかなかさらに深い関係には導いてはくれません。たった3度,キスを交わしただけです。ここに読者を惹きつけるストーリーが隠されているのです。やがてグレナディ国でクーデターを起こそうとした国王の弟ジェラルディが逮捕されたという知らせが入ります。国が落ち着けばエヴァは国に帰ってしまう。エヴァの父がザヴィエラにやって来ます。「エヴァはいずれ女王になる。君なら最高の夫になってくれただろう。破談にするには忍びないほどだ」とアレックスに向けられた言葉に,二人はぎこちなく目をかわすしかありませんでした。「エヴァは両親に僕への思いが本物だと言う機会を逃した。それは僕も同じだ。」しかし「決めるのは僕ではなく,あくまでエヴァだから」・・・。エヴァが本当の気持ちを打ち明けることなく二人は「さようなら」の言葉だけを交わすのでした。
 帰国のヘリの中では二人のエヴァが対立していました。アレックスを愛している女性と女王になる女性とが・・・。しかし翌朝の記者会見ではエヴァは瞬きもせずに義務を果たしただけだと記者の質問に答えます。その会見をテレビで見ていたアレックスの気持ちを義母のローズはアレックスのエヴァへの愛だと見抜くのです。二度に渡って愛する女性を失ったアレックスに義母の鋭い勘はアレックスの本心を言い当ててしまうのでした。前巻で登場したヒロインの母ローズの鋭い感性が本作ではかなり際だって言及されています。まさに陰のヒロインといって良いでしょう。「エヴァは一人の女性で,あなたは彼女を愛する男に過ぎない。やり方を間違えないでね。」というローズの言葉がそれを証明しています。そして舞台はニューヨークへ。ひと月前にニューヨークへ渡っていたアレックスとエヴァは再会し,打開策を見つけていけるのでしょうか。
 王室もの特有の生臭さはなく,実に清純で真面目な二人の愛は共感をそそられ,王室ものという現実離れしたものではなく,そこに若干の宿命的な要素は絡ませながらも,普通の男女の爽やかな愛情が感じられる好著です。


タグ:イマージュ
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愛なき富豪が授けた命 [サラ・オーウィグ]

SHALOCKMEMO1412
愛なき富豪が授けた命 Pregnant at the Wedding
( Plainaum Grooms 1 ) 2008」
サラ・オーウィグ 北岡みなみ





 原題は「結婚式の妊婦」
 ヒロイン:アシュリー・スミス(25歳)/ウエディング・プランナー,農場育ち/身長175センチの長身,ブロンドの髪/
 ヒーロー:ライアン・ワーナー(32歳)/「ワーナー・ホテルチェーン」経営者/190センチ以上の長身,黒い髪,緑の瞳,広い肩,硬い胸,三人兄弟の長男/
 新刊としては2011年3月以来のサラ・オーウィグのお目見えです。この6年間原作が出版されていなかったわけではなくシリーズものも次々と出版されていたのですが,なぜか訳本がなく「幻の作家」になりつつあったサラ。この当たりに何か事情があったのかHQに聞いてみたいものです。一昨年KINDLEで復刊された「狼の住む場所(SHALOCKMEMO1396)」は先日読みましたが,記憶喪失ものだったために目についただけ,とはいえ素晴らしい作品でした。本作を含む「Platinum Grooms」シリーズは,ライアン・ワーナー,ニック・コルトン,ジェイク・ソーンの三人をヒーローにした三部作で,2008年の作品です。「Stetsons & CEOs」「Lone Star Legacy」「Lone Star Legends」「Callahan's Clan」など,次々にシリーズ作品を出しているサラ作品の翻訳を期待したいものです。
 アシュリーは16歳で,ライアンは18歳で母を亡くしています。どちらも現在は父親や兄弟姉妹たち,そして祖母など,家族が仲良く暮らしている恵まれた家庭環境にあるのですが,母親を亡くしたという共通点があるのでした。なんとか二人とも共通点を見つけようと話し合っている間に打ち明け合ったことでした。現在の経済的状況はアシュリー側は苦しく,ライアンは富豪となり格差がありますが,ライアンがアシュリーの妊娠を知って次々に援助を申し出るのに対して,アシュリーは頑固に自分の独立を主張していくのですが,あまりにもライアンの攻勢が素早く,ついにはアシュリーもそれを拒みきれなくなり,ラインのプロポーズを不承不承受け入れていきます。2週間というところで落ち着き,二人は結婚式を迎えるのですが,アシュリーは自分がライアンに恋してしまった反面,ライアンから愛の言葉を聞かされていないため,ライアンは子供が欲しいためだけに結婚を申し出たと思い込んでいます。自分は愛されていないのではないか,間違った結婚をしてしまったのではという不安をぬぐいきれません。結婚式の入場の直前にライアンの元恋人ケイラがアシュリーの元を訪れ,ライアンがあなたと結婚するのは愛しているからではなく妊娠しているからに違いないと爆弾発言をし,ライアンが自分たちのことを元恋人に教えたのではないかと疑心暗鬼に陥ります。直後にアシュリーの青い顔を見た父親ベン・スミスが,車のキーをアシュリーに渡して,逃げるなら今しかないと気遣いますが,アシュリーは逃げることは自分の家族へのライアンの支援が望めなくなることだと考え,不安なままバージンロードを歩いて行くのでした。
 ウエディングプランナーが自らの結婚式をプランニングしたら・・・。自身の理想のウエディングを企画し,お金に糸目を付けなくて良いとしたらとてつもなく豪勢なものになるのでしょうか。しかし,アシュリーは父の入院費や弟の学費などのために自分の生活を節約して家族に仕送りをしている身,たった一度の週末を共にしたライアンとの間に生まれた感情を簡単に捨てることもできず,結局ライアンの申し出を受けて結婚することになってしまったのです。愛のためではなく将来の子供のための便宜的結婚,という気持ちが前面に出ているライアンの言葉に傷つきながら・・・。ライアンが自分を求めていることは間違いないけれども,あのケイラの悪意に満ちた言葉に本当の信頼をライアンに寄せることはできません。こんなアシュリーの気持ちをライアンは理解してくれるのでしょうか。「何度も言ったように,あなたは強引に主導権を握って,何でも勝手に決めてしまう。不幸な結婚はこの子にとってもプラスにならない」とかつてライアンのプロポーズを断ったこともあります。「僕と結婚するんだ。それで君の問題は解決する。」つまり問題解決のための結婚というライアンの言葉と「ライアンと一緒にいると,欲望に体が反応してしまう」という心と体の反応の乖離にアシュリーはどのように対処していくのでしょうか。「ライアンと多くの時間を過ごし,彼についていろいろなことを知った。そしてライアンに好意を持っているというより,恋してしまいそうだった。もしかしたらすでにライアンに恋をしているのだろうか。彼は愛してはくれないのに。」何度も自問するアシュリー。そして式の前にケイラが自分に爆弾発言をしたことをライアンに告げると「きみは彼女の言い分に耳を貸したのか?」と怒りをあらわにするライアンに「あなたを信頼することにする。私は世界で最も騙されやすい女かも知れないけれど,あなたの言葉を受け入れるわ」といったんは納得し,新婚旅行中はまさに蜜月の時を過ごします。ところが,旅行後互いに仕事に出かけ,出張を終えて早めに帰宅したアシュリーが目にしたのは,合鍵を持ち昨晩はライアンと一緒に過ごしたというケイラでした。「ライアンとの結婚はカードで作った家のようにもろかった。どうして彼を信頼してしまったのだろう?父親が警告してくれたのに。」決定的な証拠を握ったアシュリーが取るべき行動はたった一つでした。さぁ二人の行く末は・・・
 さっさと愛しているといえば良いのに,といつもヒーローにいいたくなってしまうロマンス小説ですが,そんなカタルシスを生み出す作者の罠に今回もはまってしまいました。充分楽しめる作品です。


タグ:ディザイア
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脅迫された愛人契約 [ティナ・ダンカン]

SHALOCKMEMO1411
脅迫された愛人契約 Da Silva's Mistress
( Mistress Bride 2 ) 2009」
ティナ・ダンカン 東みなみ





 原題は「ダ・シルヴァの愛人」
 ヒロイン:モーガン・マーカス(24歳)/「エニグマ・マーケティング」社員/長身,ほっそり,肩まで伸びる漆黒の髪,上品な顔立ち,純真さと官能性を兼ね備えている,肌はマグノリアの花びらのように白く,鴉の濡れ羽色のような髪,唇はふっくら,オレンジの香りが漂うシャンプーの香り,濃いまつげの下の黒い瞳,高い頬骨,誘うような唇の形/
 ヒーロー:ルカ・ダ・シルヴァ(34歳)/複合企業の経営者/黒髪,黒い目,黒い瞳の中に金色の斑点,長く黒々としたまつげ,鍛え上げられたからだ,黄金色の肌,誰もが振り向くカリスマ性/
 オーストラリアの作家ティナ・ダンカンの初訳作品です。幼少期をニューギニアで過ごし,現在はシドニーに生活する彼女は,ニューサウスウェールズ大学で商学士号を得たようです。作品としてはまだそれほど多くないようですが,本作を読む限りかなり内容の濃い,緊張感溢れる作品を描く作家のようです。未訳作品としては「Playing His Dangerous Game 2011」「Her Secret, His Love-Child 2010 ( Claiming His Love-Child 2 )」の2作があり今後の翻訳が期待されます。出版年からして本作がデビュー作ではないかと思われます。とてもシンプルな名前なので彼女のwebは見つかりませんでした。現時点では,ハーレクインgoodreadsには関連ページがあるようです。
 さて,本作の原題はそのものずばりの題名ですが,邦題「脅迫された愛人契約」は日本語としてはちょっと違和感を感じます。というのは愛人契約が脅迫されたというように,契約を擬人化した意味に取られかねないからです。「愛人契約を脅迫された愛人」という意味であることは間違いないのですが,冒頭の「脅迫された」が愛人にかかるのか愛人契約そのものにかかるのかによって,不明瞭な意味になってしまっています。まぁわからなくもないですが,この辺は編集部さんに再考願いたいところです。次にヒロインの名前ですが,モーガンというのはオーストラリアでは女の子の名前としては普通にあるものなのでしょうか。モーガン・フリーマンのように男の子の名前というイメージがあったので,初めはちょっと混乱しました。初めの方でこの名前が出てきたときはヒーローのルカの友人かと思ってしまいました。複合企業の経営者で「ダ・シルヴァ・チョコレート」ロンドン本社の経営者でもあるルカ・ダ・シルヴァはイタリア系の富豪です。両親を交通事故で亡くし,姉のステファニア・ラングドンを守るのが自分の使命と強く思っている男性です。この事故の時姉が重大な怪我を負い,妊娠出来にくい体になってしまったことになぜか弟のルカは責任を感じてしまっていたのです。そしてステファニアの夫,ジョセフ・ラングドンが不倫しているのではないかと会社の部下オリヴィアに指摘されたことにより,なんとしても姉を守らなければという思いを強く持ちます。そしてジョセフの相手として浮上してきたのがエニグマ・マーケティング社の社員でとびきりの美女モーガン・マーカスだったのです。もしそれほどの美女でなければ,その思いを強く持つこともなかったのかも知れませんが,ルカ自身がモーガンに強く惹かれてしまったことからも相当の美しさを持つ女性であることは間違いありません。なにせルカの周囲には多くの美しい女性が列を成して自分の順番を待つほどのイタリア人独特の美貌と財力を持っていたからです。義兄とその愛人に手を切らせるために,ルカが仕組んだこととは・・・。まず,彼女の会社のCEOに掛け合い,彼女を解雇させます。そして義兄との関係を問い詰めると「親しい友人」としか答えません。最後の手段としてルカは復讐と実益を兼ねてモーガンに自分の愛人になるよう契約を持ちかけます。いや持ちかけると言うよりyesと言わざるを得ないように追い詰めていくのでした。5万ポンドという金額提示にもモーガンはyesと言いません。ジョセフ・ラングトンは死んだ・・・。の先を言おうとしたとき,モーガンは気を失ってしまいます。「死んだと思え」と言うつもりが・・・。それはまさしく彼女と義兄の関係を証明しているように思われるのでした。そして抱き起こした彼女からは義兄の付けているコロンの匂いがしていることに気づきます。ここまでくるとルカにはモーガンが義兄の愛人であること以外の可能性は全く考えられなくなるのでした。この関係を最初に匂わせた社員のオリヴィアの奸計であることには全く思いも及ばなかったのです。モーガンは自分がジョセフの愛人だと思われていることに気付きますが,それを否定し,ジョセフが実の父であることを打ち明けることがちらと頭に浮かびますが,ジョセフからこのことは他言無用と約束したことで,真実を打ち明けられませんでした。もし真実を打ち明ければジョセフが他の女性と関係を持っていたことを知られ,それがステファニアを深く傷つけてしまうことを恐れたからでした。長い間自分には母親しかいなかったことから,最後の瞬間に母から真実を打ち明けられ,やっとできた唯一の身内である父との関係を壊すわけにはいかなかったからでした。ルカも慎重に探偵を雇って二人の関係を調査させれば真実はもっと早く明らかになったことでしょうが,姉に余計な心配をかけたくないというルカの責任感が当然やるべきことを躊躇させ,そしてモーガンを追い込むことしか思い浮かばなかったのです。「恋人が欲しいなら,僕がなろう」とルカは愛人契約を命じます。翌日返事をということで一端別れた二人ですが,翌日noをつきつけたモーガンの耳に,ルカにかかってきた電話でジョセフが救急科に入院したという知らせが聞こえてきます。しかしジョセフへの連絡すら一切禁じられた状態で,心配のあまり,ルカの身近にいることでなんとか父の病状を知ること以外に方法がないことに気づいたモーガンはついにyesを告げることになるのでした。ただ1週間は体の関係を持たないことを条件として・・・。
 次々に変化していく状況,このジェットコースターストーリーに読者はすっかり引き込まれていってしまいます。そしてルカの魅力にもはや抵抗できないことを悟ったモーガンは自分からルカに迫っていくのですが,ルカは1週間という期限を守ろうとします。そのことでルカへの信頼を強くしたモーガンはもはやルカを愛していることを否定できなくなるのでした。
 最後のジョセフとルカの対決,そして姉との関係,さらにタブロイド紙への情報提供者は誰なのかなど,多くの謎が末尾に凝縮され,最高の盛り上がりで締めくくられます。ルカの運転手兼ボディガードのジーノやモーガンの親友ステラとグレック夫妻も結構良い味を出しています。イチオシの作品です。


タグ:ロマンス
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