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靴のないシンデレラ [ジェニー・ルーカス]

SHALOCKMEMO1458
靴のないシンデレラ A Ring fro Vincenzu's Heir
( One Night With Consequences 19 ) 2016」
ジェニー・ルーカス 萩原ちさと





 原題は「ヴィンチェンツォの後継者のための指輪」
 ヒロイン:スカーレット・レーヴンウッド(24歳)/看護助手/黒いまつげ,緑色の瞳,赤毛,愛らしい顔/
 ヒーロー:ヴィンチェンツォ(ヴィン)・ボルジア(?歳)/航空会社「スカイ・ワールド・エアウェイズ」社長/黒い髪,黒い瞳,ハンサム/
 飛行機が苦手な看護助手スカーレットが,最後は信頼する夫の操縦するセスナ機に乗り込むという終結を迎えるまでの感動の作品です。しかも,富豪であり航空会社の社長でありさらに航空機の設計までするというちょっとオタクっぽいヒーロー,ヴィンチェンツォとしっかりと渡り合うだけの智恵と勇気も持ち合わせているときてはまさにNiceHeroineものの極地というべきでしょう。「一夜の結果」シリーズも19作目を迎えました。
 「君には二つの選択肢しか残されていない」という台詞で始まる冒頭。「この書類にサインをして生まれた赤ん坊を養子にだして僕の妻になる」「あるいは,君は頭がおかしいとドクターに公表させて,君を精神科の病院に送る」と,雇い主から究極の選択を迫られたスカーレット。選択を迫ったのはブレイズ・フォークナーというニューヨークの資産家ですが,スカーレットはブレイズの母親の看護をしていたのでした。「君はずっと僕を拒み続けていた。なのにどこかの馬の骨に妊娠させられ,その男の名前を言おうともしない。ガキを厄介払いしたらすぐう,君を僕のものにする。永遠に。」という脅迫をするようなブレイズの母は看護の甲斐なくなくなってしまい,いくらかの遺産をスカーレットにも残してくれたのでした。男性としての欲望ばかりでなくこの僅かな遺産も手にしようというのがブレイズのもくろみだったのかも知れません。さて,その赤ん坊の父親というのが,本作のヒーロー,ヴィンチェンツォ・ボルジアだったのです。ボルジアという名前どおりイタリア系であることは自明のことですが,イタリア男性のセクシーさはロマンス小説ではお約束の一つ。ギリシアの富豪,南米の農場主とともにイタリア男性といえばロマンス界の三大ヒーロー・パターンといってもいいでしょう。ブレイズのロールスロイスから飛びだしたスカーレットは,そのヴィンチェンツォ(ヴィン)が今,結婚しようとしている「セント・スウィザン大聖堂」に飛び込み,祭壇の前に婚約者とともに立っているヴィンに「雇い主に私たちの赤ちゃんを奪われそうなの!」と叫んで周囲を驚愕させるのです。こんな衝撃的な幕開けで本作はスタートします。ジェニー・ルーカスの作品の中でも秀逸な幕開けではないでしょうか。かつて一だけ関係を持ち翌朝には苗字も告げずに姿を消してしまったスカーレットの膨れた腹部を見た瞬間新郎出会ったヴィンは,彼女の後を付けてきた男性が彼女を連れ去ろうとしたブレイズを追い払います。一方花嫁のアンの方に,若い男性が自分は花嫁の恋人だと叫んだのです。結婚式はすぐ中止となり,ヴィンが事態収拾している間,スカーレットはまた逃げだそうとするのですが・・・。ここでヴィンとスカーレットの出会いが紹介されます。二人は2月末に出会い,失意の内にあったスカーレットもヴィンに誘惑されて純潔を失い,翌朝看護師から連絡をもらったのを機に何も告げずに立ち去ったのでした。その後,一夜を共にした相手,ヴィンチェンツォ・ボルジアの名前をインターネットで調べ,社会的な格差に気づいて赤ん坊を一人で育てていく決意をしたのでした。父とともに逃亡生活を送っていたスカーレットは極端に自分の苗字を隠す傾向にあり,このことが二人の出会いを複雑にした結果でした。そう彼女の父は掏摸,盗みなどの犯罪を繰り返し,犯罪者として逃亡生活を送っていたのです。彼女自身は犯罪に手を染めていたわけではありませんが,父の娘だと知られればたちまち疑われてしまうことはわかりきっています。看護助手として立派に通用する技術をもつ自分と赤ん坊の生活ぐらいはなんとかなると考えていたのでした。しかし雇い主のブレントから子供を養子に出してしまうという話しを聞いて危機感を持ち,ブレイズの元を逃げだすことになったのです。そして今日ヴィンが結婚式を挙げる会場は報道ですでに調べていたため,結婚式に飛び込むという大胆な行動に出たのでした。教会からも逃げだそうしたところにヴィンが戻ってきて,スカーレットの苗字を知っており,さらに父親のことも知っているというのです。ブレントがヴィンに教えたようです。1年半前飛行機事故で亡くなった父は,自分の犯した過ちを償おうと銀行に盗んだ金を返そうとしたのですが,仲間に裏切られ自分だけが犯罪者として告発されてしまったのでした。しかし父の死によって残された賠償金をスカーレットは全額寄付してしまい,自立の道をとってきたのです。そこまで知ったヴィンはスカーレットの高潔さに驚き,彼女を守りたいという気持ちを強くもちます。そしてDNA検査で親子関係が証明されたら結婚しようと提案するのですが・・・。ヴィン自身も悲惨な子供時代を送った経験から,自分の子供とは密に関わろうと強く思っていたのです。「子供は堅実な家庭で愛を受けて育つべきだ。子供を見捨てるようなまねは断じてしない。」と8カ月前のスカーレットとの一夜を改めて思い出します。
 それからの二人の行動がジェットコースターのように激しく移動していきます。靴が必要だとして店に入った後に裏口から逃げだしてボストンからロンドンへ,その途中飛行機がアイルランドに不時着ぎりぎりに着陸し,母の知り合いを頼ってスイスに逃れたスカーレットは靴屋で失敬したヴィンの財布を送り返し,それで足がついてヴィンに見つかり,婚前契約書を不問に付すことで結婚を承諾し,ローマに向かう途中でヴィンの父(実は育ての父親?)の元で結婚式を挙げ・・・と,再び愛を交わした二人が愛を確信しても,欲望と愛を混同してはいけないと自分を戒め,素直になれないヴィンにスカーレットはヴィンの愛を確信できない理由を知ってなんとかしたいと思い・・・。という具合に二人の間の関係の深まりの後ローマにたどり着きます。「彼のおかげでスカーレットは自由な気分になれた。」彼女にとって,「自由」という言葉は「愛」と同じように重要な意味を持つ言葉だったのです。その間,ヴィンはブレイズを破産に追い込む企てをしていたのです。恐ろしいヴィンの復讐の話しにショックで破水してしまい,愛息が誕生します。しかしそのために予定されていた航空会社との契約がフイになり,「ヴィンは生まれて初めて,仕事や権力さえ後回してもいいという気持ちに」なり「妻や産まれたばかりの息子を残してはいけない」と感じたのでした。そして愛息に付けた名前は「セント・ニコラス(サンタクロース)」を意味する「ニコラス」通称「ニコ」。なんとも洒落た成り行きではありませんか。バレンタインデーにできた子供の名前がサンタクロースとは・・・。契約する相手との会合の約束が守れなかったため,その後ヴィンは八面六臂の活躍をします。しかしそれは仕事というより,「仕事より家族を優先する」というこれまでヴィンが最も忌むべきだと考えていた心情の正反対の行動に自分で折り合いを付けるためだったのです。そして幸せな中で暮らす二人に最大の危機が訪れます。ヴィンによって破滅させられたあの男が・・・。「私は彼を愛している。彼も私を愛している」と確信し,しかもそれは自分を含めた家族3人が愛し合っているからだと,自由意志により愛を確かめ合えるからだというスカーレットの願いが,ハッピーエンドをもたらします。そして冒頭に述べたあの場面。飛行機が苦手なスカーレットが勇気を出して夫の操縦するセスナに乗る場面へと繋がっていくのです。繰り返し読みたくなるイチオシの傑作です。邦訳版のスカーレットのイメージは赤毛ではありますがちょっと品のない顔立ちのモデルさんですね。MB版の髪は黒っぽいですがうつむき加減のモデルさんの方が絶対イメージどおりだと思います。


タグ:ロマンス
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