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高潔な公爵の魔性 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO978
『高潔な公爵の魔性 Marcus Wilding : Duke of Pleeasure
サマーシズラー2015真夏のシンデレラ所収」 2014』
キャロル・モーティマー 上村悦子





“Dangerous Dukes”「危険な公爵たち」シリーズの第1作目になります。同じ月にPHS(ハーレクイン・プレゼンツ・スペシャル)で第2巻に当たる「高慢な公爵の誤算」(PHS-114)が出ています。
相変わらずキャロル・モーティマーの作品の設定は意表を突く物が多いですね。本作ではヒロインのジュリアナが,未亡人となり,再婚は嫌だけれど愛人をもつためにはそれなりの準備が必要だということで愛のレッスンを兄の親友であるマーカス・ワイルディングに頼みに行くところから始まります。もうこれだけでもドキドキものですが,初恋の相手を実験台にしてしまうジュリアナですが,当時の貴族社会では本当につきあいの幅の狭さが背景にあるものと思われ,あり得ることかどうか分かりませんがありそうなことではあります。そんなあり得なさそうでありそうなことを設定するキャロル・モーティマーの着眼点のすばらしさはいつもどおり他の追随を許さないものがあります。このとんでもないジュリアナの依頼を承諾するマーカスもナポレオン戦争後にジュリアナにプロポーズしようと思っていたところ戦地から帰るとすでに他人の妻になっていたジュリアナに対する想いを引きずっていたことが大きな理由でした。「巨大な肉食獣の雰囲気を漂わせている」マーカスという表現ですでにジュリアナの心境が読み取れます。また,マーカスの書斎の「張り出し窓の前に置かれた日本製の華麗なついたて」という表現でエキゾチックな雰囲気を出してみたり,「上流社会には,体を洗っていないことを隠そうとして強い香水を使う人間がごまんといる」などと当時の社会の裏側を背手くれてみたりと,サービス心旺盛な表現の巧みさも彼女の作品の魅力でもあります。
さて,ジュリアナは身長153センチの小柄な体。悩みは,何かにつけてかつてマーカスに惹かれた舞踏会のことを思い出してしまうこと。結局彼女の提案どおりには事は運ぶのですが,それは決して彼女の意図した方向ではなく,自分自身がマーカスに惹かれてしまっていることに気づくために必要なプロセスになってしまうのでした。このマーカスの五感を使って徐々にジュリアナに慣れさせようというマーカスの作戦は成功するかに見えますが,途中から互いに我慢できなくなってついにはジュリアナが五感を確認しながらことに及んでいくという逆パターンになってしまいます。このあたりのプロセスが笑いを誘うところですが,当人同士はそれどころではないでしょう。読者が俯瞰的に二人の近づいて行く様を見守れるように描いているところも本作の魅力の一つかもしれません。技ありの一作でした。


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