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ひそやかな思慕 [テリー・ブリズビン]

SHALCKMEMO447
ひそやかな思慕 The Earl's Secret 2007」
テリー・ブリズビン Terri Brisbin terribrsbin.com 長沢由美





テリー・ブリズビンの読了本は6冊目ですが,昨年9月以来の読了となりますので,ほぼ1年ぶり(*^-^)。直前の読了本「囚われの花嫁」は14世紀初頭のスコットランドが舞台でしたが,本作はリージェンシー時代が舞台です。
原題は直訳すると「伯爵の秘密」ですが,邦訳の「ひそやかな思慕」は,なかなかの名訳かと思います。ヒーローのトレイボーン伯爵デイビッド・ランズデールは父であるダーズビー侯爵の圧力で,保守派であるトーリー党の立場を擁護する論文を雑誌に掲載しているのですが,論敵であるA・J・グッドフェローの正体をつきとめようと,旧友であるナサニエルを頼って,ミスター・アーチャーという偽名でスコットランドにやってきます。実はロンドンの出版社で出会ったアンナ・フェアチャイルドに会いたいという思いを強く持ってやってきたのでした。
表紙の絵はヒロインのアンナがちょっと意地悪そうな目つきで描かれていて,芯が強く,思いやりのある清純な美人という本文の内容とはちょっとギャップがありますが,大きな秘密を抱えるアンナの様子を表しているのでしょう。デイビッドの論敵であるグッドフェローとは,実はアンナの偽名であったのです。妹のジュリアの名前と自分の名前を冠したA(アンナ)・J(ジュリア)・グッドフェロー(よき仲間)というペンネームの正体にデイビッドが気づくのは,本当に終末に近いところです。
互いに偽名を使って近づきあった二人の様子を表現しているのでしょうが,男性の方が真剣な眼差しで女性を見つめているのに対して,女性の方が男性を騙そうという目つきで見つめている姿は,ちょっと意味深です。
さて,当時は女性の社会進出がすごい勢いで社会情勢を変えつつある時代でありながらも,まだまだ男性中心社会であることは間違いなく,社会的にも経済的にも弱い立場の子供や女性が大勢いて,それらの人々に対して,慈善という気持ちで援助しようとする上流階級の考え方が,ヨーロッパ社会では一般的だったのでしょう。今でも,この慈善という発想は,キリスト教社会では根強く残っているようですが,政治的な党派を超えた階級社会であるイギリスでは,特に根強いものがあったのだろうなぁという思いで,本書を読了しました。ただ,ロンドンとエディンバラ(スコットランド)の微妙な違いも本書ではほの見えており,作者ブリズビンの特徴が感じられます。


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